「ふと思いついた小さなお話し」
なにも ない 場所に
笑顔みたいなお花が たったひとつ 咲いていました
見つけた女の子は
しばらく ながめて
じっと ながめて
どうしても欲しくなって・・
お花のかわりに
となりにあった一本のわたぼうしを
「ごめんね」と言ってちぎりました
わたぼうしは まんまるくて
ふわふわしてて
女の子は 唄いながら 歩きます
そのとき でした
一瞬 空があかるくなって
女の子は なにも見えなくなりました
笑顔のまんま なにも聞こえなくなりました
そして
動かなくなった女の子の指から
わたぼうしが ポロリと落ちて
硝煙の中 綿毛が 舞います
ふわ ふわ
ふわ ふわ
ふわ ふわ
ふわ ふわ・・・
あれから 何年たったでしょう
あるもの みんな 破壊しつくして
戦争は だーれも しあわせにせず 終わりました
なにもなかったその場所は
さらに なにもなくなって
かつて 女の子が見つけた笑顔のようなお花だけが
あたり一面 咲きほこっていました
綿毛たちも ふわふわと 唄っていました
かろうじて いのちは 続いています
だけど
あの女の子への 「ごめんね」は
いったい だれが 言うというのでしょう
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