最近、教師の多忙化についての報道や議論が活発です。
私が思うに、問題の本質は
教師の本来の責務である、授業と生徒指導以外の仕事が多すぎる
ことです。
その解決策の1つとして、部活動の再検討は、大いに意義があることだとは思っています。
しかし、「部活動を見直せば解決する」と考えている人がいることは残念でなりません。
つまり、部活動以外にも、見直すべき点があるのです。
今日は、文科省から出る、ある調査を弾劾します。
正式名称は伏せますが、教育の情報化に関する調査です。
概要は
1.学校の情報機器の整備状況
2.教職員が本年度に受けた、情報に関する研修の実績
3.教職員に情報に関する自己評価を行なわせ、それをまとめたもの
を報告しろというものです。
ここで言う情報とは、ICT機器の授業への活用とか、情報モラル教育云々とか、電子教科書がどうのこうのとか、そういうやつです。
毎年、この時期に行なわれ、私のような情報担当教師のストレスゲージを爆上げします。
以下に、不満を書き連ねます。
【手法が前時代的】
文科省から教育委員会に、調査のやり方や調査に必要な資料、データ等が送られ
その後、教育委員会から各学校に転送され
各学校の担当者は、そのデータ等を用いて調査を行ない、結果を教育委員会(厳密にはその下請けの市町村役場の課)に提出。
さらに市町村の担当者が各学校から提出されたデータを取りまとめ、県→文科省と行くわけです。
そもそも、この手法、情報化社会で実施されているものと思えます?
マトモに調査しようと思ったら
専用のウェブサイトをまず作るべきです。
そして、調査対象の教職員に、そのウェブサイトにログインするためのIDとパスワードを配付し、期日までにログインして質問に答えるように業務命令するわけですよ。
あとは、機械が自動的に集計してくれるようにすればいいのです。
3.の教員の自己評価の調査対象は、「授業を担当している教員」なので、校長や養護教諭は外れるのですが
例えば、専用ウェブサイト方式なら、一番最初の質問で
「あなたは日常的に授業を行なっていますか? はい いいえ」
を問い、「いいえ」を答えれば終了、「はい」ならば次の質問へ……とすれば良いだけなのです。
ところが、文科省はその手間と経費をケチり、前時代的な手法を強要するため、現場教師の負担となるのです。
しかも「集計用」と送られてくるExcelファイルは、拡張子は.xlsという年代物だし
見てもらえば分かると思うのですが、セルの結合のさせ方やレイアウトのしかたが、とてもパソコンが堪能な人が作ったとは思えない代物です。
許されるなら、この場でそのファイルを公開してやりたいレベル。
挙げ句の果てには、調査方法の変更により、調査の必要がなくなった項目についての回答欄が残存しており
「この回答欄には便宜的に○○と記入せよ」という指示が、殺意がわくレベルの小さな文字で書いてあるのです。
こんなことに手間と時間をかけるのであれば、明日の授業の準備をした方が、よっぽど社会のためになると思うのですが
どうも文科の役人とは、意見を一致させられないようです。
10年くらい前に、パソコンが不得意な人が仕方なく作ったものを、毎年少しずつ直しながら使い回しているだけなのでは、と邪推してしまいます。
秘伝のタレじゃないんだから。
【教師にやらせる調査内容か?】
先述した調査内容のうち、1.学校の情報機器の整備状況は、そもそも教師に聞くこと自体がナンセンスだと思うのです。
学校で使われるものは、市町村備品です。
すなわち、原則、市町村役場が税金を割き、市町村が購入したものしか学校に存在しないので
教師ではなくて役場に聞けば良いのですよ。
学校に問うべきは、「例外」です。
この場合の例外は、「卒業生がiPadを寄贈してくれた」などでしょう。
ちなみに、数年前、私が提出した調査が、市の備品台帳と一致していないと言われ、差し戻されたことがあったのですが
だったらなおのこと市役所に聞けば済む話で、教師に聞くなと言いたい。
(ちなみに、そのときの差し戻しの原因は、旧式すぎて教師も生徒も使わなくなったために倉庫の隅っこに追いやられて廃棄待ちとなっていたPCをカウントしなかったことです。「台帳上存在している以上、使用しているPCの数に含めろ」という指示が市役所から出て、差し戻しになりました。だったら学校に聞くな。)
【時間がない】
3.教職員に自己評価を行なわせ、それをまとめたものは、すでに述べたとおり、そもそも専用のウェブサイトを用意して、個々人が答えれば良いと思うのですが
現状、あまりに非合理的なシステムのため、アンケートの回答を検討する時間がとても少ないのです。
本校の場合
本校の担当者である私のところに、この調査のための諸々のデータが、今日届きました。
締め切りは、3/30です。
この忙しい時期に、たったの3週間チョイで
私から、対象職員に調査の説明と、アンケートへの協力を要請する
→それぞれが、アンケートに答える
→私が集計し、提出用のクソみたいなExcelファイルを作成する
→作成したファイルを市の担当者に送る
という一連の流れをやらなければなりません。
そうすると、必然的に、アンケートがお願いされてから、締め切りまでの時間は短くなるわけです。
本当は、A4で5ページにも及ぶ詳細な資料(皮肉ですよ)を読み込んだ上で、自己評価をしなければならないのですが
