名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

教師が暴行される動画を見て思うこと

2017-10-09 18:36:32 | 教育に関する私論
教師が授業中に暴行される動画がインターネットにアップされて、話題になっていますね。

それに対して

「この先生はよく我慢した」と賞賛する意見もあれば

「とっとと通報しろ。叱って済まそうとするから、なめられるのだ」と学校・教師を批判する意見もありますね。

これについて、私の意見を述べたいと思います。



まず、これには、教師側にも問題があると思います。

すなわち、

「すぐに警察沙汰にせず、まずは学校内で粘り強く暴力生徒と関わり、更正できるよう指導し、それでもどうしてもだめなら、切り札的に警察沙汰にするべきだ」

という思想が問題なのです。

このような思想の教師が一定数いるため、今回のようなことが起こるのだと私は思います。

では、もう一つ掘り下げ、どうしてそのような思想の教師が存在するのかを考えましょう。

先ほど述べたような思想を持つ教師にも、2種類いると考えられます。



パターン1.自らの教育信念として、そう考えている教師

言い換えるなら、積極的にそれが正しいと考えていると言うことです。

その是非については私は意見しません。



パターン2.周囲からの要求を満たすために、そうせざるを得ないと考えている教師

今回の一件の舞台は、高校だとの事です。

高校は、義務教育ではありません。

しかし、実際には、中卒で働こうと思ったら、あまりに選択肢が少ないので

ほとんどの子どもは高校以上に進学し

親も「せめて高校(やそれに類する学校)までは行かせたい」と考える人が多いです。

そうすると、中学校時代に成績が振るわなかった生徒の受け入れ先が社会的に要求されます

さて、成績が振るわなかった生徒にも何種類かいて

「人間的には問題ないが、単純に勉強が苦手な生徒」もいれば

所謂ヤンキー的な生徒もいるわけです。

ヤンキー生徒は当然やんちゃで、高校進学をきっかけに、突然、特性が変質するなんてこともありません。

高校に入っても、程度の大小はあれど、やんちゃします。

そんな生徒の受け皿となっているような学校で、積極的に警察沙汰にしていては

受け皿として機能しなくなってしまいます。



特に、今回の一件の学校は私立と聞きます。

保護者の間から

「あの学校は私立で学費は高いくせに、すぐに警察沙汰にして生徒を見限る」

などと言われた日には、存続の危機です。

教育信念云々では無く、そのような事態を回避するためという、消極的な理由で警察沙汰は切り札だと考える教師もいるはずです。



いずれにせよ

「すぐに警察沙汰にせず、まずは学校内で粘り強く暴力生徒と関わり、更正できるよう指導し、それでもどうしてもだめなら、切り札的に警察沙汰にするべきだ」

という思想は問題だと私は思います。

社会で暴力を働いたら、すぐに警察沙汰です。

社会で許されないことは、学校でも許されるべきでありません。


特に、高校ですからね。

小学生なら、まだ頭は発展途上ですから、甘くても良い部分は大きいと思います。

しかし、高校生ってもう半分以上大人でしょう。

ですから、私はこのような場合はすぐさま警察沙汰にして制裁を加えるべきだし、その前例を持って抑止力とするべきだと思っているのですが

先ほども述べたように、私のような考えではない教師は、決して多くありません。



今回の一件で、当該生徒は逮捕され、自主退学をしたということです。

これで良かったのだと思います。

この前例が、抑止力となり、学校のあるべき姿の維持につながるのだと思います。


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