KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

牧ノ戸峠から久住山~九州の百名山と秘湯の山小屋 2023.10.31-11.2 [久住山1,786m]

2023-12-23 15:22:49 | 中国・四国・九州の山

一日目は阿蘇の北に広がる瀬の本高原で宿泊。翌朝、牧ノ戸峠からくじゅう連山の主峰久住山に登り、坊ガツルの山小屋に宿泊。最終日は長者原に下り、星生温泉で山の疲れと汗を流します。

瀬の本高原ホテルの背後にはくじゅう連山、正面に阿蘇山を望みます。

ホテルからの阿蘇五岳は雄大です。さらに、囲いのない露天風呂からはパノラマの絶景。

多くの人で賑わう牧ノ戸峠。ここから久住山まで標高差450m。

三つの峰が特徴的な三俣山。振り返れば遠く由布岳も。

星生山への分岐。久住山はまだまだ遠いので、あきらめて引き返す人がいました。

避難小屋手前から久住山の全景です。東洋のマッターホルンと呼ばれているとか。

硫黄山の荒々しい山肌が現れました。今も噴煙を上げている活火山です。

すぐ隣が九州本土最高峰の中岳。くじゅう連山には標高1,700m以上の山が9座もあります。

岩だらけの急坂を登り山頂に立てば、九州全部を眼下に収める壮大な風景。

牧ノ戸峠から軽装で登る人であふれています。

噴煙を横目に北千里浜から坊ガツルに下ります。急斜面で転倒してケガをした人がいました。

標高1,303mの法華院温泉山荘に到着。看板が輝いています。

実は天台宗のお寺です。

源泉かけ流しの湯船には、糸クズのような湯の花が舞っています。まさしく秘湯。

山小屋というより旅館ですね。収容人数は120名。

手作りの夕食。

人気の山小屋なので著名人もたくさん訪れています。

坊がつる賛歌は芹洋子の紅白出場曲。9番まであるとは知らなかった。

建物の随所に歴史を感じます。

二階建て個室棟(上)と三階建て大部屋棟(下)に分かれています。風呂への道順がまるで迷路。

個室が多いので空いていればゆっくりできます。当然ですがテレビはありません。

6月は大船山や平治岳がミヤマキリシマでピンクに染まります。

すがすがしい朝の山荘。背後の三俣山が大きい。

山荘正面の立中山から朝日が昇ります。左手にぶら下がっているのは杉玉?

この時期、坊ガツル湿原はススキの季節。

春の野焼きがこの景観を維持しているそうです。

雨ケ池は池というより湿原です。

長者原まで下ってきました。やまなみハイウェイで別府や熊本へ。

星生温泉からはくじゅう連山が目の前。ここでも湯船に湯の花が舞っていました。

コミュニティバスで豊後森へ。JRに乗り換えて博多へ。

登山口周辺には筋湯、寒の地獄、黒川など魅力的な温泉が多く、別府や湯布院から九州横断バスを利用することもできます。温泉めぐりをしながらくじゅう連山を歩くのも面白いかもしれません。

 

九州横断バス | 産交バス情報サイト(熊本⇔阿蘇・湯布院・別府)

コミュニティバスの運行について | 九重町(豊後森・豊後中村 ~ 牧ノ戸峠)

高速バス情報|西鉄グループ(福岡・福岡空港 〜 杖立・黒川温泉・瀬の本)

 

 

 


大歩危・祖谷から剣山~四国の秘境でゆる登山 2021.10.30-31 [剣山1,955m]

2021-11-08 14:33:59 | 中国・四国・九州の山

大歩危駅を昼過ぎのバスで発つ。特急が停車する無人駅は珍しい。見ノ越までバスは曲がりくねった祖谷の山間を進む。平家落人伝説の地で、山の傾斜地に集落が散在している。乗客は私たち以外におばあさんが一人。阿波池田まで2時間かけて買い物をしてきたようだ。「どこに行くの」と話しかけてきた。私たちがこんな田舎に何しに来たのか不思議だったのだろうか。見ノ越に近づくと紅葉シーズンのためマイカーであふれていた。

