前回書いたような「顧問をしぶる社長」と、その後再度話した。
まあ、軽く会社にテコ入れするのに「顧問にはならんけど、書類を作ってほしい」ということで(笑)。
会って話すも、自社の売り上げ低迷、事業の経費がかさむ(=利益になるぶんが少ない)、従業員もカネばかり言ってくる、というグチが大半でもあった。そういうのを聞いていくのも俺らの仕事でもあるけど、俺はすでにそれまでの一連のやりとりで冷めてもいて(笑)、「そうですか、そうですか、大変ですよね~」と流すにとどまる(笑)。
しかし、従業員が、「カネ出さないとやる気が出ない」、「やる気を維持させるためにカネを払わないといけない」と言ってるその社長について、話を聞いてる俺としては「いや、(そう高くもない、むしろ他のとこより安くしてる)顧問料をケチってる社長自身もカネ次第で労務関連のことも測っててちゃんとする気ないでしょ?」とも感じる。
多少厳しい言い方かもしれんけど、そういうことだ。
その会社について、話を聞くかぎりでは改善すべきことはたくさんある。
その業種ならではの工夫や対策も必要だろうし、俺が軽く提案したことも「なるほど、それは考えたことなかったですね」と感銘を受けてくれる。俺と話してよかった、聞いてよかった、とも言ってくれるけど、それでも「顧問にはならん」と(笑)。
それはそれでどういうこっちゃ?
なもんで、俺もその今回の書類の手続きだけであっさり考える。
さらになにかをどうしようかとか、その会社について俺は自発的には思わないし、提案もしない。俺としてはそれまで時間も割いて十二分に応えてきた。それで社長の考えもそうなんだからしょうがない。
「顧問」って、世の中の会社にとってある意味必要でもあるとも思う。
それは、経営者、社長が、本業に専念すべき立場でもあるんだから、税務でも労務でもその専門家についてもらって本業だけに集中できるよう、社長自身が自分をそうもってくべきであるから。
社内はゴタゴタ、トラブルやら役所への手続きやらで時間や手間をとられてあたふたしてる社長もいる。それで売り上げや経営がかんばしくない、と嘆いている。本来社長しかできないこと、やるべきことに時間を割いていくべきものでもあるとも思うんだが、実際はそうではなく、そういう会社、そういう社長に限って士業との付き合いが希薄だったり顧問をつけたがらない。もはやこちらサイドから関わる余地がなくなる。
そのバックアップをするために俺らがいるんだけど、それで毎月の顧問料とその現状とを天秤にかけ、それで「顧問はいらない」という結論になってる。
俺がこうエラそうに書くのは簡単かもしれない。
「顧問料」そのものの負担、毎月払っていくこともしんどい会社もあるかもしれん。
でも、月々の顧問料で、そういった煩雑なことや専門的なことを任せられるんだったら、まだ安いもんかもしれない。
俺らへの顧問料のぶん、仕事に専念できて稼げる環境も時間も確保できるとも思うのだが。
そういう見方もできる。
でもそうでもないんだろうな。
で、結局、また困った時に俺に連絡がきたり。そういう時間や手間のぶん、本業に専念できたはずなのに、俺が数ヶ月前に聞いたトラブルや悩みをいまだに解決できないまま、俺に単発で聞いてもくる。
俺も、その会社を紹介してくれた人の手前、なかなか邪険にできないとこもあるし、飲みに行っておごってもらったこともあるし(笑)、まあ、その程度で対応はしてるけど、それにしてもなかなか“ビジネス”の相手にはなりにくい。
そんだけ長い期間引っ張ってて悩んでて、時間や手間をかけてるぶん、ハラくくって顧問になって、気ぃ遣わず一緒に本腰入れて改善して、落ち着いて安定して本業に専念できた方がよほど効率がいいとも思うんだが。
そこまで毎月の顧問料をケチりたいか?・・
前回も書いたけど、ホント、社長もさまざま。
俺も、んな、月に十数万の顧問料などを小さな小さな会社からとるつもりももちろんない。
でも、数万でも負担になる、しんどいという会社がいるのも事実で、そこでもこちらも歩み寄りつつお互いの合意できるとこで現状をよりよくしていけるよう模索してかないといけない。
でも、その目的は、「会社が安定して稼いでいけるようになる」ということだ。会社が儲かれば俺らも儲けられるわけで。
俺らも会社にそうあってほしいし、そこの先行投資は会社としても考えてほしい。
一方で、助成金の問い合わせからじっくり話す機会があった事業主の人もいた。
紹介してもらった女性経営者の人なんだけど、人を雇ってても役所へやるべきことをやってない、でも今後のためにちゃんとやりたい、とのことだった。
まだまだ小さい規模で、でもこれから大きくしたい、人も雇いたい、それでいて助成金などの制度も使いたい、という話だった。
しかし、俺は、そこで、助成金を受けるには普段からちゃんとしとかないといけないこと、助成金自体はあくまでもかけた経費に対する「助成」であって儲けとかプラスになるようなものではないこと、も伝えた。
そこで、どこまでやる気があるかを測る意味でも、こちらから顧問のことも提案として出した。
そういう話をしてすぐすぐどうこうってことはなかったけど、その事業主の人も俺が話したことに同感してくれ、俺自身も自分で個人事業をやってるからこそ、どこにコストをかけるか、必要なことをどうしぼっていくか、その人の立場になって提案できたと思う。
社労士として、小さな会社から助成金希望の話が来て飛びついても、助成金ありきで提案し手続きしても、こちらはその案件で儲けられても、その会社自身は雇い入れでも研修でもカネはかかる。そこで必要のないものを「助成金のために」、「その手続きの依頼を受けるために」社労士が提案してては、結局は会社には無用なコストがかかるだけにもなる。
俺はそんな営業はしたくないし、そのあたりも俺はストレートに話した。
どうせ人を雇うなら、どうせ研修を従業員に受けさせるなら、その前提があったうえで、次に助成金の話をしないと「助成金のために」人件費や保険料をかけるとなると結局何をしたいんかわからんようにもなる。かけたカネの数倍になって助成金がもらえることはないんだから。
こちらも、相手の会社のことを思うなら、顧問候補として親身に考えたいのなら、社労士としてもらえる目先の案件やカネだけではなく、その会社や社長の考えにあった提案、アドバイスをしないといけないとも思う。
で、そういう話が合うか、共感してもらえるかで、「今後もお付き合いを」となった方が長く続く。
助成金でいえば、「もらえる」ことしか考えてない社長や経営者の人にクギを刺すことも大事でもある。
そこをあえて言って聞いてもらえるか、ホントに自社のためとわかってもらえてるか、そこで共感できると「ウチの会社のために言ってくれてるんだ」と思ってもらえる。
労務関連の必要性、制度のメリットとデメリット、そういうことも伝えて、事業主の人に納得もしてもらってこちらとしても付き合っていきたい。
その方が助成金1件の報酬よりより長い、ありがたい付き合いができる。
顧客や顧問の量も必要、でも自分のポリシーに共感してもらえるという顧客の“質”はもっと大事なのかもしれない。
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