KAWORUの山日記~今日も雲の上!

百名山や日本アルプスの旅の記録

新穂高から黒部源流の山へ 2012.8.8-11 [双六岳2,860m・三俣蓮華岳2,841m・鷲羽岳2,924m]

2012-08-14 21:01:41 | 北アルプス


原生林と清流‐わさび平
新穂高温泉から林道を1時間余りでブナ林に囲まれたわさび平小屋。小屋の前に川が流れているのでここでは風呂に入れる。

槍・穂高の展望台鏡平
山小屋の朝は早い。4時半にはすでに出発するグループも。最後に残った私たちは6時40分出発。秩父沢の水は手を切るように冷たい。弓折岳の分岐までひたすら急坂を進む。鏡平小屋は三つの池に囲まれ、正面に槍・穂高が屏風のように広がる。

鏡平小屋 

弓折岳分岐を過ぎると広大なお花畑と雪田の花見平へ。展望の稜線歩きが続く。やがて鷲羽岳を背後にした双六小屋が姿を現す。

鷲羽岳と双六小屋 

14時すぎ山小屋に到着。この小屋はすべての部屋に畳が敷かれている。夕食は天ぷら。

双六小屋 

日が沈むと、遠くに見えていた燕山荘と三俣山荘に明かりが灯った。8時過ぎから天体観察。南の空が開けているので乙女座、天秤座、蠍座、射手座がよく見える。スピカ、火星、土星の3つの明るい星がならび、頭上には春の大曲線、夏の大三角の星座たちも。 

源流の山鷲羽岳
5時過ぎ、燕岳付近から日の出。鷲羽岳がひときわ大きい。今日はあの頂を目指す。 6時出発。双六岳の登りは予想以上の急登で、朝一番の登りはつらい。1時間あまりで丸くて広大な山頂部へ。ハイマツが美しい。ここから見る槍・穂高は独特の風景だ。

双六岳山頂

双六岳山頂

双六岳山頂 

丸山のピークを過ぎて三俣蓮華岳へ。小休止のあと三俣山荘を経て鷲羽岳山頂まで400mの急登。双六岳に続く急な登りで完全にシャリバテ。鷲羽岳山頂からは今朝出発した双六小屋が小さく見える。

鷲羽岳から槍・穂高連峰を望む

西に黒部源流、南に鷲羽池を見下ろし、雲ノ平、祖父岳、薬師岳、水晶岳、立山、野口五郎岳、燕岳、大天井岳、常念岳、槍・穂高連峰、乗鞍岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳、…360度のパノラマが広がる山頂で1時間を過ごした。下山途中で散歩中の雷鳥の親子。

ライチョウのひな 

昼食は三俣山荘の展望レストランでカレーとサイフォンコーヒー。北アルプス最奥の地にケーキセットがあるのには驚く。三俣蓮華岳の中腹から巻き道を通って双六岳へ。山の斜面全体に雪田が点在し、一面お花畑が広がる。17時前到着。 連泊二日目の夕食は焼肉。

お花畑の弓折岳稜線
6時40分下山開始。朝から天気は下り坂でガスがかかって展望は望めない。花見平でクロユリを発見。

クロユリ 

弓折岳分岐を過ぎると槍穂高と鏡平が雲間から姿を現し、幻想的な光景だ。鏡平山荘の前に松葉杖の登山者が?

鏡平から槍・穂高連峰を望む 

新穂高温泉13時着。中崎山荘で入浴後、バスで高山へ。高山の町並を散策してから帰途につく。名古屋周辺の雷雨で新幹線が大幅に遅れた。 


木曽御嶽山 2011.8.9-10 [摩利支天山2,959m・剣ヶ峰3,067m]

2011-09-24 21:23:44 | 北アルプス


夏の山行ではいつも通過している木曽福島駅で降り、バスで御嶽ロープウェーに向かいます。
初日は黒沢口登山道を登り、飛騨頂上の五ノ池小屋に宿泊。翌日は摩利支天山、剣ヶ峰の2つのピークを経て王滝口登山道を下山します。広大な御嶽の山頂部を5つの山上湖をめぐりながら北から南へ2日間で縦走するのが今回のコースです。 

