図書館・語り・紙芝居・集団相手の絵本よみ・ボランティアなどについて書きます。
絵解きボランティア
脚本『のんびりカメさん』
2008-03-10 / 脚本

カメがうとうとするところ、画面を少し抜いて元にもどすという操作をくりかえして、カメの首が上下に揺れるように見えるように、構成してみました。
のんびりカメさん
脚本/石倉恵子
絵/佐藤義二・石倉恵子
①
のんびりカメさん。
②
むかし、にいがたに 女池(めいけ)という 池があったと。
三平池(さんぺいいけ)とも いわれていて、
たいそう 大きなカメが すんでいたそうだ。
となりには、おとこいけ と かいて 男池(おいけ)、
むこうがわには 蓮池(はすいけ)、
そのむこうの山がわには ずっと大きな鳥屋野潟(とやのがた)。
にいがたは 水たまりだらけの まちだったから、
カメも たくさん いたんだろうね。
③
ところが、この カメは たいそうな のんびりやさん。
「おーい、さかなくん、まってくれ、いっしょにあそぼうよ」
カメが さかなをおいかけると、なにせ からだが大きいもんだから、
水がにごって いけが ちゃいろくなったって。また、
(半分ぬく)
「あっ、ふねの おとがする。どこかなあ」
と、こうらを あげると
④
「うわっ、あぶない」どっぷーん。
ふねは 上を とおるところで、せなかに のせて
ひっくりかえして しまった。
⑤
そんな、ある なつの日のこと。
ざくっ、どぼん ぶくぶく、ざくっ ぼとん ぶくぶく
「おや、土が おちてくるなあ。一つ、二つ、三つ。なにしているんだあ」
「なあに、子どもがな」
⑥
「ほー、こどもが・・ふにゃふにゃ、四つ」
カメは だんだん ねむくなってきた。
(3分の2ぬく)
「みずあび するんでな」
「ほー みーずーあーびー・・ふにゃふにゃ・・五つ」
(もとにもどす)
「つちをいれてな」
(3分の2ぬく)
「ほー、 つー ちー をなー」
(もとにもどす)
「あさせを つくるんだあ」
⑦
「ほー、 あー さー せー・・ふにゃふにゃ」
カメは そのつちの上で ねむってしまったと。
「ふにゃ ふにゃ。ぐー ぐー」。
⑧
「おーい、ここに たいらな いわがあるぞ」
「かたくて ぐあいが いいや」「ボールあそびに ちょうど いいぞ」
子どもたちは水の中、カメの こうらに のって あそんだと。
そのうち、
「おい、ここに やわらかいところが あるよ。
ふんでみるぞ。えいっ。ぐに ぐに ぐに」
⑨
「うひひひひ。だれだ、こちょこちょ するのは」
「わあぁ、カメだ。カメが おこったぞ」
「それ、きしに 上がれ」「大人に つかまれ」
ね、みんなも みずあそびは 大人が いるところで やるんだよ。
⑩
「びっくりしただけだよ。おーい いかないでくれ。
ああ、いっちゃった。しかたない、また ひとねむり するか」
⑪
やがて、よるになって、つきがでた。水に まるい ひかりが さしている。
「ああ、よくねた。おや、あっちに きいろいボールが 一つ のこっているよ。
どおれ、ボールと あそぼう。あっちは 鳥屋野潟(とやのがた)だあ」
おつきさまが そらからみて いいました。
「カメさん、ゆっくり あそびなさい。
どこにでも、きっと いいことが あるでしょうからね」
⑫
それから なんねんかして、めいけは うめたてられ、
なくなって しまったと。
やがて、たくさんの人が すむように なり、
子どもは プールで およぐようになった。
けれど、鳥屋野潟(とやのがた)の弁天橋(べんてんばし)、
そこの 松(まつ)の木の ちかくでは、
つきよの ばんには、ときどき 大きななみがたつことがある、ということだ。
おわり
地域の言い伝えから創作したおはなしです。
参考文献
『女池いまむかし』女池小学校創立113周年記念事業委員会
『写真集 亀田郷』亀田郷土地改良区
