算数がわからない子は、自分自身、何がどう分からないのか、きっと分かっていません。教える側も、分からないのは、どうしてなのだろう。自分の説明が悪いのかと、迷路に入り込んでしまいがちです。
何番目とか順番としての数を認識している子に、いくつ分として数の認識で算数(ここでは、計算)を教えようとしても、理解させることは難しいでしょう。
そこで、順番としての数(序数)の考え方を「いくつ分」としての数(基数)に変換させる練習として「10丸シート」なるものを考え出しました。
過去、担任した小学3年生、4年生、5年生の何人かに試して効果を得たと確信しています。ですから、ブログで公開しようと思ったのです。
基本的な考え方は、数概念の変換を図るものなので、取り組む子にとってハードルが高いものでは敬遠されてしまいます。ですから、できるだけ短時間で、ゲームのように取り組むことができるものとして考えました。
「ちょっと、簡単なゲームに取り組んでくれないかな?」などと声掛けして取り組ませます。
具体的には下記のようなものです。
【10丸シートの例】(※PCでの閲覧推奨)
- の数を( )の中に書きましょう
1 ●●●○○ ○○○○○ ( )
2 ○●○●○ ○○●○○ ( )
3 ●○●●○ ○○○○○ ( )
4 ○●○●● ○●○○○ ( )
5 ●●○○○ ●●○●○ ( )
6 ○○●○○ ○●○●○ ( )
7 ●○●○● ○○○●○ ( )
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10
(最初は10問)
上記の例を見ていただけるとわかるように、10個の丸が並んでいます。そのうち黒丸の数をかっこの中に記入させるのです。やり方を説明したら、ストップウォッチを持って「よーい、スタート」で始めさせます。初めてのときは、やり方を間違えていないか本人も不安でしょうから、2~3問まで教えるなどして補助してあげてもいいでしょう。
1シート(10問)やらせてみて、かかった時間を記入し、一つ一つ、合っているか赤ペンで丸をつけてあげます。きっと、全部正解ですから、大きく100点を書いてあげるのです。「頑張ったね!」「丁寧だね。」など、その子に合わせた声もかけてあげるのが大切でしょう。
思ったより時間がかかっていると感じても、そのことには触れません。
さらに、「じゃあ、もう一回やってみようか?」と、同じシートをもう一回やるように促します。
一回目より、時間が短縮できていれば、「お、速くなったねぇ。やり方が分かった?」など、本人の表情を確認しながら声をかけます。私の経験では、大概ニコッとしてくれました。簡単ですぐに終わりますから。
たった、これだけのシートですが、順番としての数(序数)から、いくつ分としての数(基数)の転換が始まりかけるのだと、私は考えています。ただ、「始まり」ですから、だんだん、シートの丸の並びを工夫してレベルアップさせていくのです。