決意表明ばかり書いても仕方ないので最近みた映画の感想など。(ネタバレしてます)
「スイス・アーミー・マン」
ダニエル・ラドクリフ君がハリーポッターのイメージを払拭しようと躍起になって謎映画に出まくっているのは有名な話だ。私は、ハリーポッターシリーズ自体を未だまともに観ていない人間だが、一昨年に渋谷の映画館で
二人芝居「ギルデンスターンとローゼンクランツは死んだ」の舞台版を観た際、ローゼンクランツ役を演じている青年がラドクリフ君だということを偶然知った。
私はラドクリフ君がどう人からみられたく”ない”と考えているかを知らない状態の観客であり、彼をいち俳優としてしか考えていないため、ある意味彼にとっての理想的な客かもしれない。(自画自賛)つまり私のような人間からすると、別にわざわざ変なオファーを受けなくてもいいのに・・・と思うのだが、魔が差して受けてしまったのがこの作品だということになる。いや、真相は知りませんが。実際は脚本に惚れ込んだのかもしれないけど。だとしたら趣味が悪・・・なんでもないです。
無人島。遭難した男が一人。絶望し、海岸で自殺を試みる男の眼前に、漂着する一体の遺体(ラドクリフ)。遺体には変なガスが充満していた。突如、遺体はおしりからガスを噴出して高速船となり海を渡っていく。遭難した男は、便利な乗り物と化した遺体に乗って無人島から脱出。そして行き着いた先は故郷の海岸。世話になった遺体に愛着が湧いたので引きずって歩いていると、なんと遺体が喋りだす。のどが渇いたなと思っていたら、遺体が真水を吐き出す。なんて便利な遺体くん。まるでスイス・アーミー・ナイフみたいに便利!・・・・・・というのがあらすじですが、この遺体がおならで海を渡るというアイディア1本で映画化を強行採決したのではないかと思われる、一発ギャグのような映画だった。
一応中盤に、延々と哲学的なようなホモっぽいような男と遺体の青春物語が繰り広げられて映画っぽい雰囲気を出そうと頑張っていて、私はここらで「そうか、男は冒頭の自殺のシーンで自殺に成功し既に死んでいて、死体と旅するくだりはすべて男が人生を追体験しているんだな。ありがちっちゃありがちだけど、アイディアとしてはありだわ。そのわりに映像にあんまりこだわりがないようだけど・・・」なんて推測を立てていたが、ものの見事に裏外れていた。遺体は本当にただの便利な遺体で、この世界に実存していたのです。理由はわかりません。ううむ。
ラドクリフ君の遺体だけが本物で、主人公の男の姿は他の人間たちには見えないっていうのでも良かったと思うんですが、夢オチってやっぱり安易なのかしら。いやいや、うーん。あまり意味のない「やってやったぜ」感のある下ネタと、カメラや音楽のきれいすぎる感じがアンバランスで、あまりいただけなかった。ラドクリフ君はこんなにもおならを出したかったの? 下ネタをやりたかったの? 別にもう普通の役をやってもええんやで。