登山口の見ノ越から西島まで標高差300m。歩いて登れば1時間だが、登山リフトを使えば15分で着く。西島から山頂まで道は3本あるが、道を間違えて直登コースに入ってしまった。トラバース道で軌道修正して大剣神社に出た。ご神体らしき大岩の下に神社がある。このあたりは道が縦横にあるのでどこを歩いても1時間以内で山頂にたどり着く。

西島から40分ほどで剣山と次郎笈(ジロウギュウ)の分岐に出た。次郎笈までミヤマクマザサに覆われたなだらかな道が続く。ここは太平洋からの風の通り道なのか、強烈な風に指先の感覚がなくなった。あまりの寒さで次郎笈登山をあきらめ、峠手前から分岐に引き返して剣山を目指す。歩いた距離はわずかなのに疲れた。山頂は平らで広く、木道が一帯に敷かれている。私たちが山頂に到着するのを待っていたかのように周囲はガスに覆われた。

山頂直下、神社に並んで頂上ヒュッテがある。この雰囲気は石鎚山と似ている。数年前に改装されたそうで、木をふんだんに使った屋内は気持ちがいい。わずかな追加料金で個室も使える。風呂があり、アルコールの種類も多い。さらに山頂測候所のおかげで電気が通っている。消灯時間がないので個室で一晩中飲みあかせる。私たちのようなのんびり登山派にはありがたい。田中陽希さんが訪れた際の写真が飾ってあった。外気温5度。

翌朝は雨。雨上がりを待ってふたたび山頂を散策。雨の後の次郎笈が美しい。遠く三嶺からの縦走路が望める。南は太平洋、北は瀬戸内海。天気が良ければ大山まで見えるそうだ。リフトの休憩所に観光ポスターがあった。農作業中のお年寄りの写真と「ななめの畑で、真直ぐ生きる」のキャッチコピー。祖谷の生活をうまく表現している。リフトで下山。

見ノ越からバスで新祖谷温泉のホテルかずら橋へ。昼食プランは、でこまわし、祖谷蕎麦、シシ鍋、アユの塩焼き、…、豪華だ。祖谷にはケーブルカーに乗って露天風呂に行くホテルが2軒あるが、ここはそのひとつ。遊園地のアトラクションのようで面白い。天空露天風呂からは目の前に里山風景が広がる。緊急事態宣言が解除されてから連日満室だとか。お昼の客が私たちだけなで、秘境の生活を根掘り葉掘りたずねたが、ていねいに教えてくれた。

フロントでかずら橋まで行くと伝えたら、ありがたいことに車で送ってくれた。かずら橋を見るための橋が隣に架かっており、夕暮れ時なのに観光客が多い。平家の落人が追っ手を退けるために、切って落とせるカズラで作ったのが始まりだとか。現存するのは3つだが、この橋を渡るために遠くから多くの人が訪れる。小さな橋を観光資源にした発想は素晴らしい。

夕方、大歩危駅で観光協会の方が私たちの忘れ物を手にして待っていてくれた。祖谷の人は素朴で親切だ。

「ななめの畑で、真直ぐ生きる」

過疎地、限界集落などと呼ばれる村の暮らしを垣間みた山行でした。


九重連山~迷子が四人 [稲星山1,774m]

2020-05-23 19:38:06 | 中国・四国・九州の山


私が道を間違えたことに気づいたのは、山小屋を出て1時間も歩いた頃だろうか。分岐点で地図を引っ張り出してはじめて分かったのだが、今更引き返すのも面倒だと思ったのがいけなかった。まだ、この時は何とかなるさと、かなり楽観的に考えていた。

〈 坊ガツル 〉

私たち2人は初日の朝、別府でフェリーを降りてバスで登山口まで行き、2時間の登りで法華院温泉に到着。温泉でゆったり過ごし、翌日は薄曇りの空を眺めながら久住山めざして小屋を発った。地図で何度も進路を確かめるが、道が次第に曖昧になってきた。さらに空模様まで怪しくなってきた。天気予報は晴れのはずだが。分岐では確信をもって直進したのだが、ここで間違えた。天候はますます悪化。霧と風雨が強くなってきた頃、山頂に到着。しかし、そこに予想していなかった文字を見た。なんと、私たちは違う山の頂に立っていた。

