振り向けば大宮の夜が明ける。 少し変わった角度から眺めるの!

大宮在住。
伸び行く大宮市、
その時々の目に留まったことなどを楽しくユーモアも交えて
書きたいと思います。

賢治の童話雪渡りの純粋さ!

2019-02-13 21:25:39 | ブログ

 

JR大宮の操業場で改修工事がなされていました。

SL銀河号がただ今期間限定でみちのくを走っています。

賢治のSL銀河号の運行日程時刻表が載っています。

        ↓

☆彡 のってたのしい列車 ポータル>SL銀河:JR東日本

 

こんにちわ、今回は私事で失礼を致します。

SL銀河号の青色に8色のトーンが違う色を施し、奥山清行氏がこだわったのは、

彼が賢治の事をよく知っているからだと思います。

賢治は青色の石が好きだった。

賢治は青く光る石が好きだった。

ではこれからSL銀河号賢治ライブラリーがオープンします。

 

 

 

 

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賢治の書いた童話「雪渡り」の登場です。

宮沢賢治・「雪渡り」を現代風にアレンジをし一部を簡潔にしました。

 

こんな面白い日が、またとあるでしょうか?

いつもは歩けないキビの畑の中でも、ススキでいっぱいだった

野原の上でも、

好きな方へどこまでも行けるのです。

 

平らなことは、まるで一枚の板のようです。

それが沢山の板の様にキラキラと光るのです。

 

 

「堅雪かんこ、しみ雪しんこ。」

お日様が真っ白に燃えて、百合の匂いをまき散らし、

また雪をギラギラ照らしました。

 

木もみんなザラメをかけたように、霜でピカピカしています。

「堅雪かんこ、しみ雪かんこ。」

 

 

四郎とかん子は小さな雪靴をはいてキックキック、

野原に出ました。

二人は森の近くまで来ました。

 

大きな柏の木は枝もうずまる位立派な透き通つたツララを下げて

重そうに体を曲げておりました。

 

「堅雪かんこ、しみ雪しんこ。キツネの子ぁ、嫁ぃほしい。」

二人は森へ向いて高く叫びました。

  

 

シ~~~ンとしました。

二人はもう一度叫ぼうとして息を呑み込んだとき、

森の中から、「しみ雪しんしん、堅雪かんかん。」といいながら

キシリシシリ雪を踏んで白いキツネの子が出てきました。 

 

四郎はギョッとして、かん子を後ろにかばい、

しっかり足を踏ん張って叫びました。

 

 

「キツネこんこん白ぎつね・・・・・・」

雪がすっかり凍って大理石よりも固くなり、

空も冷たい滑らかな青い石の板でできているのです。

 

 

 

 

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キツネの子はまだ小さいくせに銀の針のようなお髭を

ぴんと一つひねっていいました。

 

「四郎はしんこ、かん子はかんこ、おらはお嫁はいらないよ。」

  四郎は笑っていいました。

 

「きつねこんこん、キツネの子、お嫁いらなきゃ餅やろか。」

するとキツネの子も頭を二つ三つふって面白そうにいいました。

 

「四郎はしんこ、かん子はかんこ、きびのだんごをおれやろか。」

 

 

仲良くなったきつねは、嬉しがって、雪の凍った月夜の晩に

お団子を食べに来てくださいと招待しました。

 

私の差し上げるお団子は、私が畑を作ってまいて草を刈り叩いて粉にして

練って蒸してお砂糖をかけたものです。

 

キツネが人をだまし変なお団子を出すなんて本当の事ではありません。

一皿差し上げましょうか。

 

四郎は今お腹が空いていないので、この次にお呼ばれしますよと言ったら、

子ぎつねの紺三郎は嬉しがって短い腕をバタバタしていいました。

 

「それなら今度幻燈会をやるので来てください。その時にキビ団子を差し

上げましょう。この次の雪の凍った月夜の晩です。」

 

「11歳以下しか入場券は配布できないので3人が12歳のお兄さんたちは

入れません」

 

四郎は5枚入場券を欲しかったのですが、

四郎とかん子の2枚分しかもらえませんでした。」

 

 

二人は喜んでうなずきました。

キツネはおかしそうに口を曲げて、

キック、キック、トントン、キック、キック、トントン。

 

と足踏みを初めて、しっぽと頭を振ってしばらく

考えていましたが、やっと思いついたらしく、

両手を振って調子を取りながら歌いはじめました。

 

「しみ雪しんこ、かた雪しん子 野原のまんじゅうはポッポッポ!

酔ってひょろひょろ太右衛門が去年38食べた。」

 

四郎もかん子もすっかりつり込まれて、

もうキツネと一緒に踊っています。

 

 

 

 

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キックキックトントン。

キックキックトントン。

3人は踊りながら林の中へだんだんに入って行きました。

 

ほおの木の芽が、風に吹かれてピッカリピッカリと光り、

林の中の雪の中には、藍色の木の影がいちめん網になって落ちて

日光の当たる所には銀の百合が咲いたように見えました。

 

なんだか愉快でしょ!

ヘイ!

 

 

 

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鹿の子は笛が上手いんですよ。

とても臆病だからこちらには来そうもないけれども、

いっぺん3人で叫んでみましょうか?

 

「かた雪かんこ、しみ雪しんこ・・・・」

ずうっと遠くで風の音か笛の声か?、鹿の子の歌か?、

こんなふうにに聞こえてきました。

 

「北風ピイピイ、かんこかんこ。

西風ドウドウ、どっこどっこ」

 

 きつねはひげをひねっていいました。

 

「雪が柔らかくなるまえに帰ったほうがいいです。

今度月夜に氷が凍ったらきっとおいでください。

楽しい幻燈会をやりますから。」

 

 

 

 

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 土着的なものよりは、やはり時代性というものを優先して

描き直しました。

 

賢治の童話「雪渡り」より

前編でした。

 

 

かなり略しています。

宮沢賢治の文体は、翻訳してあります。

実際賢治が書いた文章は、現代の言葉ではなく、原文での理解はとても

ハードルが高いです。

またやはり文の伸びや繰り返しなど現代人が付いていくのは難しく

なっています。

しかし、賢治の描いた童話の世界はユニークで斬新で宇宙観があります。

英語だけではなくドイツ語の本も熱心に読んでいた賢治の世界は、私達の

想像以上に広く豊かだったでしょう。

いつか誰かが賢治の話を新しい感覚で素敵に紹介する日が来るでしょう!

 

 

 

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 キックキックトントン、キックキックトントン・・・

キックキックトントン、キックキックトントン・・・

 

ほいな!

 


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