振り向けば大宮の夜が明ける。 少し変わった角度から眺めるの!

大宮在住。
伸び行く大宮市、
その時々の目に留まったことなどを楽しくユーモアも交えて
書きたいと思います。

「海の幻」ハイネのロマン詩を美しい牡丹で表現して!

2019-03-17 19:30:36 | ブログ

ハインリッヒ・ハイネのロマンの世界へようこそ

今回は「海の幻」

常日頃忙しさに追われている方に

ハイネの幻想の世界をはい、ねとお送りいたします。

 

 

船端に寝転んで 

夢見ごこちの瞳で

澄んだ鏡の水の中を 

目の届くまで見下ろした

 

やがて海の底に 

ほのかな霧のようなものが

しだいに色を帯びてきて

教会の円屋根や塔が現れ 

そして

陽に照らされて街全体が

古のオランダ風の都が 

そして  

人々の行きかいが見えてきた。

 

 

ゆったりとした人々の黒い装い 

白い襟ひだ 鎖の飾り 

長い剣 面長の顔 

 

広場の雑踏を歩いて 

高い階の役場へ行く

そこに皇帝の石像が 

笏と剣で見張っている

 

ほど遠からぬ家並みの

長く続くところ

窓ガラスが光り

ピラミッド型に刈られた

菩提樹の道を

衣擦れの音をさせて

 娘らが通る

 

そのすらりとした姿 

その花の面差しは

黒い帽子とふさふさと

こぼれる金髪に

しとやかに包まれている

 

スペイン風に着飾った 

様々の若者が

気取って行きすぎ 

お辞儀をする

 

年老いた女たちは

トビ色の時代遅れの着物を着て

手に讃美歌の本と念珠を持って 

小刻みにに急ぐ

大きな礼拝堂へ

鐘の響きとオルガンの音に導かれて

 

 

 

 

 

その遥かな響きは 

不思議におののき

僕を捕える 限りない憧れ

 深い悲しみ 僕の心に 

治りきらぬ心に忍び寄る

 

まるで僕の心の傷が 

あの人の唇に触れて

血のほとばしるような思いがする

 

熱い赤いしずくが 

ポタポタといつまでも落ちる

 

 

下の海底の街にある 

古い一軒の家に

高い破風の家に落ちる 

侘しくガランとして

ただ下の方の窓辺に 

娘が一人座っている

 

頭を腕にもたせ掛け 

憐れな忘れられた子のように

だが僕は知っている 

憐れな忘れられた娘よ

 

あなたはそんなに深い海の底に 

子供じみた気まぐれ

で僕から隠れていたのだね

 

そしてもう上がって来られなくなり 

見知らぬ人々の中で 何百年も

一人でそこに座っていたのだね

 

その間僕は胸を焦がして 

地上くまなく探していた

 

 

 

 

いつまでも探していた

とこしえの恋人よ

離れ去った恋人よ

 

もう見つかったんだ 

そして再び

あなたの懐かしい顔を見つめる

澄んだ清らかな瞳 

愛らしい微笑み

もう僕はあなたを離さない

 

さああなたの所へ行くよ

腕を広げて あなたの胸へ

あなたの胸へ飛び込んで行きます。

 

だがその瞬間だった。

キャプテンが僕の足を引っ張った

そして怒ったように笑いながら叫んだ

「先生あなたは気が触れたのですか?」

 

懐かしい角川書店のハイネ詩集から

井上正蔵氏訳をお送りいたしました。

 

 

 

 

まるでポーの世界のようで夢の国へ行ってきました。

浦島太郎かな。

清らかなひと時をあなたにポー――!

ここまでのお付き合い有難うございました。

またね。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。