沖縄県は30日、新型コロナウイルスに感染した90代男性1人の死亡と、10歳未満から90代の1058人の新規感染を発表した。1日の感染者数が1千人を超えるのは3月1日以来、29日ぶり。県の糸数公医療技監は、直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数が400人に迫っていることや、20代の感染者の増加の勢いなどから「新しい流行が今、始まっている可能性はある」との認識を示し、感染拡大に注意を呼び掛けた。
前週水曜日の感染者913人に比べて145人増え、8日連続で前週の同じ曜日を上回った。人口10万人当たりの新規感染者数は389・33人と東京を上回り、5日連続で全国ワースト1位が続く。
入院中の人は146人で、このうち重症は1人、中等症は71人。病床使用率は23・4%にとどまっている。重症化リスクのある高齢者などに感染がそれほど広がっていないためだという。ただ、糸数技監は「これからオミクロン株の派生型の勢力が増してくると、入院者も増えると考えられ、予断を許さない状況だ」と強調した。
在沖米軍関係者は計59人の感染報告があった。
横浜市立大学は新型コロナワクチンを接種した人で、オミクロン株の感染を防ぐための「中和抗体」を持ってる人は3割ほどにとどまるという調査結果を発表しました。
横浜市立大学のグループは今年1月から2月にかけて、横浜市に住むおよそ120人を対象にコロナの感染を防ぐために十分な「中和抗体」を持っているか調べました。120人のほとんどがワクチンの2回目接種を終え、3回目を受ける前でしたが、デルタ株を予防できる中和抗体があった人は74パーセント、オミクロン株では28パーセントにとどまったということです。
研究グループは“第6波”の感染拡大に関連している可能性があるとしていますが、「3回目の接種で抗体の量を補強することが出来る」との見解を示しています。
防衛省は29日、自衛隊が東京・大手町で運営する新型コロナウイルスの大規模ワクチン接種会場について、予約が低迷しているため、4月4日から27日まで、1日当たりの接種人数を現行の5040人から3千人に減らすと明らかにした。縮小するのは1週間のうち日曜から木曜の5日間で、比較的予約が入っている金曜と土曜は5040人を維持する。
防衛省によると、大型連休期間を含む28日から5月8日は再び5040人とする。5月9日以降の接種人数は、今後の予約状況を見て判断する。
大阪会場の接種人数は1日当たり2500人で変わらない。
新型コロナウイルス対策における高齢者への3回目のワクチン接種が80%を超えたことが28日、政府の集計で判明した。オミクロン株による感染流行の第6波は感染者数の減少局面に入ったものの、下げ止まりがみられる地域もある。年度替わりでの接触機会の増加と、オミクロン株の派生型「BA・2」への置き換わりが懸念される中で、接種の進展が医療負荷の軽減につながるとの期待もある。
「感染者が増え、医療の負荷や死者の増加傾向が予測される状況になれば、当然、対策が必要になってくる」。厚生労働省にコロナ対策を助言する専門家組織の脇田隆字(たかじ)座長は15日の会見で、リバウンド発生時の対応にこう言及した。
発言の念頭には、過去最多の感染者数と死者数を出した第6波の感染拡大があったとみられる。死者の多くは70代以上の高齢者で、コロナ感染で持病を悪化させての死亡例も目立った。
第6波ではオミクロン株の「BA・1・1」系統が主流だが、これより26%感染力が強いとされる「BA・2」への置き換わりが進む。国立感染症研究所は既にBA・2が過半数を占めている可能性があると分析し、5月上旬にはほぼ完全に置き換わるとみている。
第6波と同様にBA・2の感染が現役世代に広がれば医療従事者の欠勤による医療体制の縮小が生じ、高齢層の死者数増加という事態が再び起きかねない。
21日で蔓延防止等重点措置も全面解除された上、年度替わりや春休み、花見のシーズンが重なり、人々の接触機会の増加が見込まれるという状況もある。
しかし、第6波の流行期と異なるのは、3回目のワクチン接種率だ。27日時点のデータでは、感染者数がピークだった2月1日時点で8・6%と1割にも満たなかった高齢者の接種率は3月10日に7割を超えた。高齢者の死者・重症者が比較的少なかった昨夏の第5波では、急拡大前の7月下旬に高齢者の7割が2回接種を終え、8月に入った時点で8割を超えていた。
2回接種後からの時間経過で著しく低下したオミクロン株感染への発症予防効果が3回目接種で回復する上、BA・1とBA・2で効果に大きな違いがないとの報告がある。さらに、専門家の間では感染・入院予防効果も取り戻せるとの見方が広がっている。
脇田氏は「重点措置の解除で新規感染者数の上昇圧力は強まるが、高齢者へのワクチン接種で重症化予防効果が効いてくれば医療の負担が軽減される期待もある。基本的な対策で感染状況の改善を継続し、医療の負荷を見ていく必要がある」との認識を示した。