監督は、主審にピッチャーの交代を行おうとベンチから出てきた。交代を告げる場合であっても、新型コロナウイルス対策のガイドラインに従って2メートルのソーシャルディスタンスを取らなければならない。
「ピッチャー、亀野!」
先発を下ろして2番手の投手を伝えた監督だが、球審は何の反応も示さない。
「ピッチャー、亀野!」
監督は、はっきりとした口調でピッチャー交代を改めて告げた。けれども、球審は相変わらずこっちのことに耳を傾けようとしない。
すぐさまベンチへ戻った監督が拡声器を取り出すと、再びベンチから飛び出した。監督は、2メートル先の球審に向かって拡声器を使ってこう発した。
「ピッチャー亀野って何回言わせるつもりか! くそったれ! このクズ球審!」
「退場! 退場だ!」
拡声器で余計なことを言ってしまった監督は、その後リーグから制裁金という代償を払う羽目になってしまったのは言うまでもない。