1. 讃美
(降誕節第1主日・エルサレム入城)
ルカ19:28-40
(エルサレムに迎えられる)
「主の名によって来られる方,
王に,祝福があるように。
天には平和,
いと高きところには栄光。」
(ルカ19:38)
王に,祝福があるように。
天には平和,
いと高きところには栄光。」
(ルカ19:38)
1.
(ルカ2:8-10 羊飼いと天使)
イエスさまが
ベツレヘムでお生まれになった時,
天使たちは神様を次のように讃美しました。
「いと高きところには栄光,神にあれ,
地には平和,御心に適う人にあれ。」
(ルカ2:14)
天使たちのイエスさまの降誕への
祝福の言葉です。
そして,
この讃美には
人々への祝福の言葉があります。
2.
(エルサレムに迎えられるイエスさま)
わたしたちは今日,
この言葉に対応するものとして,
エルサレムへ上られる時に,
イエスさまに従った人々の讃美を
聞きたいと思います。
このイエスさまが
エルサレムに迎えられる時の讃美は,
4つの福音書すべてに書かれていますが,
それぞれに視点が違います。
マタイによる福音書では,
群衆がイエスさまを
「ダビデの子」として迎えて,
讃美の声を上げます。(マタイ21:9)
「そして群衆は、
イエスの前を行く者も
後に従う者も叫んだ。
『ダビデの子にホサナ。
主の名によって来られる方に、
祝福があるように。
いと高きところにホサナ。』」
(マタイ21:9)
マルコによる福音書では,
イエスさまの前を行く多くの人々が
讃美の声を上げます。
その讃美の中には,
イエスさまに向かって
「王」という言葉は使っていません。
(マルコ11:9b,10)
ヨハネによる福音書では,
祭りに来ていた大勢の群衆が
イエスさまを「イスラエルの王」
として迎(むか)へ讃美しています。
(ヨハネ12:13)
3.
(ルカ19:28-40
エルサレムに迎えられる)
今日の聖書箇所のルカによる福音書でも,
弟子たちがイエスさまを
「王」として讃美します。
これは,
イエスさまがお生まれになった時に
天使たちの
「いと高きところには栄光,神にあれ,
地には平和,御心に適う人にあれ」
(ルカ2:14)
という言葉に対応するものです。
それは,「御心に適う人」としての
弟子たちの讃美の言葉です。
それは,「王」としてのイエスさまと,
「いと高きところ」への
次の讃美となります。
「主の名によって来られる方,
王に,祝福があるように。
天には平和,
いと高きところには栄光。」
(ルカ19:38)
この讃美を聞いたファリサイ派の人々は,
「先生,お弟子たちを叱ってください」
と讃美の声を黙らせようとします。
それはファリサイ派の人々が,
ヘロデ王はイエスさまに
何をするかを知っていたからです。
何人かのファリサイ派の人々は,
エルサレムに向かわれるイエスさまに
「ここを立ち去ってください。
ヘロデがあなたを殺そうとしています」
(ルカ13:31)と言っていました。
ヘロデは機会があれば,
洗礼者ヨハネを殺したように,
イエスさまを捕らえて殺そうと
思っていたのではないでしょうか。
それを知っていたファリサイ派の人々は,
イエスさまにエルサレムへ
近づかないように警告します。
そして,エルサレムに入っていかれる
イエスさまを,
弟子達に王として
讃美しないようにと注意をします。
イエスさまは王です。
しかし,イエスさまは
ヘロデのような王ではなかったのです。
後に,
イエスさまがピラトの前で裁かれる時,
ピラトはイエスさまに
「お前がユダヤ人の王なのか」
(ルカ23:3,ヨハネ18:33)
と尋ねます。
その答えの中で,
イエスさまは
「わたしの国はこの世には属していない」
(ヨハネ18:36)
とおっしゃいました。
このことを知っていたなら,
ヘロデはイエスさまを
殺そうとする必要はなかったのです。
イエスさまは,
ご自身がその地位を力を用いて
保つ必要のない,
平和をもたらす王なのです。
4.
イエスさまがお生まれになった時,
天使たちは神様を讃美します。
「いと高きところには栄光,神にあれ,
地には平和,御心に適う人にあれ。」
(ルカ2:14)
この讃美の中にも
「平和」という言葉が出てきます。
また,エルサレムに迎えられたときに
イエスさまに従う人,
すなわち「御心に適う人」(ルカ2:14)
の次の讃美の中にも,
「天には平和」(ルカ29:38)
という言葉があります。
「主の名によって来られる方,
王に,祝福があるように。
天には平和,
いと高きところには栄光。」
(ルカ19:38)
イエスさまは,
平和と共におられる王です。
この平和をもたらす王として,
イエスさまはろばの子に乗って
エルサレムに入って来られました。
わたしたちもイエスさまに従う者として,
「主の名によって来られる方,
王に,祝福があるように,天には平和,
いと高きところには栄光」
(ルカ19:38)
と讃美の声を上げましょう。
そして,
主の御降誕である
クリスマスを待ち望みましょう。
主の平和心に宿す待降節
(2006年12月2日)
(F教会 松隈 貞雄 牧師)
2014-02-23