NGS後の世界

NGSが普及したあとの世界がどうなるのか、診断業界の変化を中心として情報発信をしていきたいと考えています。

QUIDEL:攻めの検査への取り組み

2020-07-20 19:56:00 | 日記

このブログで、コロナの検査分野で、着実に利益を上げている企業として、Quidel社を紹介しました。

https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry/?eid=bd8daac0708640be8935220ae6b0d251&sc=c2VhcmNoX3R5cGU9MCZsaW1pdD0xMCZzb3J0PWRlc2MmY2F0ZWdvcnlfaWQ9JnltZD0mcD0y

 

また、このコロナ騒動で検査に"防疫"の役割が求められていて、それはどんな検査なのだろうということを書きました。

(従来の検査は診断・治療・疫学だけでしたが、コロナにより防疫の概念が加わりました)

https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry/?eid=62d0e13ddacebb9c27918e24710ad34d&sc=c2VhcmNoX3R5cGU9MCZsaW1pdD0xMCZzb3J0PWRlc2MmY2F0ZWdvcnlfaWQ9JnltZD0mcD0x

 

今回は、QUIDEL社が、イムノクロマト検査を用いると発症から5日以内であれば、PCRと同じ感度でコロナウイルスを検出できると発表し、添付文書を変更するとのことです。

https://ir.quidel.com/news/news-release-details/2020/Quidels-Sofia-SARS-Antigen-FIA-Updates-EUA-Performance-Data-to-96.7-PPA-Versus-PCR-Product-Supports-U.S.-Initiatives-to-Expand-Access-to-COVID-19-Testing-in-Nursing-Homes-Receives-CE-Mark-for-Use-With-Sofia-and-Sofia-2-Instruments/default.aspx

 

抗原検査をPCRの代わりに適応するというのは、日本が先行しています。イムノクロマトを用いた抗原検査はPCRと比べて感度が低いとずっと指摘されておりますが、発症後2-9日であれば見逃しも少なく、陰性・陽性を判断してよいとの指針が厚労省より示されています。日本のPCR不足を補う、現実的な取り組みであると私は評価しています(やたら上から目線ですが、、、)。

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/787280/

アメリカのPCR供給の能力に関して、日本ほどの問題があるとは思いません。しかし、先ほどの記事では、US Health & Human Service(HHS)が2000個の装置と、75万の抗原検査をQuidel社から買って、老人ホームを中心に配布するとのことです。どのように使うかは明記されていませんが、”攻めの検査"として、老人ホームで使うのではないでしょうか。

 

イムノクロマトは確立された技術です。生産も紙を印刷するようなもので大量生産にも優れています。

あきらかな陽性患者を捕まえる(スプレッダーフォーカス)、安価・安価・安価、使いやすいの3つの条件を満たすのは

やはり、PCRのプール検査や、紙PCR検査などではなく、技術として枯れ切ったイムノクロマト検査なのではないでしょうか? 今後の動向に変化があればまた、アップします。

 


Abbott の2Q決算

2020-07-18 16:36:56 | 日記

Abbottの2Qの決算が発表されました。

結果は、7.3 billion USDとなり前年同期比8%のマイナスだそうです。

減少の理由は医療機器部門、診断部門は前年同期比23%のプラスです。

PCR関連が大きく売り上げを伸ばしているようで、専門家の予想を上回ったとのことです。

さすがですね。Abbottほどの規模の企業でも、タイムリーにCOVID関連ではタイムリーに商品の

投入をしていました。

 

 

 


Covid 19: 安い、早い検査を求めて、MITと3Mが提携

2020-07-16 19:00:28 | 日記

COVID 19を克服するため、新しいコンセプトに基づく検査が求められています。

前回の記事で、陽性か陰性かを判断するのではなく、スプレッダーかどうかを検査する検査が求められているのではないかと書きました。

https://blog.goo.ne.jp/kevery/e/62d0e13ddacebb9c27918e24710ad34d

 

当然、みんな考えているわけで、具体的な取り組みをテッククランチの記事から紹介します。


https://techcrunch.com/2020/07/14/3m-and-mit-partner-to-develop-a-new-affordable-rapid-covid-19-test/2020/07/14/3m-and-mit-partner-to-develop-a-new-affordable-rapid-covid-19-test/
 

 MIT: マサチューセッツ工科大学 世界の頭脳が集まる大学です。

3M: テープなど素材メーカーの大企業

 

このMITと3Mが共同して安い・簡単、をコンセプトにした新しいCOVID19の検査を開発するとのことです。

記事で明確には示されていませんが、ラテラルフロー(妊娠検査薬みたいなもの)の抗原検査を開発するようです。

コンセプトは、”各個人は症状を呈していないが、他人にリスクを与える可能性がある人を検出する”です。

研究はNIHの資金援助のもと進められるそうです。
 

PCRをするとどうしてもコストが高くなってしまいます。その改善策として、複数人の検体をプールして検出する

方法も試みられています。でも、プール検体はやっぱりもっちゃいですね。

MIT+3Mのように唾液検査+ラテラルフローが現実的な解かもしれません。

大学と素材メーカーという診断のビジネス経験がないところがちょっと不安でもあり、だからこそビジネスに勝つかもしれないとおもったりしています。

 

