NGS後の世界

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下水を使ったコロナの疫学調査

2020-07-28 19:42:06 | 日記

人間の便に含まれるコロナウイルスを用いて町のコロナウイルスの流行状況を

把握しようという取り組みです。ゲノムウエブの記事で特集されていたので紹介します。

https://www.genomeweb.com/pcr/coronavirus-pandemic-jumpstarts-wastewater-based-epidemiology?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=GWDN%20Mon%20AM%202020-07-27&utm_term=GW%20Daily%20News%20Bulletin#.Xx9e2NIzbIV
 

下水を使ったコロナの疫学調査のコンセプトはシンプルです。感染期の患者の便にはコロナウイルスが含まれているので、下水に含まれるウイルス量を調べれば、町ごとの流行状況が正確に把握できるのではないか?ということです。

このコンセプトはコロナ以前にもあり、研究段階ではありますが、以下の取り組みが行われていました。

・ポリオや肝炎の流行状況を確認するため、2001により取り組みが始まっている。

・麻薬の蔓延を調べる手段として。コカインの分解産物を調べる試みがイタリアで、2005に行われた。

・このコンセプトのもと、オピオイドの蔓延状況を調べるため、アメリカでも試みられた。

 

このような背景のもと、新型コロナのモニタリングにも下水検査を用いることができないかと、現在検討が行われています。コンセプトはシンプルでも、実現するためには様々な困難があるようです。

記事ではアリゾナのチームの取りくみとそのチームメンバーである、Rolfさんのコメントを紹介しています。

・18万5千人規模の街を対象にコンセプトを検証している。全米に適応できれば、疫学調査に費やす10億ドル(1000億円)を削減できる見込みがある。

・大都市の疫学調査を短時間で(リアルタイム)、低コストで実施するのには画期的な方法。

・下水に多くウイルスがいるならば、検出すること自体、大きな問題はない。

・困難なポイントはとプロトコルの測定の標準化である。

・下水の温度は、コロナウイルスの分解にどのような影響を与えるか?ウイルスRNAの分解や検出に影響与える因子は?などを制御することが大変に困難。

 

測定自体は臨床検査で用いられるPCRが広く使われているとのことです。また、濃縮工程には負電荷のメンブレンを用いて収集しているようです。やっぱり、サーベイランスとして使うためには、外部因子をいかにコントロールするかが重要となるようです。また、アメリカはどうか知りませんが日本であれば雨が降れば下水に雨水が混入し、ウイルス濃度は変わってしまいます。

 

いろいろと困難はありそうですが、サーベイランスに求められる精度もよくわからりません。感染爆発はべき乗で起こる現象なので、もしかしたら擾乱要因なども内部コントロール(この場合では便に含まれる菌のDNA総量などになるのでしょうか、、、)を設定したらよいのかもしれません。

 

いろいろな方法でコロナと戦うのは重要なことと思います。

 

 


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