ロープウェーで一気に標高2,150mへ。ゴンドラを降りるといきなりクマ出没の注意書きが・・・。眼下に開田高原を見下ろしながらハイマツの道を進み、小さな雪渓を横切ります。雪の上を吹き抜ける風がひんやりと心地よい。ハシゴを登り終えたところで神秘的な湖が現れました。 御嶽山上湖のひとつ、三ノ池です。高山植物は最盛期を過ぎていますが、周辺にはまだ多くの花が咲いています。 

五ノ池小屋

 〈 飛騨頂上の五ノ池小屋 〉 

五ノ池小屋は飛騨と木曽の境界にある下呂市営の施設。御嶽の山小屋は大広間にザコ寝というのが一般的ですが、ここは北アルプス形式で、しかもヒノキをぜいたくに使っているので気持ちよく過ごせます。最高峰の剣ヶ峰から離れているので登山者も随分少ない。

夕方、飛騨の谷に巨大な積乱雲が現れ、まもなく稲光が走り始めました。日が沈むと風が出てきて一気に寒くなり、外気温は約10度。ホールでは薪ストーブに火が入り、一方、下界ではこの夏の最高気温を記録していました。 

朝5時、ご来光を待つため小屋の外へ。雲海の彼方には島のように浮かぶ中央アルプスと南アルプスが重なり合い、その後ろに富士山が頭をのぞかせています。さらにその先には八ヶ岳も。やがて今日最初の光が山肌を照らす。山々が最も美しいひとときです。



五ノ池小屋から日の出 〈 雲海に浮かぶ中央アルプス 〉

山の朝は早い。出発の7時に小屋に残るのは濁河温泉に下る2人と私たちだけ。小屋から摩利支天山へと続く道は美しいハイマツの中を進みます。山頂に着くと北の空が晴れ渡り、乗鞍岳、遠く槍ヶ岳や穂高連峰が姿を現しました。昨年登った北穂高も確認できます。

飛騨の谷から吹き上げる上昇気流が、稜線を超える手前で次々と雲を作りだしています。中学の理科で習った水蒸気の凝結現象です。上空に上った雲はベールのように舞い、滝のように流れ、やがて消えていく。



槍・穂高を望む 〈 乗鞍と槍・穂高の遠望 〉

摩利支天山から南は荒涼とした風景に変わります。サイノ河原は石積みがあたり一面を埋め尽くし、霊山の雰囲気が漂う。 日本最高所の湖、二ノ池の畔には二ノ池本館と二ノ池新館の2軒の山小屋が建つ。売店では三ノ池の水が御神水としてなんと800円也!

二ノ池本館 

〈 二ノ池本館 〉
 

石造りの階段を登った先にある剣ヶ峰山頂3,067mには御嶽神社が建つ。ここからの眺めは火口を思わせる山上湖や噴火による荒々しい山容など、北アルプスとはまったく異なります。山頂の斜面に張りつく2軒の山小屋と社務所の間を通り抜け王滝山頂へ。

剣ヶ峰 〈 摩利支天山から剣ヶ峰を望む 〉

地獄谷から噴気を上げていて、硫黄のにおいがあたりに漂う。御嶽が今も生きている山だという証拠。昼ごろから雲ひとつない快晴に。空の青さがひときわ際立ってきました。山を下るのがもったいないほどの好天です。

 〈 王滝口登山道を下る 〉

登山口の田の原でバスを待つこと2時間。山では街中のようにはいかない。木曽福島で温泉につかると肌がヒリヒリしてきました。この後、紫外線対策をしていなかったことを後悔することに。


上高地から北穂高岳 2010.8.8-11 [北穂高岳3,106m]

2010-09-19 21:33:51 | 北アルプス


上高地から横尾へ
初日は河童橋から梓川沿いに平坦な道を3時間。足慣らしには
ちょうどいい。徳澤園は時々利用する山小屋だが、ここから先に進むのは実に16年ぶり。この先は観光客の姿が消え、槍・穂高や常念山脈を目指す登山者だけの静かなコースとなる。

今日の宿、横尾山荘は槍・穂高登山で何度か泊まった懐かしい山小屋。建物が新しくなり、立派な入浴棟まである。まだ4時過ぎだというのに、明日の登山にそなえて早めに寝ている登山者も。ロビーでは全員が台風発生のニュースに聞き入っている。夕方一雨きた。



