COVID-19 パンディミックは、紙ベースの分子診断(DNAを用いた診断)を可能にするのか?
GenomeWebからの記事となります。
COVID-19の影響で、FDAが緊急の利用許諾(EUA: Emergency Use Authorization) を積極的に活用しております。この勢いに乗り、紙ベースの簡易検査を実用化することができるのか、各ベンチャーの取り組みを紹介しております。
まず、ベンチャーがEUAをどうみているのか? ある技術者のコメントです。
“EUAは今までになくもっとも効率的な枠組みです。皆が、このドアが閉まる前に商品を世に出そうとしています”。
まさしく、バスに乗り遅れるなです。
EUAバブルが終わる前に、ベンチャーはなんとか世にものを送り出し、実績を残したいと考えているのでしょう。
次に、対象技術(紙をベースとしたDNA増幅/診断)のメリットがまとめられておりました。
・他の微小流体を用いた検査と比較して安価。大量生産が容易で、製造コストが劇的に安い。
・特別な器具・装置がいらない。
・紙が液を吸う機能がすごい。液を動かすのに、ポンプや電子回路がいらない。
安さと簡便さが売りの技術です。
従来は発展途上国を対象にしていたものが、現状のCOVID-19パンデミックで、
先進国のマーケットを意識しはじめているのです。
記事中では、複数のベンチャーの取り組みが紹介されていますが、技術の詳細も記載されておらず
退屈なので省略します。しかし、この記事を読んで考えたことが二つあったので、この記事を書こうと
思いました。
“私が考えたこと”を記載する前にこの技術(紙をベースとした核酸診断)に対する私の考えをしめします。
・紙でPCRとか実施する意味がよくわからない。普通のチューブでなんでだめなの?
・紙ベース検査の先輩、イムノクロマトにコスト・性能で勝てるのだろうか。
・(イムノクロマトに対して)簡便さ・安さ・性能で勝てる気がしない。
イムノクロマトってなに?という人は以下の記事を参照ください。
すでに、富士レビオが良い商品を販売しています。
で、次が、考えたことです。
①安さが第一の技術にベンチャーが取り組む必然性はない。でも、これだけ各社取り組むには(彼らは馬鹿ではないので)、なにかあるんだろう。なにがあるんだろう?
②従来の感染症の検査の目的は、①診断のため(治療のため)、②疫学調査のため、の二つでした。しかし、ながら最近は攻めのPCR検査などといって、防疫の観点が議論されている。
防疫という目的を達するための検査に要求されることが誰もわかっていない。
アメリカのベンチャーの強みは多様性と生存競争です。なんか、FDAは意図的にEUAでマーケットの参入を容易にし、多様性を確保しています。次は、生存競争で、どのようなコンセプトがいきのこるのでしょうか。
個人的には、紙なんかじゃなくて、塩野義製薬のがいいんじゃないかと思います。
塩野義、EUAとってアメリカで戦ってくれないかしら?
https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2020/06/200622.html