是枝監督作品の「三度目の殺人」を鑑賞。役所広司主演、かと思いきや助演で、福山雅治の方が主演らしい。ヒロインは広瀬すず。是枝作品は「万引き家族」に続き二作目。万引き家族に感じた、リアリティと寓話が奇妙に融合した空気感は健在で、どうやらこの監督の作家性らしい。寓話なのでセリフは直球どストレートを突いてくるスタイルで、セリフの重さでキャラクターが死ぬんじゃないかと勝手に心配になるところだが、その処理が上手くて、ギリギリ不自然にならないところでキャラクターに馴染んでいる。それでも最後は、寓話的な物語の側に比重が寄りすぎてしまって、リアリティがもったいないことになってしまったように思えたが、これは万引き家族のラストでもそうだった。私はあまり好まないが、気にならない人もいるだろうし、むしろこれが好きな観客も多いだろう。
ある葛藤に対して、全員が観ないフリを決め込んだまま人をさばく、それが日本らしさかもしれない。でもそうはいってもあんた、人が死んでるんやでぇ!(田中邦衛?)福山雅治の最後のセリフでこの映画を完全に救いきれたかというと、怪しいところがあり、人が死んでいるのに、問題提起で終わってしまった感がある。そのおかげで広瀬すずのキャラクターが人間離れしているわけで、彼女はもっと人間らしくて良かったんじゃないかと思う。もちろんその場合、映画はこの結末を迎えないだろうが。また、作家性そのものの評価とは別の次元の話として、全体的に古さを感じたのは、令和になったからだろうか。
ある葛藤に対して、全員が観ないフリを決め込んだまま人をさばく、それが日本らしさかもしれない。でもそうはいってもあんた、人が死んでるんやでぇ!(田中邦衛?)福山雅治の最後のセリフでこの映画を完全に救いきれたかというと、怪しいところがあり、人が死んでいるのに、問題提起で終わってしまった感がある。そのおかげで広瀬すずのキャラクターが人間離れしているわけで、彼女はもっと人間らしくて良かったんじゃないかと思う。もちろんその場合、映画はこの結末を迎えないだろうが。また、作家性そのものの評価とは別の次元の話として、全体的に古さを感じたのは、令和になったからだろうか。