『新潟市の伝説』新潟市
『亀田郷の昔語り』亀田郷土地改良区創立50周年記念事業実行委員会
のんびりカメさん
脚本/石倉恵子
絵/佐藤義二・石倉恵子
①
のんびりカメさん。
②
むかし、にいがたに 女池(めいけ)という 池があったと。
三平池(さんぺいいけ)とも いわれていて、
たいそう 大きなカメが すんでいたそうだ。
となりには、おとこいけ と かいて 男池(おいけ)、
むこうがわには 蓮池(はすいけ)、
そのむこうの山がわには ずっと大きな鳥屋野潟(とやのがた)。
にいがたは 水たまりだらけの まちだったから、
カメも たくさん いたんだろうね。
③
ところが、この カメは たいそうな のんびりやさん。
「おーい、さかなくん、まってくれ、いっしょにあそぼうよ」
カメが さかなをおいかけると、なにせ からだが大きいもんだから、
水がにごって いけが ちゃいろくなったって。また、
(半分ぬく)
「あっ、ふねの おとがする。どこかなあ」
と、こうらを あげると
④
「うわっ、あぶない」どっぷーん。
ふねは 上を とおるところで、せなかに のせて
ひっくりかえして しまった。
⑤
そんな、ある なつの日のこと。
ざくっ、どぼん ぶくぶく、ざくっ ぼとん ぶくぶく
「おや、土が おちてくるなあ。一つ、二つ、三つ。なにしているんだあ」
「なあに、子どもがな」
⑥
「ほー、こどもが・・ふにゃふにゃ、四つ」
カメは だんだん ねむくなってきた。
(3分の2ぬく)
「みずあび するんでな」
「ほー みーずーあーびー・・ふにゃふにゃ・・五つ」
(もとにもどす)
「つちをいれてな」
(3分の2ぬく)
「ほー、 つー ちー をなー」
(もとにもどす)
「あさせを つくるんだあ」
⑦
「ほー、 あー さー せー・・ふにゃふにゃ」
カメは そのつちの上で ねむってしまったと。
「ふにゃ ふにゃ。ぐー ぐー」。
⑧
「おーい、ここに たいらな いわがあるぞ」
「かたくて ぐあいが いいや」「ボールあそびに ちょうど いいぞ」
子どもたちは水の中、カメの こうらに のって あそんだと。
そのうち、
「おい、ここに やわらかいところが あるよ。
ふんでみるぞ。えいっ。ぐに ぐに ぐに」
⑨
「うひひひひ。だれだ、こちょこちょ するのは」
「わあぁ、カメだ。カメが おこったぞ」
「それ、きしに 上がれ」「大人に つかまれ」
ね、みんなも みずあそびは 大人が いるところで やるんだよ。
⑩
「びっくりしただけだよ。おーい いかないでくれ。
ああ、いっちゃった。しかたない、また ひとねむり するか」
⑪
やがて、よるになって、つきがでた。水に まるい ひかりが さしている。
「ああ、よくねた。おや、あっちに きいろいボールが 一つ のこっているよ。
どおれ、ボールと あそぼう。あっちは 鳥屋野潟(とやのがた)だあ」
おつきさまが そらからみて いいました。
「カメさん、ゆっくり あそびなさい。
どこにでも、きっと いいことが あるでしょうからね」
⑫
それから なんねんかして、めいけは うめたてられ、
なくなって しまったと。
やがて、たくさんの人が すむように なり、
子どもは プールで およぐようになった。
けれど、鳥屋野潟(とやのがた)の弁天橋(べんてんばし)、
そこの 松(まつ)の木の ちかくでは、
つきよの ばんには、ときどき 大きななみがたつことがある、ということだ。
おわり
地域の言い伝えから創作したおはなしです。
参考文献
『女池いまむかし』女池小学校創立113周年記念事業委員会
『写真集 亀田郷』亀田郷土地改良区
『新潟市の伝説』新潟市
『亀田郷の昔語り』亀田郷土地改良区創立50周年記念事業実行委員会
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