NGS後の世界

NGSが普及したあとの世界がどうなるのか、診断業界の変化を中心として情報発信をしていきたいと考えています。

遺伝子解析による奴隷貿易の解明

2020-07-27 20:32:14 | 日記

遺伝子検査会社23andMeが主導した、奴隷貿易により拡散した、アメリカ大陸とアフリカ大陸の遺伝子分布に関する研究の報告になります。
アメリカは移民の国なので、遺伝子解析により、自分のルーツを知りたいというマーケットニーズがあります。
23andMeの顧客の遺伝子情報や、公的機関と協力し、アメリカ・アフリカ両大陸の遺伝子分布を調べ、その成果がGenomeWebに紹介されていました。
 

https://www.genomeweb.com/genetic-research/genetic-study-validates-expands-history-transatlantic-slave-trade?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=GWDN%20Thurs%20PM%202020-07-23&utm_term=GW%20Daily%20News%20Bulletin#.Xx4MK9IzbIU


以下に研究成果のポイントを抜書きします。
・米国の黒人(アフリカンアメリカン)は、ナイジャリアの地域からの出身者が多いといわれていたが、遺伝解析の結果アンゴラ、コンゴ地域へのつながりの方が大きいことが分かった。
・セネガンビア(アフリカの西端のエリア)にルーツを持つ遺伝子が想定よりも少なかった。セネガンビアは稲作地帯であり、奴隷後も稲作に従事させられた。劣悪な住居、労働環境や、マラリアなどの影響で、多くのものが子孫を残さず、なくなってしまったのではないか。
・次世代に遺伝子を残すにあたり、アフリカ女性のほうがアフリカ男性よりも寄与が高い。これは、奴隷の男性の致死率が高いことに起因する。このバイアスは北米よりも南米のほうがより顕著である。
 
 
遠くない歴史の一場面を古文書ではなく遺伝子であきらかにするというのは、おもしろいですね。
男が遺伝子を残せず、女性が遺伝子をつないだというのも生々しいです。
 
この性淘汰、やっぱりちょっと不快ですよね。
2千年前におきたことと言われれば、随分遠い昔の歴史としてすんなり受け入れられますが、
これは、高々150年前(奴隷解放宣言は1860年)のことです。日本人の我々からはなかなか理解できない、

黒人と白人の間にある葛藤というのはあるのでしょう。

 


COVID19:FDAがプール検査を承認へ

2020-07-26 16:26:09 | 日記

先週のQuestに引き続き、LabCorp(米国検査会社大手)にたいしても、COVID19のプール検査に対しても、FDAがEUAを与えたということです。ちなみに、Quest とLabCorpは米国の検査の大手2社となります。

https://www.genomeweb.com/regulatory-news-fda-approvals/fda-reissues-eua-labcorp-molecular-sars-cov-2-test-asymptomatic#.Xx0rbxNxfIU

プール検査は複数の検体を一つのチューブにいれてPCRを行うものです。

チューブが陰性であれば全員陰性、陽性がでれば、だれが陽性のもとになったのかをテストする検査となります。

 

承認の内容は以下の通りです。

・従来は医師等の推奨や、感染が疑われる場合などの限定があった。今回は、そのような制限が外され無症状でも望めば検査を受けることが可能。

・秋冬の第二波に対して、十分な検査体制を確立することが目的。

・無症状の人へのテストもO.Kとして、承認を与えるのは初めて。

 

いいか、どうかわかりませんが、不安に思っている人には全部PCRができるようにする体制を、

アメリカは頑張って構築しているようです。

防疫目的という新しい検査の概念です。続きが気になるところです。

 


COVID19 在宅の採取キットの性能

2020-07-23 20:41:07 | 日記

今日は、簡単にGenomeWebの記事より。

コロナウイルスの検体を在宅で採取してもそこそこ性能がでるのではないかというものです。

https://www.genomeweb.com/pcr/coronavirus-test-results-comparable-home-clinic-swabs-study-suggests#.Xxl4_RNxfIU

