タザ記

目指せ枕草子。

オリジナル小説 冬烈火 第4話

2020-12-19 23:02:00 | 小説
前回の続きです。では、どうぞ。

3人ははっとした。確かに、幸界の方向なんて一言も伝えられていない。門が開いた方向が正解だとは限らない。
「確かに…。どうしよう。」
華日が呟く。
「とりあえず進んでみるしかなくない?」
「でも、反対方向に進んでたりしたら…。」
「いや、とりあえず進んでみようぜ。」
「とりあえず行ってみたらなんか分かるんじゃないか?迷ってる時間がもったいないやん。
俺はこう提案した。
「たしかにそうやな。」
「何もしなきゃなにも起こんないもんね。」
みんなが賛成してくれた。俺たちはとりあえず進んでみることにした。

門がでてしばらくまっすぐ進んでいくと、少しずつ街らしさがなくなってきた。
「なんかこっちの方不気味じゃね?」
建樹が言った。
「まあそう楽には進めないんちゃう?」
俺はこう返したが、内心少し不安だった。
日没までにはまだ時間がある。戒を使うにはかなり体力を消耗するし、戒を使って夜を凌ぐのはかなり厳しいはずだ。夜は魔物が現れる可能性もある。なんとか安全な場所を確保しておきたい。
「そういえば、他の人たちが見えないね。」
鈴望がふと呟く。
確かにそうだ。とうに先に行ってしまったのだろうか。違う道に行ってしまったのだろうか。
「とりあえず、なんか街みたいなところ見つけたいよね。」 
華日が言った。ここで夜を明かすのはまずい。
「でも、方向が分からないし…。」
鈴望がこう言った。
「なあ、ちょっと考えがあるんだけど、いいか?」
建樹が言った。
「俺たち、身体能力を強化されてるんだよな?」言い終わると同時に、建樹がジャンプした・・・と、建樹は2mくらいとんでいた。
「え・・・?」
「やっぱり俺たちかなりすごくなってる。これならやれる。いくぞ!」
「ちょ、何するつもり…。」
俺が止める間もなく、
「風戒 渦昇(うずのぼり)!」
猛烈な風がまき起こった。建樹は風に乗って舞っていった。
「ちょっと!建樹!」
華日が叫ぶ。
「よし!みんな、分かったぞ!」
建樹の言葉で俺は全てを察した。建樹は空中に舞うことで上から方向をつかもうとしたのだ!と、感心したのもつかの間
「やべぇ!このままだと森に落ちる!!」
「戒を使って抜け出せないの?」
「だめだ!うまくいかねぇ!」
建樹は森に向かって落ちていく。何か方法はないのか…。

つづく。

ご覧いただきありがとうございました。
続きは明日です。


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