こうして、スイカを残さずに食べ切った勘太はお寺の庭にある井戸へかけ出しました。井戸からくんだ水をおけへうつすと、ふんどし姿になった佐次郎が勘太のそばへやってきました。
「それじゃあいくぞ!」
2人の男の子は、勘太のかけ声に合わせておけに入った水を体にあびています。暑い夏とあって、勘太も佐次郎も気持ちよさそうにじゃれ合っています。
お千代は、2人がはしゃいでいる様子をやさしく見つめています。でも、心の中では勘太のことがどうしても気になってしまいます。
「勘太くん、あんなにスイカを食べておしっこのほうは大じょうぶかしら……」
お千代が気にしていること、それは勘太がこの寺に引き取ってから毎日のようにおねしょをくり返すことです。