リカバリーについて話を聞く機会があった。リカバリーとは「回復」「取り戻すこと」と訳される。今回は、病気からの回復をテーマに話を聞いてきた。その話の中で『自分の人生をちゃんと生きてる?』と問いがあった。
かのんは一瞬困惑した。それは、かのんの生い立ちに関わる問いだった。
かのんは病気のこともあったが、家族の中でとてもとても気を遣って生活していた。いじめられていたことも、学校であったことも言えず、1人気持ちを抑え込み悩み続けていた。それが当たり前だった。幼い頃は、自分の人生ではなく、家族や他人のために生きていた。
かのんは25歳の時に統合失調症の治療を始めたが、治療が始まって初めて「かのん」がやってきた気がする。治療を通して、自分は自分に優しくして良いことを学んだのだ。そこから、家族や他人のためではない、かのんは、かのんの人生を歩み始めた。
今、かのんは25年来の青春を取り戻すため、幼い頃よりわがままになり遊びほうけることもある。でもそれで良いと思っている。
だって、かのんはかのんの人生を生きているのだから。人生を生きるのがこんなに楽しいとは思わなかった。
これからも、かのんの、かのんによる、かのんの人生は続く。