
岩隈久志投手が今シーズン限りでの引退を表明した。年齢的にも頃合いかとは思うが、最後に在籍した巨人で、一度も一軍での登板がなかったことは寂しいところである。
個人的には大好きな投手の一人であり、タイプは違うが田中将大があれだけ大成した要因のひとつに彼の存在があると思っている。
小生の独断と偏見混じりで改めて彼についてスポットを当ててみたい。すでにニュースなどでも取り上げられているが、球歴は近鉄→オリックス→楽天→マリナーズ→巨人。
通算成績は、170勝108敗、投球イニングス2424、被本塁打224、奪三振1889、与四球527だ。沢村賞をなんと五位のチームにいて受賞している。
冷静に見てほしい、四球は約4.6イニングスに1個・・・つまり完投して、平均して四球は2個弱なのだ。また本塁打は完投して1本弱という・・・
特筆すべきは沢村賞を取った2008年だ。21勝4敗201.2イニングスで、被本塁打3というものすごい成績だ。この年は四球も5.58イニングで1個だ。
ではここで、皆さんに聞いてみたい。岩隈投手ってどんな投手だったかイメージがある人? と。多くの方が名前は知っているが・・・くらいではないかと。
キャリアで見ればわかる通り、日本では話題になるような球団にはおらず、剛速球でバッタバッタというイメージがないからかも知れない。
マスコミでの取り上げ方も、大リーグ時代も含めて、ダルビッシュや田中将大あたりと比べて控えめだった。さらには広島に戻った黒田あたりよりも・・・
また完投に固執せず、途中で交代することも少なくないスタイルは張本あたりからは嫌われていて、サンデーモーニングなどでもおよそ悪口しか言われていなかった。
また近鉄がオリックスと合併・消滅するときに楽天への移籍を志願したことでわがままな奴みたいなイメージもあったかも。
そういう意味では大リーグへ挑戦し、当時マスコミも含めて裏切り者扱いされた野茂投手とも似ているかも・・・ハッ、考えればどちらも近鉄じゃないか。
だが、数字でみれば、完投すれば平均して7個の三振を取っている。決して少なくないはずだし、大リーグでは(少なくとも当時は)ダルビッシュより評価は高かったという。
というのは、大リーグで重視するクオリティスタートの率が極めて高かったからだ。それはとりもなおさず、抜群のコントロールがあればこそで、あらためて彼の投球フォームを見てほしい。
実は途中で二段モーションの禁止でフォームは変化しているが、このフォームは変化後のもの。頭がまったくといっていいほど動いていない。こちらは大リーグ時代のものだ。
つまり、彼は全身をフルに使って投げていないのだが、190cmの身長をフルに使えばもっと威力のあるボールが投げられるはずだが、彼はそれよりもコントロールを選んだという。
コントロールというと、かつての大投手東尾が思い出されるが、与四球の率では岩隈の方が圧倒的に優れている。
残念ながら日本では闘志むき出しのスタイルとか、勝利数が物差しになってしまうが、(失礼ながら)主として弱小チームに在籍して、170勝というのは素晴らしい実績だ。
実際、沢村賞のときは21勝というが、チームの勝利数65の1/3を一人で勝ち取っている。もっともっと評価されるべき投手、それが岩隈久志投手だと小生は思っている。
正直、楽天のユニフォーム姿しかうかばなかった・・・。
おつかれさまでした。
おっしゃる通り、巨人にいたこと自体が知られていないかもです。
マリナーズを辞め、巨人からオファーがあったのですが、結果としてケガが治らず・・・だったようです。個人的には楽天に戻って最後の一花を咲かせてほしかったです。楽天創立時代の頃の最後の一人です。