かやのなか

あれやこれやと考える

チャウチャウ

2021-10-21 01:44:57 | 散歩
いつものように夜外を徘徊散歩していたら、公園に子熊を連れた人がいた。いやまさかと思い近づいてみたがやっぱり子熊にしかみえない。百歩譲ってサモエドか。しかしサモエドにしては黒い。怪訝な目で見つめていると、飼い主さんにこの子はチャウチャウだと教えてもらった。黒のチャウチャウ。Wikiで調べるとなんと中国の食用犬らしい。食用犬は赤犬しか知らなかった。そういえば昔、モンゴルのゴビ砂漠で飼われていた黒くて大きな犬の面影を思い出した。品種改良で作られた犬種ではなく紀元前からいる古代犬種とか。「なかなか遊んでもらえないんですよ」と飼い主さんはおっしゃっていたが、確かに一見、人の指くらいは難なく噛みちぎりそうな風体をしている。だが、実際近づいてみるとおとなしく賢かった。本日の散歩も収穫があった。

フライト・アテンダント

2021-10-18 00:47:11 | 海外ドラマ
フライト・アテンダントというドラマをみた。全8話で短め。出だしはイマイチで続きが楽しみとも思えなかったが、後半に差し掛かるにつれて面白くなった。主人公がやらかす証拠隠滅等の眉をしかめるアホな行動の数々の裏に、実は深刻な理由があることがわかってくると、こちらもだんだん応援したくなってくるので不思議だ。殺人ミステリかと思って見出したけど、巻き込まれ型のヒューマンドラマ?みたいな感じだった。友人弁護士との喧嘩のシーンも見応えあり。シーズン2もあるらしいけど、どういう話にするんだろう。

苦痛の2時間

2021-10-16 17:09:00 | 
ロロのEverybody feat.フランケンシュタインという舞台を観に池袋へ。割と楽しみにして来たのだが、なんというか驚くほど心が動かず、2時間のうちの1時間半程度が苦痛の時間だった。役者の皆様のお声は美しいし台詞はリリカルだし装置も凝ってるし回転する。なのにセリフが全然頭に入ってこない。なぜなのだ。照明が終始暗めだから老眼に辛かったのか、前の人の座高が高く舞台の真ん中がピンポイントで隠れていたからか(これはあると思う。舞台の前半分の中央付近で低い姿勢でやる演技が多かったから)、月曜からじんわり続く右こめかみ付近の引き攣るような微頭痛のせいか。
まぁ、体調のせいなのはわりとあると思うけど、感性がまったくこの感じを受け付けなくなってしまった可能性もある。登場人物たちが常にウフフアハハと笑う芝居をしてるのが躁病にしか思えなかったが、本気でやってるのか、こんな上っ面なコミュニケーションしかとれないくらいこの子達は病んでますよという意味でやってるのか、話の雰囲気的には後者なのかな。構造が明らかになる終盤30分くらいはやっと集中してみられたけど、この、前半に情報をひた隠しにして最後に謎を明らかにする手法、演劇では多くて昔は素直におお!そうだったのか!と感動していたんだけど、そろそろ食傷気味になってしまった。なんならズルくないかとすら思ってしまう。お前は芝居に何を求めてるんだと言われそう。わたしにもわからん。十年二十年前なら感動していたかもしれない。が、今回は何か自意識が辛かった。自分が死ぬこと、相手が死ぬこと、描かれていたのは実際は肉体の死ではなく自意識の死に感じられて、いやそんなんいちいち大袈裟に騒がんでも日々みんな死んだり生き返ったりしとるわと思えて、舞台の上でみんなが問題にしている事に興味が持てなかった。それが敗因です。


帰り道

2021-10-14 23:47:51 | 日々のこと
空がぼんやり薄紫色にそまった夕暮れどき、風が気持ちよかったので、バスに乗らず駅まで歩いて帰った。大きな十字路を2つ越えると駅なのだが、2つめの十字路の向こう側にチャペルの塔の先のようなものが見えるのが、いつも気になっていた。結婚式場かラブホテルのどちらかだろうと考えて、結婚式場とラブホテルって似たようなものじゃないかとふと思う。とことん合理性を突き詰めた現代的なカップルなら利用するかもしれない。いや、お見合いの方が合理的か。自由恋愛も突き詰めるとお見合いになるのではないか。結婚後の生活は恋愛とは別だ。
犬を飼っていると、彼らも案外繊細で気分屋なことがわかるが、人間ほどは他の存在を気にしない。自分が飛びかかりたいと思ったら即座に飛びかかるし、遊びたいときは相手の事情はさておいて遊びをしかけてくる。ただし本気でこちらの都合が悪いときは彼らなりに察して手加減してくる。つまりこちらの「気分」なんてフニャフニャしたものは端から気にかけていないため、嘘が通用しない。
犬並みに純粋な本能で生きているカップルなら、ラブホテルと結婚式場の併用施設を上手に利用してくれると思う。市役所の隣に建てられればなおよい。反対側の隣には産婦人科を備えた総合病院、通りを挟んだ向かいにはららぽーと、ららぽーとの中には明光義塾と映画館と歯科が入っている。ららぽーとの奥には墓地へと続く道があり、道沿いにはザリガニ釣りができる小川が流れているはずだ。トヨタが建設中のスマートシティには、あのチャペルの鐘が鳴るのを期待している。

