今日は、コロナを離れて別の話題です。
NPRのニュースから、インフルエンザワクチンはアルツハイマー病の発症リスクを3割減少させるというニュースを紹介します。
https://www.npr.org/sections/health-shots/2020/07/27/894731147/flu-shot-and-pneumonia-vaccine-might-reduce-alzheimers-risk-research-shows
インフルエンザの予防接種はアルツハイマー病をなりやすくするという都市伝説がありました(あったそうです)。
これは、実は逆で、インフルエンザの予防接種はアルツハイマー病の予防になるのではないかという報告です。
Alzheimer's Association International Conference(AAIC)というかなりしっかりした学会で大きく取り上げられたニュースなので、サイエンスのバックグランドはかなりしっかりした報告なのだと思います。
以下に、要点を記します。
・病院の記録(メディカルレコード)から、9000人を抽出し調べると、予防接種を受けた人のほうが優位にアルツハイマーになっていない。
・アルツハイマーに関連するパラメーター(糖尿病、肥満など)を調整してもなおかつこの優位性は変わらない。
・予防接種の接種回数が増えれば、発症しにくくなる傾向がみられた。
・他の研究では、肺炎のワクチンも同様の効果をもたらす。
これらが分かったこととなります。一方で、この事実に関してどのように解釈するか、まだまだ時間をようするようです。
・従来は、脳内の炎症反応がアルツハイマーのリスクと考えられていた。予防接種は炎症反応を起こすので発症を促進すると考えられていた。
・予防効果の一つの解釈として、インフルエンザも肺炎も脳にダメージを与える。これら疾患を予防することがアルツハマー病の要望にもつながっているのではないか?
・免疫機能が低下することで、細菌・ウイルスが脳に侵入しやすくする。この免疫機構をワクチンで活性化することが、アルツハイマー病の予防に役立っているのではないか?
現在は、他のワクチンにも予防効果があるか、検討されているとのことです。
感想です。AAICで大きく取り上げられているので、統計的な観点や、サイエンスの観点からは事実なのだろうと思います。インフルエンザにもかかりたくないし、ついでにアルツハイマーの予防につながるなら、まー、毎年、うけてもいいかなと思ってしまいます。
アルツハイマー病の原因が細菌・ウイルスを原因としているのではないか?というのもこの分野で根強く支持されている一つの仮説です。もし、アルツハイマー病・細菌ウイルス説が正しいとすると、従来の疾患概念が大きく変わるので、大変に興味深いです。
欧米に胃がんは少なく、日本・アジアで多いというのも長らく食生活や民族の違いではないかと考えられてきました。
しかし、ピロリ菌という感染症(風土病)で説明できるのではないか?という仮説に対し、大きなショックを受けたの覚えています(そしてそれは正しかった)。
アルツハイマー病も感染症の文脈で語れたら、大きなブレイクスルーです。本当かどうか知りませんが。