◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70)
本業プロゴルファー、ときどきカメラマン――そんな“フォトゴルファー”として知られる女子プロ・阿部未悠。昨年のJTカップでも写真を撮って話題になったが、ことしも東京よみうりに帰ってきた。前編では阿部の撮影奮闘記をお伝えしたが、後編は撮影そっちのけで、石川遼にスイングについて突撃取材した話をお届け。会話の中身は、上達のヒントが盛りだくさんだった。
阿部が石川のスイング改造に切り込んだ
前編では阿部が撮った石川の正面からのスイング連続写真をもとに、体重移動の話で盛り上がった。阿部はさらに後方から撮ったスイング写真を見せて、質問攻めにすると会話はさらにヒートアップしていった――。
阿部
何年か前から大きくスイング改造をされているじゃないですか? 3年前と今って、この写真を見ても多分トップの位置とか、掌屈の仕方とか全然違うと思うんです。簡単には説明できないと思うんですが、どうやって変えてきたんですか。
石川
スイング改造ってやっぱりコツコツやること以外なくて。一番気をつけてきたのは、「できる範囲のスピードでやる」こと。やりたい動きは、いきなり速く振ったスピードの中ではできない。例えば掌屈を入れたくても、ドライバーで300yd飛ばしながらじゃ簡単にできないですよね。目指すところは“そこ”ですけど、できないうちはスローでやる。できるスピードまで落として取り組むから、最初は30yd以上飛距離が落ちましたね。
阿部
試合を戦いながらですよね?
石川
そうですね。スイングを変えるのには練習量も必要ですが、なにより忍耐力が必要。フェースに当たらなくなる感覚も生まれて、その気持ち悪い感覚とかとの戦いもある。正直、(スイング改造は)誰にもオススメできないです。
改造の中身は?「静かに切り返す」こと
阿部
そもそもスイングを変えようとしたきっかけは何だったんですか?
石川
スイングにずっとコンプレックスを持っていたんですよ。5年前ぐらいに、「ここが良くないから自分のレベルが上がらないんじゃないか」って考え始めて。最初は練習場で200ydぐらいのスイングなら、やりたい動きができるようになり、その次は練ランでできるようになって。その後はスローで打ってようやく250yd。そんな風に段階を踏んで修正していきました。でもまた試合になったら当たらなくなるし。自分との戦いがめちゃくちゃありました。
阿部
後方からよく動画を撮られているのを見ますけど、具体的にどの部分を修正してきたんですか?
石川
結構、技術的な質問が多いですね(笑)。基本的に、手と手からヘッドまでの動きを常にチェックしています。特にトップ辺りの動きが大事で、今はすごく「静かに切り返していきたい」と思っている。ボクの場合、トップでクラブが少しフラットでレイドオフ目に入ったあと、シャフトが一瞬暴れる癖があるんですよね。切り返しで力みにいった時にちょっとスティープ(立つ)になりやすい。そこが試合でいちばん出やすくて、そうならないように動画を撮ってチェックしています。
阿部
なるほど。石川プロのスイングを見ていて、切り返しのタイミングをどこで取っているんだろうといつも気になっていたんですよ。体重移動をしてから動き出す感じでもないですし。
石川
その質問、結構鋭いですね。ちょうどいま、切り返しのタイミングをどこで取るのがやりやすいか、考えているところでした。今までは勢いでクラブを上げて、その反動で左に振るみたいな感じで、一瞬で切り返しが終わる感覚でした。でも今はすごくゆっくり切り返している。静かに切り返したいけど同時にねん転もさせてパワーを出したいから、そこが難しいんですよね。
阿部
それ、よく分かります。具体的に体をどう動かして切り返しているんですか?
石川
左の腰や左のわき腹の辺りから回していくような感じですね。そこからスタートして、体を静かに使いながらいいところにクラブを通していく。インパクトでちゃんとボールに力を伝えていかなきゃとなると、やっぱり左サイドが最初に動き始めるしかないですよね。
阿部
でも実際、すごく静かにスイングしているように見えます。私も結構クラブが暴れちゃうタイプで、どちらかというと切り返しが遅くて。左に踏み込みすぎて、振り遅れたりすることがあります。速くしたいんですけど、そのタイミングが分からなくて。
石川
ボクは振り遅れもアリだと思っています。タイミングが遅れて右にボールが出てもフェースが開いていなければ戻ってくるので。振り遅れは悪いことですっていうレッスンがすごく多いですが、それはフェースが開いているからです。
阿部
練習ラウンドで、振り遅れる感じのシャドースイングをしていましたね。あれも敢えて振り遅れを作っていたということですか。
石川
そう。振り遅れたいと思っています。
阿部
ドローヒッターですもんね。
「つかまる」と「つかまらない」の足し引き
石川
ボクの場合、つかまる要素、つかまらない要素を足し引きしてドローを打っているんです。ウィークグリップで左に行きにくく(つかまりにくく)して、マックスで掌屈入れて(つかまりやすくして)、レイドオフ目のシャフトの状態を作って振り遅れ気味にクラブを下ろす(つかまりにくくする)。飛ぶのがいいとなると球がつかまるのが一番飛ぶんで、みんなつかまえたくなるんですよね。超クローズスタンスにして思いっきり左に引っ張れば絶対つかまるんですけど、じゃあそれでトーナメントを戦えるのかっていうとそうはいかない。「飛ばない=曲がる確率は減る」から、やっぱ飛ばない人の方がフェアウェイキープ率は高い。飛ばなくなったとしても、まずは正確性を上げて、その上で違うところで飛ばすのがいいんじゃないかと思ったんです。
阿部
飛ばし方を変えたということですね。
石川
そう。例えば切り返しは静かにするけど、その分、腹筋とか体を鍛えて飛ばすとか。手首とシャフトで思いっきりしならせて飛ばすんじゃなくて、クラブは静かに使って、足とか体で飛ばす。その理屈、ヒデキ(松山英樹)とかは最たるものですよね。 全然タメがないじゃないですか。
阿部
確かにないですね。
石川
上げて、そのまま下ろしている。タメがないっていうのは飛ばない要素ですけど、曲がらない要素でもあるんですよ。ヒデキは「飛ばない&曲がらない」のを、とんでもない強靭な体を作ってあれだけ飛ばしている。あの体だったら、手首とかを使ったり、タメたりしたら半端なく飛ぶはず。グリップもウィークに近いですしね。でも彼はそれをやらないじゃないですか。それがこう、ゴルフ脳が高いなっていうか。そこには着手しないで、足とかをとんでもなく鍛えて飛ばしている。ウィークグリップでいえば、デシャンボーもそうですよね。あれも飛ばない要素ですけどその分曲がらない。彼は腕をガチガチに固めたまま振りますが、トレーニングしてあそこまで飛ばしている。だからなんかこう、結局そのバランスなんですよね。
阿部
「つかまる&つかまらない」のかけ合わせってことですよね。
石川
そうですね。
◇◇◇◇
石川と阿部のやり取りはまだまだ続いたが、今回はこの辺でお開きに。撮影のあとに推しの石川の取材もでき、フォトゴルファー阿部未悠にとってとても充実した日本シリーズとなった。来年はどんなミッションに取り組んでもらおうか。(東京都稲城市/服部謙二郎)
以上、GDOニュース
阿部未悠にとって、石川遼のスイング改造に向き合う姿勢は勉強になると思いますが、スイング理論に影響されて不振に陥ることが気になります。渋野がスランプに落ちた原因が遼でした。
阿部未悠は異性に対する感情とは別に冷静に石川理論を参考にしてもらいたいものです。
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