「お前の顔が見えたとき、ついに死神が迎えに来たのかと思ったぞ」
「…わたくしは、生身の人間として生きておりますよ、今のところは、まだ…」
「星を見る、起こしてくれ…確かめておきたいことがある」
「天文ですね………どうされました、司馬懿殿…ああ、心臓ですか…」
「ついでに確かめておこうと思ったまでだ…生きているな、確かに。熱もあるし、動いている…郭淮、また微熱があるのではないのか」
「……司馬懿殿の手、ずいぶん冷えていらっしゃる。心臓に悪いことはやめていただきたいのですが…」
「そんなに冷たいか、なるほど、私の命も残り少ないということだろう」
「お顔の色も青ざめておいでですよ…唇の色など、本当にお悪い……」
「あと三、四年でよい。魏の忠臣として生きて死にたく思うなら、それ以上は望まぬことだ…生き延びろ、あと数年を魏のために」
「それは…どういう意味でしょうか……」
「蜀の滅びまで、あと十年はかかる。さらに呉が滅ぶまでは長いが、その前には、魏もなくなる」
「星が…そんなことを……」
「星が決めるのではない、天数を読んでいるだけだ。そうか…天命は、師にはない…蜀を滅ぼすのは、昭…」
「……天命、ですか」
「魏の天数はまだ残ってはいるがやがてはかなくも尽きよう、蜀と同じだな…そして、お前がそれを見届けることもない…その前に来るがいい…あの世で待っていてやろう、諸葛亮や張郃、曹丕様と語り合いながらな…」
諸葛亮のいないこの世の、なんと味気ないことか。
この退屈が晴れるのならば、命の終わりも待ち遠しいほどだ、と司馬懿は嘆息した。
「わが命運もこれまで。思い残すことも…あと数年もすれば……」
三国時代が終わる。
星空の彼方に、司馬懿は次代を見た。
その手を静かに外し、衿を整え直して郭淮は戻ってゆく。
戦場へ。
姜維はまだ、星の彼方に諸葛亮の面影と志のみを映す…だから、戻らなくてはならなかった。
ーーーーーーーーーーー
以上は、郭淮本から削った部分です。
・・・削った理由は、ま、読めば察せられるでしょうが 笑
「…わたくしは、生身の人間として生きておりますよ、今のところは、まだ…」
「星を見る、起こしてくれ…確かめておきたいことがある」
「天文ですね………どうされました、司馬懿殿…ああ、心臓ですか…」
「ついでに確かめておこうと思ったまでだ…生きているな、確かに。熱もあるし、動いている…郭淮、また微熱があるのではないのか」
「……司馬懿殿の手、ずいぶん冷えていらっしゃる。心臓に悪いことはやめていただきたいのですが…」
「そんなに冷たいか、なるほど、私の命も残り少ないということだろう」
「お顔の色も青ざめておいでですよ…唇の色など、本当にお悪い……」
「あと三、四年でよい。魏の忠臣として生きて死にたく思うなら、それ以上は望まぬことだ…生き延びろ、あと数年を魏のために」
「それは…どういう意味でしょうか……」
「蜀の滅びまで、あと十年はかかる。さらに呉が滅ぶまでは長いが、その前には、魏もなくなる」
「星が…そんなことを……」
「星が決めるのではない、天数を読んでいるだけだ。そうか…天命は、師にはない…蜀を滅ぼすのは、昭…」
「……天命、ですか」
「魏の天数はまだ残ってはいるがやがてはかなくも尽きよう、蜀と同じだな…そして、お前がそれを見届けることもない…その前に来るがいい…あの世で待っていてやろう、諸葛亮や張郃、曹丕様と語り合いながらな…」
諸葛亮のいないこの世の、なんと味気ないことか。
この退屈が晴れるのならば、命の終わりも待ち遠しいほどだ、と司馬懿は嘆息した。
「わが命運もこれまで。思い残すことも…あと数年もすれば……」
三国時代が終わる。
星空の彼方に、司馬懿は次代を見た。
その手を静かに外し、衿を整え直して郭淮は戻ってゆく。
戦場へ。
姜維はまだ、星の彼方に諸葛亮の面影と志のみを映す…だから、戻らなくてはならなかった。
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以上は、郭淮本から削った部分です。
・・・削った理由は、ま、読めば察せられるでしょうが 笑