KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

別当出合から白山 2015.8.15-18 [御前峰2,702m]

2015-08-29 21:28:05 | 北陸の山


20代でテントを担いで登った白山は、雨中の山行だった。ガスで視界のない中を、ただひたすら山頂目指したことしか記憶に残っていない。昨年の北岳に続いて今回も、私のとってリベンジ山行となった。

白山は、始発を利用してもその日のうちに山小屋にたどり着けない。夜行バスを利用するか、前泊するか、どちらにしてもアクセスが大変だ。しかも金沢駅からの登山バスはお盆までの運行だから不便なこと。関西人にとっては近くて遠い山だ。ということで今回は、前泊に白峰温泉、後泊に一里野温泉と、のんびり温泉三昧の登山となった。

金沢駅

新大阪からの高速バスが事故で1時間遅れ。金沢駅はお盆の週末ということで、大勢の観光客で混みあっていた。ニュースによると、この日は兼六園が無料開放され、新幹線開通の影響もあってか観光客は例年の50%増だったそうだ。今や金沢のシンボルとなった鼓門では記念撮影の列ができていた。名物店の回転寿司で昼食をとり、JRで西金沢駅へ。

ホテル八鵬

金沢から一駅でまるで片田舎の無人駅。金沢の賑わいが嘘のようだ。ここから北陸鉄道のレトロな電車で鶴来へ。文化財のような鶴来駅から路線バスに乗り込んだのは、私たち以外にたった1人だけ。バスは手取川沿いを、人家のない山あいを進んでいく。今日の宿は、白山麓の白峰温泉にある桑島温泉ホテル八鵬。夕食は囲炉裏を囲んでの炭火焼料理。

炭火焼

翌朝、一風呂浴びてから白山登山バスで登山口へ。お盆を過ぎると一転してシーズンオフのようで、座れないと思っていたバスは10人も乗っていない。古い板壁の街並みが保存された白峰地区を通り、川沿いの断崖絶壁の道を走る。ビジターセンターのある市ノ瀬を過ぎ、1時間の乗車で別当出合へ。立派な休憩所があり、ここで準備を整える。

砂防新道

標高1,260mの別当出合から、室堂への最短コースの砂防新道を登る。暑い。しかも無風。20分歩いて休みのペースでブナ林を黙々と登る。砂防新道という名前の通り、面白味のない道だ。途中で下山者が、大蛇が出たというので、疲れが一気に吹っ飛んでしまった。池にはサンショウウオのオタマジャクシ。中飯場の手前で不動滝が見えてきた。

サンショウウオ

環境省が建てた甚之助避難小屋は、木材をふんだんに使った立派な小屋でトイレもきれい。登山道の標識に環境省の文字が目立っている。ここから先、標高2千mを超えると樹林帯を抜け、展望が広がり高山帯の景観になってきた。気温も一気に下がって気持ちがいい。道の随所に豊富な湧き水があり、色とりどりの高山植物が咲き乱れている。

十二曲がり

十二曲がり

十二曲りの急登は、斜面を覆いつくすお花畑の群生地。延命水で気のせいかパワーが回復した。一口で10年長生きだとか。黒ボコ岩を過ぎると道は一変して穏やかになり、広大な弥陀ヶ原の湿原では木道を進む。正面には最高峰の御前峰がそびえる。さらに五葉坂の急坂を登りきると突然、眼の前に室堂ビジターセンターが姿を現した。標高2,448m。

黒ボコ岩

弥陀ヶ原

一般の宿泊棟は4つもあり、750人収容というのは白馬山荘に次ぐ規模。公営施設のためか1泊2食8,100円。いまどきこの料金は驚き。ただし、ここで購入したビール缶やカップなどすべて持ち帰り。スタッフも登山客もマナーがいい。自然解説員が常駐しており、一日に何回か自然観察会が開かれる。センターの周りには散策道がいくつも設けられている。

室堂

室堂

荷物を預けて、山頂を目指す。白山神社の横を通り、青石を過ぎるとそこから先は天上界。ハイマツと岩の急坂を1時間足らずで奥宮の建つ山頂2,702mへ。大汝山、剣ヶ峰、三つの火口湖が美しい。私たちの後を登ってきた子供たちがすごい、きれいだ、と大騒ぎ。1時間あまり過ごすうち、東の空が晴れて遠く北アルプスや乗鞍岳、御嶽山が見えてきた。

御前峰

御前峰

御前峰

室堂

山小屋の食事はセルフサービスの自由席。広々した食堂は気持ちがいい。20人収容の二段ベッドの部屋は半分を私達ふたりで独占状態。混雑時はひとり肩幅程度しかスペースがないそうだが、今日は宿泊者が少ない。いつもなら暗くなったら星空を観察するのだが、今夜はその元気もなく、すぐ就寝。1日で1,500m登ったのだから疲れた。20時30分消灯。

高天原

室堂

翌朝は未明から大雨。朝食は私たちが最終組。部屋に戻ったら掃除が始まっていて、荷物が廊下に出されていた。特にすることもないので10時までゴロゴロ過ごす。BS番組で小野寺昭さんを案内した自然解説員が、また来週、と言って下って行った。週末だけ室堂に滞在するようだ。エコーラインから砂防新道を下り、別当出合へ。下山後豪雨となる。

小野寺

郵便局

登山バスとコミュニティバスを乗り継ぎ、一里野高原温泉ろあんへ。ここは白川郷から金沢へのルート上にあるためか、宿泊客が多い。夕食は今回も炭火焼料理。林に囲まれた露天風呂は珍しい畳敷き。翌朝、温泉直行バスで金沢駅へ。今回は岩場、湿原、お花畑、残雪、火山湖、展望など、北アルプスに劣らず変化に富んだ山旅だった。

登頂証