評価対象が、医療従者がおおくしめているそうで、どこまで信用できるデータかわかりません。

在宅検査であれば、病院に行くよりもコロナの感染リスクを抑えられるのは間違いないわけです。

FDAも在宅キットをたくんさんEUA承認しております。

やっぱり性能に問題があるよね、もしくは、意外と性能出るよね、あと半年くらいで方向性がはっきりするのでは

ないでしょうか。


検査の奨励 アメリカの場合

2020-07-22 20:10:27 | 日記
アメリカ臨床検査学会がCOVID19の検査の拡充を求めています。
COVID19に関しては、①防疫を目的として検査を増やすべき、②通常の検査の考え方(診断・治療)にとどまるべきという意見が分かれています。私は、どちらの立場も理解できるので(どちらが正しいかわからないので)、これはマーケットが解決するべき問題だと思っています。このマーケットは政府の関与も含めてと考えています。民主主義の国であれば、最後は経済合理性が働くと信じているからです。前段はこれくらいに、アメリカでどのように検査体制の整備が
進んでいるか、アメリカの臨床学会(AACC)の記事を紹介します。
 
 
規模間を理解するため、お金の記述があるところを中心に紹介します。
 
 ・5/15に下院が合意した3兆ドル(300兆円)の具体てきな使い道をきめるときである。
・AACC(アメリカ臨床検査学会)は、検査に関して、より統合された、全体的な検査に関する戦略の立案を要求する。
・抗体検査はCOVID19に対処するうえで重要な検査。質と量を担保する政策を実行するべき。
・このパンデミックは、病院の経営を圧迫している。適切な援助が必要である。
・郊外の医療体制は維持しなければならない。HHS(アメリカの厚労省)は郊外の検査センターに関して225億円の助成金を準備している。
・さらにHHS、追加の250憶円を、病院に対して準備をしている。
 
アメリカは市場の要求に対して、適切な検査を提供しようとしているのでしょう。
それが、COVID19の流行を防ぐのに本当に貢献したのか、あるいわしなかったのか、
優秀な人たちが、事後に検討するのでしょう。
 
お金をバラまいて、あらゆる試みをする→次の感染症に備えて事後に検証する、
 
これば、防疫というコンセプトを確立するための、アメリカの壮大な実験です。
この流れをこのブログで報告できたらと考えています。
 
 
 
 
 
 
 

COVID19勝ち組: GenMark Dx

2020-07-21 19:58:34 | 日記

COVID19で株価が上がった企業を以下の記事で紹介しました。

https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry/?eid=bd8daac0708640be8935220ae6b0d251&sc=c2VhcmNoX3R5cGU9MCZsaW1pdD0xMCZzb3J0PWRlc2MmY2F0ZWdvcnlfaWQ9JnltZD0mcD0y

GenMark Dxが3倍の株価の伸びを示しておりました。このGenMark Dxについて本日は書きたいと思います。

この企業はeplexと呼ばれる全自動のPCR検査の装置と試薬キットを発売しております。この新型コロナウイルス騒動を成長にうまく

決算、財務的には全く問題ないですので、買うのも十分選択肢と思います。

 

取り込み、株価は4月に$4であったのが7月現在で、$18まで上昇しております。4倍です。

 

すごいですよね。また、キャッシュフローマージン、成長性など申し分のない状況です。4倍いったらあと、2倍くらい行くんじゃないかとも思います。株を買うか、買うまいか、という状況でしょう。

決算、財務的には全く問題ないですので、買うのも十分選択肢と思います。

https://finance.yahoo.com/news/genmark-diagnostics-gnmk-stock-winner-015426480.html

 

ただ、私の専門でもある、診断という観点からみると、業界の大手であるCephaid社との差別化要素がこの企業にはないんですよね。

https://www.cepheid.com/

・ネットで漁った情報では、性能はCepheid社よりも良いわけではないなー(ネットの情報なので出典は明らかにしません)

・プラットフォームの普及率に関しても圧倒的な差がある。ここからどうするんだろう。

・EUA取得時期に関し、両社とも3月。そんなに違わない。

・この領域はセファイドのほか、アボット、ビオメリュー他大手がしのぎを削る領域。ここに本当に勝てるのだろうか?

 

コロナのチャンスを巧みに自社の成長に導いたのは本当にすごいことと思います。一方で、今、株を買うかといわれると、ちょっと躊躇してしまいますね、、、、。 でも、成長したのには成長した理由があります。今後も注目です。