スプレッダーを検出するというコンセプトが妥当なのかなど、引き続き記事で発信できたらと思います。


新型コロナ:アメリカでのテレメディスン事情

2020-07-15 19:33:59 | 日記

アメリカの臨床検査学会(AACC)から、テレメディスンを伝える記事です。

新型コロナウイルスの影響で、IT先進国のアメリカでは、インターネットを用いた診療(テレメディスン)が進んでいるそうです。 最初に、Grand View Researchのアンケートの結果です。

・85%の内科医が患者をビデオまたは電話で診療。

・回答者のうち、68%がこの現象は当面の間、続く。

・77% がテレメディスンへの移行を肯定的に評価。

・テレメディスンの市場は2027年までに、10兆円規模になると見込まれる.

https://www.aacc.org/publications/cln/articles/2020/july/covid-19-is-a-catalyst-for-remote-sampling-and-telemedicine

 

テレメディスンの需要は在宅検査への需要も喚起します。アメリカで起こっている動きは以下の通りです。

・4月21日、FDAが自宅で鼻腔液を採取・するキットを承認(検査会社でPCRにより測定されることが前提)。

・複数のベンチャーキットが、唾液検査の採取キットを発売

・検査会社大手Questが患者へ直接、抗体検査を発売を開始。98万テストの売り上げを達成。

・NeoteryxのMitra devicesが注目を集める。NIHがMitraを用いて1万人の抗体検査を経過う

 

すべてが想像の範囲内の変化なのですが、今後、Mitra Deviceが注目です。

https://www.neoteryx.com/

なんでも、臓器移植後のモニタリングの採血でこのデバイスを用いると、患者の満足度が向上したとのことです。

詳しくは見れていないのですが、通常のキャピラリーを用いて採決する方法とはちょっと異なるようです。

可能であれば、いつか調査結果を報告したいとおもいます。

 

記事の後半では在宅検査の限界も指摘しています。採決後のユーザーの取り扱い、輸送経路での品質が保証できないのが大きな問題とのことです。ユーザーが採決後、40度の車の中に3時間放置したら誰が検査の品質を保証するのかと。

採血デバイスが発達してもこの問題は残りますよね。しかし、本当にテレメディスン・在宅検査に需要があるのであれば、Uber方式とか、薬局検査とか、はたまた将来の話ですが自動運転を利用した移動式、セルフ採血センターなど

様々なイノベーションが試されるのではないのでしょうか。なにが、マーケットにフィットするかは誰もわかりません。

楽しみです。

 

 


乳がん:予防検査の有用性

2020-07-14 19:03:00 | 日記

がん発症前に、予防のための検査(BRCA1/2)をしていた人たちは、ガンの生存率が向上したそうです。
 
2013年に、女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳がんの発症予防を目的として、乳房を摘出したというニュース、覚えていますでしょうか?
関連リンク https://kenkoubyouki.com/?p=1981
 
検査陽性→乳房削除 そして、なんの症状もない。

これを聞いた当時、このコンセプトは受け入れがたかったです。

症状もないのに、体にダメージを与えるというのが理解ができませんでした。

医者もよく勧めたし、患者もよく受け入れたなと大変に驚きました。


しかし、よくよく調べると、BRCA1/2を保持する家族では、

幼くして母を乳がんでなくした、親しいおばさんが若くして亡くなった、などの悲しみを経験しているそうです。


家族にはそれぞれの事情があり、患者とその家族は、大変な決断のもと乳房の摘出を行ったのだと思います。

これは、本当に尊重するべき決断です。

 
そうはいっても、乳房の摘出は大きなハードルです。摘出以外でも(なにもしなくても)、BRCA1/2の検査をすることは、いろいろとメリットがありますよというのが、今回の報告となります。

https://www.genomeweb.com/cancer/study-sees-survival-boost-brca12-carriers-tested-breast-cancer-diagnosis?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=GW%20MDx%20Mon%202020-07-13&utm_term=Molecular%20Diagnostics%20Bulletin#.Xwz2A8mCjmI
 
対象105名, がん診断後にBRCA1/2のキャリアーか否かを知った人63名, がん診断前に知った人が42名。

この63名と42名の5年生存率を調べると、知らなかった人が78%、知っていた人が98%となったそうです。

明確な原因は特定できていないのですが、がん発見時、事前に知っていた人のがんは比較的、小さかったとのことです。

 

遺伝子の体質検査の問題は、明確な対応策がないことですよね。

糖尿病になりやすい遺伝子です→父も母も糖尿病。そんなんしってるわ、だけど甘いもの大好きなの!!

するだけ無駄というか、ダメをおされるかんじというか。でも、ガンではこのように効果があるというのは、

今後の検査を考えるうえで重要と思います。