昨年の今頃は、
藍田愛郎さんの染めで、晴れて只今工芸展展示会で巡回中の着尺に使用頂きました小紋型紙「而今之光」をあと2日で完成させねばと半狂乱で彫っていた日であり、
そして
買い物にでかけていたはずの親方の突然の訃報を聞いた
その日でありました。
あれからちょうど1年。
一周忌です。
師弟というより
親子のように二人で過ごした9年。
そして2019年からは妹弟子が増え、
しばしば那須がへそを曲げて親方と険悪になればクッションとして工房の空気を和らげてくれつつ
賑やかに過ごした2年半。
もっと優しく接してあげれば良かった...とか(←親方にする類の後悔ではない😅)
親方に対する後悔もいくつもありつつ
そして居なくなって改めて
その偉大さ、思いやりの深さ、志の大きさや強さを感じる毎日です。
出会う事ができて良かった
生田さんが親方で本当に良かった
慎み深く 穏やかで 芯があり、
真面目で 努力家で 向上心があり
決して奢らず
弟子にさえ感謝できる
人が集まる賑やかな場所では
いつも部屋の隅に腰掛け
笑顔をたたえているような
そんな人でした。
国として守るべき価値の高い技と文化芸術であると認められた伊勢型紙の名に恥じぬ仕事を遺したいと
技術の練磨に励み
型紙を志す若者達に耳を傾け、
力を貸し、
自分を後回しにしても我ら弟子たちの成長に尽くし、
弟子たちの成長を誰よりも喜んでくれる
そんな人でした。
私が車を持たず自転車暮らしができていたのも、
一人暮らしで友人を作らなくても全く寂しく無かったのも、
全ては親方の生田さんが居たからだったのだと
居なくなって始めて気が付きました😅
現在工房兼住居にさせていただいている親方の家は一人暮らしにはありえない8LDK庭付き駐車場付き
広い!
広すぎる!
家賃を払ってお借りするようになっても、通っていた頃と変わらず、会議室的な小部屋の片隅で座布団を並べて寝る仮眠スタイルを続けています。
やっぱりなんとなく親方の家は
あくまで親方の家なのです。
アテバ(作業台)だけでなく
柱や冷蔵庫
庭木のハサミに至るまで
残された全てに親方の存在を感じ
正直今でも猛烈な寂しさに襲われます。
しかしこうして寂しいと口にできるほどには、失った衝撃と寂しさに慣れてきた
ということなのだと思います😅
一周忌を迎えるに当たり、那須と妹弟子で先日親方の息子さんご家族を工房にお招きし、ランチをとりながら歓談をしました。
息子さんにとってはご自分が生まれ育ったお家。
親方がいた頃はたまに帰省され、私も何度かご一緒したので、これは親方不在でも続けたい!と思い立ち、お呼びしてみました。
親方を懐かしみ、色々とお話ができて良かったです☺☺☺
妹弟子は週に2回程度は作業場として通っています。
私の生存確認も大切な仕事です。•̀.̫•́✧
彼女も少しづつ
しかし着実に技術を磨いています。
那須に負けないくらい型紙のプロになる!という強い意思を持っているので、根性も成長スピードも頼もしく、少しづつ練習以外の制作作業にもタッチできるようになってきました。
そういえば
その時は彼女は練習作品でしたが
二人で黙って作業をしていると、
「なんか今、急に
すごい仕事場感あるって
感じました!」
とか、わけのわからないことを言ってるので🙄
仕事場“感”じゃないぜ?
君は仕事場にするんだぜ?
リアルにな。
と口にはせず鼻で笑っておきました😏
(このすぐ後、嫌というほど二人仲良く納期に追われて修羅場を経験したので、彼女自身何言ってんだ?と今ならつっこめることでしょう...)
またある日には、生田工房の我ら以外の若手彫師見習いの女性に来て頂き、型彫りに使う特殊な彫刻刀のメンテナンスをしてもらいました。
代わりに私はお粗末ながら小刀に関する手ほどきさせて頂きました😄
技法違いで修行する若手同士が助け合い、普段抱えている疑問や野望を交流する良い機会となりました。
親方は今は居ませんが、若者を応援する気持ちが強かった親方なら
この工房で妹弟子がクタクタになって頑張る姿も、若手同士が協力して夢を語り合う姿も、
きっと目を細くして眺めてくれているに違いないと思うのです。
そういう場にこの工房がなればいい。
私もこの場と思いを引き継いでいきたい。(2023.5.25)
と、今日の気持ちをこちらに記しておきたいと思います。
親方を褒めに褒め散らかした今日のブログ。
次回は親方の残念な部分を集めて記し
上げて落とす作戦か?
くだらないことを言ってないで25日のうちにアップしたいと思います。
今日はこの辺で!
お読みくださりありがとうございました🙇