中野の小劇場と架空の女たち

2021-10-13 11:24:22 | 
先々週の土曜日は中野の小劇場で観劇、先週の土曜日は上野で007の新作を鑑賞、合間の平日に海外ドラマのkilling eveをシーズン1から3まで一気見した暇人。
中野の観劇は、桃唄309という劇団の定期イベントに、知人が作演出主演で参加していたので見に行った。都内の小劇場は今まで数えるほどしか経験していないが、あまり居心地のいい思いをしたことがなかった。内輪のノリが濃すぎるとか悪い意味でこなれて緊張感がないとかで、この2年ほど足が遠のいていたのはコロナのせいだけでもなさそう。しかし今回の舞台は、劇の内容とはあまり関係ない部分の話だけど、劇場の雰囲気がまぁまぁ外向けに開かれていて、かつ常連さんにもサービスを忘れないといった良い意味でのこなれた感があり、肩身が狭く感じずに済んだ。長く活動を続けている劇団ならではの余裕かもしれない。
内容の話。劇作家協会の講義に呼ばれていた講師が主催の劇団だったが、なるほどこういった芝居を書くのかーと思った。2本観たが2本とも女性キャラが妄想の権化として登場する。作者のミューズ的なものがありそう。1本目である村の守り神として登場した彼女は、セリフを発した瞬間に神秘性が薄れてしまったので、喋らない役でも良かったんじゃなかろうかと思った。(喋らない女を登場させがちな私がいうのも何だが)でもあんまり大した話もしてなかった気がするし。2本目の駅前に佇む彼女は、ちょっと気の強そうな感じが果たして役に合っていたのか不明だけど、この気の強そうで謎めいている、という合わせ技がポイントなのかもしれない。知人の2人芝居は技のデパート舞の海といった演目だった。本人が急遽出演することになったらしいので難しい面も多かったろうが、もうちょっと丁寧に作ったらコントでなくお芝居になったろうなと思った。こりゃ負けてられないなという感じ。
007の詳しい感想は某所に書くとして、脚本にkilling eveの脚本家が入っていると後で知って驚いた。直前にドラマを履修していたのはもちろんただの偶然だ。この女性脚本家、日本でいうと根本宗子みたいな存在で合ってますか。killing eveは主要登場人物がほぼ女のドラマ。でも女バンザイ女最強ドラマではなく、みんな自己中だしワガママだし気まぐれだし利己的だし、女なら「わかる〜」の詰め合わせで、聖女は一人も出てこない。そのため劇中でワガママ炸裂させた場合は相応に痛い目にあうし救済もない。なんなら泣きっ面にハチみたいな目にもあう。そのへんのバランスがとても良くて、誰が作ってるの、え? 36歳の女が書いたのこれ?と戦慄していたら、007にもちゃっかり名前が乗っていて、やっぱりこっちの映画でも女の描かれ方がいい。印象に残ったのが(ネタバレします)、マドレーヌに対してサフィンが「お前は勝手に彼の子供を生んだだろ」と言ったセリフ。マドレーヌはボンドに誤解されて別れることになり、子供を宿したことも告げられなかったわけで、このまま彼女を不遇&健気ポジションに置いたまま穏便に映画を終えることもできたろうが、そうはいっても女のマドレーヌにも結局打算というか利己的な部分があったわけで、それを本編の中でしっかりセリフとして出してたのでうまいなぁと思った。架空の女性を描くときは、その子が脇毛を剃っているところを想像できるように、てなところだろうか。
killing eveはシーズン1が最高に面白くて2が次点、3はまぁまぁ。ヴィラネルがトカゲみたいに何考えてるかわからん時代がやっぱり良かった。まぁ、人間らしい彼女も魅力的ではありますが。