風雨はますます強まり、砂粒を飛ばす。立っていることさえ困難だ。濃い霧が行く手も、来た道も覆い隠してしまった。冷たい雨が体温を急速に奪う。ケルンの陰で小さくなって天候の回復を待ったが、時間は無為に過ぎて行くばかり。とにかく来た道を戻ろうとするが、完全に道を見失ってしまった。目の前は崖。進むことも戻ることもできない。血の気が引いていくのが感じられた。記憶をたどり行ったり来たり、何度も道を探すが、この霧では絶望的だ。晴れてさえいれば難なく道が見つかるはずだが。

大きな岩陰を見つけて雨宿りをしようともぐり込むと、中に人の気配。彼は麓のキャンプ場に家族を残して久住山めざしたところ、私たちと同じように道に迷ったという。3人であたりを何度も調査するが、やはり道はない。突然彼は焚き木を集めだした。今夜はここでビバークするつもりらしい。残した家族が捜索隊を呼ぶかもしれないなどと、落ち着いた口調で言う。「久住山中で3名遭難!」新聞の見出しが頭をよぎる。冗談じゃない。私は「方向は間違っていない。こっちに進めば必ず道に出るはずだ」と主張し、協力を要請した。

ここで別々の行動は取れない。しぶしぶ彼も私に従い、歩き始めて10分ほどで道に出た。感激で涙が出そうだった。そこにもう一人、道に迷った登山者が現れた。いったいこの山域はどうなっているのだろう。標識さえ整備されていれば、こんな低山で同時に4人も道に迷うはずがない。先の男性はキャンプ場めざして下山していった。雨で道が崩れているので、私たち3人はまたしても道に迷ってしまった。ようやく法華院温泉を見つけ出したときは、あれほど私たちを苦しめた濃い霧は晴れ、雨も止んでいた。悪夢のような一日だった。

【1994.5】


成就社から石鎚山 2016.8.14-15 [天狗岳1,982m]

2016-09-02 15:35:24 | 中国・四国・九州の山


新幹線と特急を乗り継ぎ伊予西条へ。バスに乗り換え石鎚山ロープウェーの下谷駅へ。バスは山間部をだらだら進み、乗客は数えるほど。街はさびれた店や温泉宿が建ち、登るにつれお堂や役行者の像が現れた。古くからの宗教の山だと感じる。ロープウェーで一気に1,300メートルへ。山上駅から20分で旅館街を過ぎると立派な成就社へ。ここで昼食をとる。

成就社

12時40分出発。いきなりの下りでもったいない気分。鞍部で登り返し、やがて階段の急登。下山者が、おのぼりさんです、というのを不思議に思っていたが、登山者に対する挨拶らしい。子供連れや軽装の登山者が多いのは、日帰り登山だからか。試しの鎖が現れた。過去に登った時は一の鎖や二の鎖などすべて登ったが、最近は登る人が少ないのか、鎖場の登り口が不明瞭。

 

ブロッケン

15時40分、ちょうど3時間で頂上小屋へ。すぐ上が奥宮で、眼前に天狗岳の尖峰がそびえる。宿泊の申し込みを終えて外で過ごしているとブロッケンが現れた。美しい山並みの向こう、遠くで海が赤く染まっている。奥宮で夕拝が始まるというので参加した。神事が始まり、全員で祝詞を読み上げる。貴重な体験ができた。夕食はカレーライス。消灯前に外に出ると頭上に夏の大三角がずいぶん大きい。

天狗岳 

奥宮

翌朝、ご来光は地平線に雲があり望めなかった。やがて朝拝が始まった。今回も祝詞を読み上げる。最後に3体の御神象を触り礼拝する。7時50分、下山開始。過去に登った時と道が変わったようで、桟道や階段が多い。10時10分、成就社到着。お宮では神職が神事を行っていた。登りのロープウェーは臨時便が出るほどの大混雑。皆、山頂を目指すのだろうか。

頂上小屋

四国の山並み 

伊予西条までは来た道を戻る。バスの乗客は私たち以外に一人だけ。ここから松山へ。今では珍しい市電で道後温泉へ。路面を走るSLとすれ違った。街は平日にもかかわらず大勢の人でにぎやかだ。松山は四国で一番大きな町かもしれない。商店街を通り抜け今日の宿、宝荘へ。温泉で旅の疲れを癒すことに。

道後温泉