ステップアップとは何か

絵本『たんぽぽ』甲斐信枝/作・絵(金の星社)・・・Aとします。
絵本『たんぽぽ』平山和子/ぶん・え 北村四郎/監修(福音館書店)・・・Bとします。

他にも『たんぽぽ』という名前の絵本はあるでしょうが、ボランティアの中に、この2冊を見比べて、「こっちが良くて、こっちは読み聞かせに使わない」と教わる→見る目がついた→自分はステップアップした、という様子があり、これはとんでもないことになっている、と、このブログに書いておくことにします。

誰でも、どんなタイトルをつけて、絵本講座をやっても良いと思いますので、講座そのものを止めることができません。受ける側が、取捨選択能力を持てばいいかと思います。

大きさは同じくらい、長さはAの方が少し長いでしょうか、どちらも集団相手に使える遠目が効いて正確に書かれている科学の本です。
Aは、叙情性豊かにストーリー性が加味されて、目線がたんぽぽにごく近い言葉で語られています。Bは、大人が子どもに向けて語りかけるような文章です。
特徴が現れるのは・・・
Aの8ページ目、たんぽぽがどんどん伸びる様子が縦長に書かれた見開き画面です。活字が横書きであり右方向に話が進む構成になっているので、「伸びる」を表現するために左が茎で右が花になるようにレイアウトされています。集団読みならば、読み手は縦に持ちなおすことでしょう。26~29ページにかけてはページを倍に広げるという構成で「飛んでいく」開放感を楽しむことができます。これは楽しいですね。
Bでは10ページ目に、やはり縦長の根の画面があり、左画面が地上近くで右画面が地下深く伸びる構図です。これは「根は生きている」という根の進行方向が画面にも現れているわけです。きっと読み手は手を持ち変えて縦に見せることでしょう。こちらは人の目にふれない根の役割も説明されていて、これが重要なポイントだと思います。これらは、私は誰かに教えてもらったのではなく、自分で作る立場になって見て分かっていったことです。

もちろんこれ以外にも、人それぞれいろいろな見方があります。この青が好き、とか、淡白な感じが好き、とかね。

 どちらが優れてどちらが劣っている、というものではありません。ところが、「ステップアップ講座」として、優劣をつけることが平然と行われています。持ちにくいとか、進行方向の描き方が間違っているとか、そういう個人的かつ特定の物差しで計って説明がされるようです。「持ちにくいから」に至っては、「自分のスムーズなページめくりを見せるがための読み聞かせ」になっていることに、早く気づいてほしい。
 ボランティアが一番大切にしなくてはならないことは、それぞれの絵本や紙芝居を楽しむ大勢の人々の姿を想像し、それに心を寄せていくことではないでしょうか。

 プログラムの作り方についても、以前、特定の物差しを使うことに異論を唱えました。しかし、受ける方は「図書館でやっているステップアップ講座だ」と受け止めてしまい、「こっちは読み聞かせに使わないんだってさ・・」と広がっていく。「プログラムを作る」段階で「こっちよりこっち」と排除していく。なんとなく、自分の目が肥えてステップアップしたような気分になっていく。

~~~~こんなこと、いつまでも続くはずは無いと思うんだけど~~~と思いながら、黙って聞いていました。その場に居合わせると、これは一分足らずの出来事で、こちらは仰天するばかりで、とっさに声が出ないのです。すいません。そして、誰に指摘されるでなく、講師に対する依存に自分で気づかない限り、こういうことは果てしなく起こるのです。
 ステップアップ、スキルアップ、というのは、それぞれの作品の特徴を捉えて、こだわりなく楽しく相手に提供できる能力ではないかと思うのです。相手の自由な感覚を受け止める柔軟さとかね。排除することで自分が偉くなるようなことではありません。

 以前、この講師と共にやっていましたが、とある出来事で「もう、電話もファックスもしないで」と言われたので、そのようにして、ブログに書いています。異論を自分への中傷ととるのでしょうか。反対意見を聞く余裕がまだないのかな?と思いましたが、反論を遮断していくと、本人がどんどん深みにはまっていきます。そして、きっと、これは新潟だけの問題ではなく、歴史上も、いたるところにあった問題なのだろうなと思っています。
驚くことに、同じような「見分けて排除してステップアップ」理論で数人の人が市外へも絵本講師に行っている現実があります。私がブログに書くのはそこにも理由があるのです。
 つまり、元は同じ人から習い、そっくりそのまま自分の知識として教えることに慣れておられるのでしょう。だから、受ける側は、いい悪いの一元的理論でなく、人間の感じる気持ちに沿って「自分はこう思う」としっかり言えるように、どなたも自分を大切にと唱えながら、進みたいと思っています。






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