涸沢へ
昨夜、部屋が暑くて眠れなかったので少しつらい
。左手に屏風岩を見上げながら道は横尾谷に沿って大きく回りこむ。本谷橋から本格的な登りとなり、やがて前方にめざす穂高の稜線や涸沢カールが見えてきたが、ここから先がダラダラと長い。



涸沢カールに広がるのは色とりどりのテント村。ここ涸沢は北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳と3千メートル峰4座がぐるりと取り囲み、なんともスケールが大きい。雪の上を横断して、涸沢小屋のテラスで軽くパンとコーヒーの昼食をとる。

北穂から前穂

北穂高南稜を登る
北穂沢を進むと上から叫び声が。下山中の登山者が上部の落石を教えてくれた。この先、事故多発地帯に入るので思わず気が引きしまる。難所の鎖場や鉄ハシゴはあっけなく通過したが、南稜に取りついてからはスリルのある岩稜歩きの連続で、まるで空中散歩。

切れ落ちた岩場を登る際、下を見ないようにと互いに声をかけあう。慎重に一歩一歩踏みしめながらぐいぐい高度を上げ、それにつれて展望も広がる。眼下に広がる涸沢カールの雪渓と険しい前穂の組み合わせは、ヨーロッパアルプスを思わせるダイナミックな景観。

北穂高から

北穂高岳到着
昨日上高地を出発して10時間で山頂に到着。同時に雨が降り出し、北穂高小屋に飛び込むなり土砂降りとなる。山頂直下の岩盤に張りつくように建つこの小屋は日本アルプスで一番高い山小屋。日没の頃になると嘘のようにガスが晴れ、槍ヶ岳や笠ヶ岳が姿を見せた。



夜8時、私の「星がすごい!」の一言で同室の登山客が外に飛び出した。夏の大三角、さそり座、いて座、やぎ座、・・・、りゅう座、いるか座など平地では見えないマイナーな星座まで確認できた。頭の上を流れる天の川、いくつもの流れ星、夜空を埋め尽くす星々に声も出ない。まるで天然のプラネタリウム。槍の肩や涸沢カールには山小屋の明かりがともり、遠く松本市の街明かりも望める。

北穂高岳から槍・穂高

槍の穂先に山頂でご来光を見るための登山者の光の列が伸びる。朝5時、日の出とともに北アルプスの一日が始まった。ベールのような雲をまとった槍の稜線。ここから見る大キレット越しの稜線は北アルプスを代表する景観だ。テラスで槍を眺めながらのコーヒータイムは至福のひととき。



四方を取り囲むアルプスの峰々には圧倒される。槍・穂高連峰の中心に位置するので中部日本のほとんどの山が一望のもと。黒部源流の山々、裏銀座の稜線、槍ヶ岳、白馬岳、燕岳、常念山脈、八ヶ岳、南アルプス、富士山、前穂高岳、奥穂高岳、・・・。かつて登った山々。

滝谷

井上靖の「氷壁」の舞台になった滝谷という岩場がある。小屋の北側から飛騨側に切れ落ちた滝谷を見下ろせるが、あまりの高度感に思わず足がすくむ。滝谷に現れたブロッケンを従業員が教えてくれた。山に来ると下界では想像できない自然現象に出会う。



絶好の撮影ポイントとあって北穂高岳の山頂にはカメラの三脚がずらりと並ぶ。朝の斜光線に浮かび上がった槍の稜線を谷から舞い上がった雲がまとわりついて、槍の表情を次々と変えていく。いつまで見ていても飽きない。



小屋の宿泊客は私たちのように涸沢から往復する人ばかりではなく、槍から縦走して奥穂高岳に向かう人、逆にこれから槍に向かう人など実にさまざま。 クラシック音楽が流れるホールで夕食が始まると、そこは自然と情報交換の場となる。

北穂高から槍・穂高

涸沢を経て徳沢へ
今回の登山では韓国人のグループが目についたが、それ以上におしゃれな山ガールたちが登山道をカラフルに彩っていた。そして、山ガールとともに多いのが中高年以上の登山者。涸沢の少し上で70代くらいの女性が進むべきか戻るべきか躊躇していた。登山ブームとはいえ高齢者が単独で3千m峰をめざすのは危ない。

途中、何度か雨にあう。台風が近づいているせいか、天候が安定しない。横尾からは本降りとなる。