蒸し暑い日が続きます。
皆様お変わりありませんでしょうか?
4月から5月末まで約1ヶ月半にわたり
第5回カタコトの会展に向け
私なりに全力で走り抜いた小紋型
『而今之光』
何とか搬入当日に彫り上げることができ、展示会に間に合わせることができました!!!
バンザーイ!
(間に合わないかもしれないというストレスで食欲減退した程度には頑張ったのよ...痩せてないけど...😂)
シリーズ-紋様が生まれるとき-
小紋型紙『而今之光』編
こちらあらためて紋様について解説してみたいと思います。
お暇な方はお付き合い頂けましたら幸いです☺
まず而今(じこん)とは、禅宗の言葉らしいです。(てきとうか)
今、まさにこの時の一瞬一瞬を
大切に生きる
(一瞬の積み重ねで人生は成るのだから一瞬一瞬を大切にしなさい、というような教え)
この言葉を借りて
「今この時の持てる自分の力を知り、次なる段階へ成長したい」
という 願い
そしてもう一つ
「眩い光を浴びたその場その瞬間の感動を永遠にのこしたい」
という 衝動
この2つを形にしました。
過去のブログ↓
でもお伝えしたように
2021年に挑戦した二四萬柄(フシマンガラ)に続く、私にとっては高難度な細かな柄への挑戦第二弾!
それがこの而今之光(ジコンノヒカリ)なのです。
デザインのポイントはなんといっても
「がま彫り」
🐸(カエルじゃないよ?)
🕵////説明しよう!////
−−−−−−−がま彫りとは?
1本の線に太細をつけ、縞や格子柄の上に別の模様を浮かび上がらせた
デザインの総称だよ!
ありがとう!通りすがりの解説のお兄さん!
そう この
「がま彫り」に挑戦しました。
「がま」とは水辺の植物の「蒲」のことで、スラッと伸びた茎の先にきりたんぽのように膨らんだ何かがくっついているアレ。(アレは種かな?触ると塊が爆ぜると聞いたことあるんですが😱記憶違いでしょうか?がま怖い...😱)
線の太さが途中で変わるから、そんな名称なのだと思います。
型紙にはあまり正式な資料というものがありませんので、私の想像でご説明させて頂いています。悪しからず。
型紙の彫り方ではなく、模様の総称なので、彫刻技法としては「縞彫り」や「突彫り」で制作したものが多く、その他の技法(錐彫りや道具彫り)では使わない表現です。
型紙の彫刻技法について知る
【伝統的な規則的模様の作り方】
本来、がま彫りをする縞や格子の図柄は刃先を潰した小刀のような道具で紙の表面に傷をつける「けん引き」という手法で、うっすらと引かれた線をもとに、図案をこしらえます。
縞や格子に限らず、錐小紋の行儀柄や道具彫りのお召十などの緻密な模様も、規則的な並びできているものは全てけん引きで丹念に丹念に下準備をして型紙を彫っています。
総けんと呼ばれる全力でけんを引いた型紙は丸1日以上かけてけん引きを施します。。。😱
(画像:道具彫りの兼子さんの型紙の表には図案の紙にびっしりとけん引きの線が...みえるかな?)
けんが正確に引けていなければ
模様はたちまち歪み、
歪みは反物として繰り返し繰り返し現れることで、
例外なく失敗作となります。
繰り返す柄が多い型紙にとって
非常に非常に重要な作業。
それがけん引き。
そんな重要な作業を....
実は私は修行していません!!!
???
唐突なカミングアウト!😂
なので
これができる職人さんや、習っている若手の皆さんには本当に頭が下がります🙇
みんなスゴイよ!✨✨✨
重要な修行をさぼって、どうやって格子柄の型紙を彫っているのか?
気になりますか?
気になりますよね?
ならなくても聞いて下さいね(圧)👹
私が彫っている途中の写真をご覧頂くとすぐに想像がつくはず。
渋紙の一番表面に貼り付けたピンクの下絵は、ご推察の通り、
パソコンで下絵を制作しプリントアウトしたもの。
パソコンが少々使える人なら
「そんなことか!」と思う方もいるかもしれません(笑)
私の前職は印刷会社のデザイン部門。(隅っこで絵を描いてただけですが)
ある程度のデザインをパソコンで作ることができます。
また、現場主義の修行をしてきたのでお客様のためにも時短できる部分は時短して、早く美しく正確なものを作ること
を旨としてきました。
つまり仕事で彫るなら
お客様(染屋さん)が問題なく使える伊勢型紙であれば、やり方は人それぞれ。その人に向いているやり方をすればオッケー
と、私は捉えています。
※一個人の意見です
言ってみればパソコンは画材。
パソコンを使わない人はけん引きと定規、コンパスなど手作業で行います。
プロセスが違うわけですから、
デジタルとアナログ
それぞれの手法だからこそ生まれる
それぞれのデザインがある!
得意分野を伸ばせば良いと思っています✨
(逃げ口上かもしれませんが(笑))
「二四萬柄」と「而今之光」は、実はパソコンで制作するからこそ生まれたデザインなのではと思っています。
デジタルだからこそ
線の太細で現れる模様の印象の僅かな違いを何度も何度も厳密に調整することができます。
(ただしプリントされる図案は理想の姿でしかなく、それ通りに完璧に彫れるかと言われたら彫れない。ぐぬぬ)
デジタルだからこそ
広範囲に変化を加えた表現(二四萬柄の波紋や而今之光の光線)が、どのように連続して展開していくかを容易に確認することができます。
もちろん図案制作において、パソコンではできないもの、向いてないものもありますから、もしかしたらいつか改めて「けん引き」を修行する日が.....
来るかもしれません.....
😱ヒィ
定規が大の苦手な私には心底ゾッとする作業です...
(車の便利さ知ってしまった人類が、徒歩でしか移動できなくなるような感覚かもしれない)
現代の手法を取り入れつつも
手製の小刀で彫り上げる染め型紙
という型紙にとっての芯の部分は守る。
新しいデザインを貪欲に取り入れて
今を生きる人が胸躍る物を作る。
この挑戦が、伊勢型紙という伝統工芸にとっての未来へのヒカリになると信じてこれからも進化させていきたいです✨
いつかは
親方の背中に
追いつけるように.........🔥
さて、
この小紋型紙「而今之光」を
へ出品できるのはまさに奇跡的なマッチング!!
而今之光というタイトルは、この型紙を制作する毎日が始まってから
ふと眠れない真夜中に降ってきました🌠
半分寝たまま、忘れないようすぐに携帯に打ち込んでメモしました😅
私の職人人生
あとどれだけ続けられるのかは分かりませんが、今この時の型彫師としての記録です。
更新し続けなければ意味がないと思います。
今この時に、持てる全てを注ぎ込んだ熱を会場にて
ほーーん😗
てなもんで皆様にご覧いだければ御の字でございます。
いつか
こいつあ誰が見てもやべぇ型紙だ!!!😳😳😳
にたどり着く
確かな一歩になると信じて。
(きっといつかは!!やれば出来る子!)
自分の伸びしろに自分で期待してあげた所で(さびしい奴だな)
今回はこの辺でお別れ。
本日も駄文にお付き合い頂きありがとうございました😄
而今之光のお話はもう少し続きます。
それでは本日も皆様良い1日を〜(^o^)/