旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

ラダックのアンティーク事情

2019年08月16日 | 仕入れ旅


レーで数日間、プラプラし、
カフェやら、
レーの街中の知り合いのアンティーク・ショップを流す日が続いた。

この地には、
俺が先生と呼ぶ、
この道30年以上のラダック人アンティーク・ディーラーが居たり、
今は、俺がグランドマスターとかブラックベルトとか
敬意を込めつつふざけて呼ぶ、老齢なコレクターであるスイス人女史も来ている。

業界では、
今や、
ラダックの良いアンティークは枯渇した、と言われている。

確かに、足を運ぶ毎に、良い物は姿を消し、
新たに良い物はあまり入っていない印象だ。

現地の業者も、
「以前は毎日多くの物が持ち込まれた。
しかし、今は、一週間に一度程度、僅かに持ち込まれる位の割合になった」と言う。

で、本当に枯渇したのかというと、
そーではない。

仕入れて売れる、売れない、は別として、
行くとこに行けば、
美しいモノはまだ残っている。

ジービーズに関しても同様だ。

現地の一部の富裕層が持っているのだ。

お金に困っていない彼らが手放す事はないだろう。
現地の、資金力とコネクションを持った老舗業者ですら買えないのだ。

しかし、その存在はごくごく一部では知られている。

貴重なタイプのジーは、
今でも存在するのだ。

そして、それらは、
市場には出ない。

ある業者が言った。

「この世に、いったい、何個のジーがあると思う?
個数は、ラック(10万)の単位だろ。
なぜ、みな、狂ったように、ジーばかりを求めるんだ」
と。

そう、
日本では、
さも希少、貴重、と謳われているが、
実際に存在する数は、
洗脳されてしまった一部の日本人達には
意外と思えるほど、
数は多いのだ。

実際、俺も今回、何個かに出会った。
オリジナルのチベタン・ジーやパキスタン系のジーにも。

そして、
ザンスカールの各寺院にも、
ひっそりと息をひそめて存在する貴重なモノ達、
驚く程に多い、
古いオリジナルのタンカや壁画の数々にもね。

市場に流れる様々なアンティークは枯渇してきているのは事実だが、
まだ、
あるところにはあるのである。

それらは、
秘された宝、秘宝、として、
大切に受け継がれていくのである。

決して、
安易には、
俗な金銭市場には出てこない存在なのである。



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