コーカサスという地域を知っているだろうか?
おそらく日本人の多くは知らないと思う。
では、ジョージアはどうだろうか?
アメリカのジョージア州ではない。
缶コーヒーの名前でもない。
コーカサス地域に属するジョージアという国である。
各国の若いリモートワーカー達の間では数年前から人気の国で、
いまだに旧国名のグルジアと呼ばれる事もあるようだが、それは間違いだ。
そのジョージアがある地域のコーカサス。
トルコの右上、黒海とカスピ海の近く、ロシアと国境を接する国、
と言ってもピンと来ないかもしれない。
地理的な事は地図を見て頂きたいが、
ここではコーカサスの絨毯やキリムなどの織物を探した事を書こうかしら。
そのコーカサスの織物。
日本ではほぼ知られていないかもしれないが、
世界的には絨毯キリム愛好者の間では評価は高い。
実際にニューヨーク在住の方に伺ったのだが、
ニューヨークだと数十万円の値段が付く事も珍しくはないらしい。
何故か隣国トルコでも高値が付いている。
とは言え、認知度や情報量ではまだまだとは言えるだろう。
隣国トルコやイランの絨毯と言えば世界的にもだいぶ以前より知られた存在だが、
コーカサスの絨毯はそれらの国々とは一線を画す素晴らしい織物文化を持っているのです。
さて、そのコーカサスの絨毯とキリム。
コーカサスのジョージアで今回も探してみました。
隣国アゼルバイジャンであれば国を挙げて絨毯産業を応援しているのを感じるが、
ジョージアではあまりスポットを浴びていない。
トルコの様に道を歩けば絨毯屋がある、という訳ではなく、
買える場所は限られている。
ぶっちゃけ、店の数がめっちゃ少ない。
限られた店に物が集中している。
民間から仕入れるという僕がチベット圏で行っている方法も試したが、
ジョージアでこの方法では良い物を探すのは本当に大変で効率的ではない。
簡単に言うと、民間人が持っている絨毯類の品質は低いのである。
時間が限られている場合は限界があるので、早々にこの方法は諦めた。
そこで、絨毯屋の在庫を一通り(とは言え、数百枚単位の膨大な量)見て、
良い物をピックアップした後、
倉庫があるというので、車を飛ばして見に行ってみました。
倉庫に積まれたコーカサス絨毯とキリムの山。
大量に積まれている。
店なら片っ端から広げて見せてくれるが、
全部を広げて見る必要はなく側面で大体分かるので、
物の種類だけ聞き、
気になった物だけピックアップする。
古いカラバフのオリジナルも山の中から普通に出てくる。
カラバフは価値も高いのです。
絨毯やキリム好きなら宝の山。
もし此処がトルコやイランなら当たり前の景色で淡々と選ぶだけで良いが、
なんと言っても、此処はジョージア。
積まれた山のほぼ全てが希少なコーカサス絨毯とキリムばっかりなので、
それだけでも価値はあるだろう。
とにかく量が多いので、二人がかりで良さそうなのを引っ張り出し、
外の光りで確認するという作業を繰り返す。
舞い上がる埃が半端なかった。
余談だが、もし絨毯類の商売をやりたいのであればマスクがあると役に立ちます。
選び抜いた物を車に積み込んだのだが、
もし予算があれば纏めて買取りたいとこだ。
ジョージアでもトルコでもチベット圏でもいつもの事だが、
僕は誰しもが行けない「物の現場」には辿り着ける。
知られていない物を見る事もできる。
どう買うかも分かっている。
しかし、いつも買う金がない。
泣けてくるぜ。
で、ピックアップした物を車に積み込んだのだが、
倉庫の在庫なので、
値段はオーナーに聞かなければ分からないと言う。
そこで、オーナーが居る店舗にピックアップした絨毯を持っていく。
(写真は店に戻る道中見かけた車。積載量と古い車がイカす)
で、ピックアップした数枚の中の一枚。
倉庫に長年眠っていた逸品。
どうやらオーナーのコレクションでリペアする予定だったのを忘れていたそうだ。
狂っている様な変態宇宙人的コーカサス絨毯。
よく見ると動物や人の様な柄。
古いさも申し分ない。
明らかに商業的な絨毯ではなく、古いオリジナル。
この類いはトルコではまず目にしない。
値段交渉の後、仕入れる。
因にこんなのも在った。
ダイナミックさ爆発。
フカフカのパイル(毛足)にインディゴが美しい。
日本では売り辛いだろう。高くて見送る。
倉庫ついでに立ち寄った絨毯洗浄の場所。
車を洗浄する高圧シャワーで少し離して洗うとの事。
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インスタグラムを見てくれている友人には、
「遊んでたねー」とよく言われるが、
実はほぼ毎日こーゆー事を繰り返しているのでござる。
まぁ、楽しいと言えば楽しいのだが、
仕事でやってるので日本で売る事を想定しなければならない。
むちゃくそマニアックな絨毯を買っても理解されない事も想定しなければならない。
例え、希少で価値のある物と出会っても売れなければ商売にならない。
それはプロではなく、趣味となってしまう。
そして今の時代、日本で絨毯やキリムに数十万円を出す人は稀だろう。
特にそれが知られていないコーカサスの絨毯やキリムなら尚更だ。
そこが、自分の好みだけで買うのとは大きく異なる点かな。
もし自分用に買うのなら気が楽なんだけどね。
コーカサス絨毯の宝探しでした。
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