年度末のこのクソ忙しいときに、そんなことをやる人はいません。
特に3月は、卒業式や成績処理、異動に向けての引き継ぎ準備や新年度の始動準備……やるべきことが沢山です。
逆に、新米がそんなことをやっていたら、ベテランから
「そんなことやる暇あったら、ほかにやることがあるだろう!?」と叱られそうです。
というわけで、みんな、資料をろくに読まずにテキトーに回答します。
なので、私や、全国に沢山いる私と同じ仕事を任された先生が、手間と時間をかけてアンケートを集計しても
残念ながら、その結果にはたいした価値はありません。
調査自体を、否定するつもりはありません。
しかし、こんなやり方では、多忙化の原因でしかないですし、得られるデータにも信憑性がありません。
別に楽したいだけではないのです。
こんなことをやる暇があったら、明日の授業のために、教科書を読むなりプリントを作るなりしたほうが
我々と社会のためだと思うのです。
なので、声を大にして言いたい。
・備品については、役場に聞け。
・教師の自己評価については、専用のアンケートサイトを作成し、各々そこに回答させろ。集計は機械にやらせろ。
・アンケートの回答期間を長くとれ。
・時期が悪すぎる。教師が比較的暇な8月にしろ。
もちろん、この記事を文科の担当者が読んでいるとは思えないので
1人でも多くの市民の方に状況に疑問を持っていただき、場合によっては声を上げて欲しいなと思います。
私が思うに、問題の本質は
教師の本来の責務である、授業と生徒指導以外の仕事が多すぎる
ことです。
その解決策の1つとして、部活動の再検討は、大いに意義があることだとは思っています。
しかし、「部活動を見直せば解決する」と考えている人がいることは残念でなりません。
つまり、部活動以外にも、見直すべき点があるのです。
今日は、文科省から出る、ある調査を弾劾します。
正式名称は伏せますが、教育の情報化に関する調査です。
概要は
1.学校の情報機器の整備状況
2.教職員が本年度に受けた、情報に関する研修の実績
3.教職員に情報に関する自己評価を行なわせ、それをまとめたもの
を報告しろというものです。
ここで言う情報とは、ICT機器の授業への活用とか、情報モラル教育云々とか、電子教科書がどうのこうのとか、そういうやつです。
毎年、この時期に行なわれ、私のような情報担当教師のストレスゲージを爆上げします。
以下に、不満を書き連ねます。
【手法が前時代的】
文科省から教育委員会に、調査のやり方や調査に必要な資料、データ等が送られ
その後、教育委員会から各学校に転送され
各学校の担当者は、そのデータ等を用いて調査を行ない、結果を教育委員会(厳密にはその下請けの市町村役場の課)に提出。
さらに市町村の担当者が各学校から提出されたデータを取りまとめ、県→文科省と行くわけです。
そもそも、この手法、情報化社会で実施されているものと思えます?
マトモに調査しようと思ったら
専用のウェブサイトをまず作るべきです。
そして、調査対象の教職員に、そのウェブサイトにログインするためのIDとパスワードを配付し、期日までにログインして質問に答えるように業務命令するわけですよ。
あとは、機械が自動的に集計してくれるようにすればいいのです。
3.の教員の自己評価の調査対象は、「授業を担当している教員」なので、校長や養護教諭は外れるのですが
例えば、専用ウェブサイト方式なら、一番最初の質問で
「あなたは日常的に授業を行なっていますか? はい いいえ」
を問い、「いいえ」を答えれば終了、「はい」ならば次の質問へ……とすれば良いだけなのです。
ところが、文科省はその手間と経費をケチり、前時代的な手法を強要するため、現場教師の負担となるのです。
しかも「集計用」と送られてくるExcelファイルは、拡張子は.xlsという年代物だし
見てもらえば分かると思うのですが、セルの結合のさせ方やレイアウトのしかたが、とてもパソコンが堪能な人が作ったとは思えない代物です。
許されるなら、この場でそのファイルを公開してやりたいレベル。
挙げ句の果てには、調査方法の変更により、調査の必要がなくなった項目についての回答欄が残存しており
「この回答欄には便宜的に○○と記入せよ」という指示が、殺意がわくレベルの小さな文字で書いてあるのです。
こんなことに手間と時間をかけるのであれば、明日の授業の準備をした方が、よっぽど社会のためになると思うのですが
どうも文科の役人とは、意見を一致させられないようです。
10年くらい前に、パソコンが不得意な人が仕方なく作ったものを、毎年少しずつ直しながら使い回しているだけなのでは、と邪推してしまいます。
秘伝のタレじゃないんだから。
【教師にやらせる調査内容か?】
先述した調査内容のうち、1.学校の情報機器の整備状況は、そもそも教師に聞くこと自体がナンセンスだと思うのです。
学校で使われるものは、市町村備品です。
すなわち、原則、市町村役場が税金を割き、市町村が購入したものしか学校に存在しないので
教師ではなくて役場に聞けば良いのですよ。
学校に問うべきは、「例外」です。
この場合の例外は、「卒業生がiPadを寄贈してくれた」などでしょう。
ちなみに、数年前、私が提出した調査が、市の備品台帳と一致していないと言われ、差し戻されたことがあったのですが
だったらなおのこと市役所に聞けば済む話で、教師に聞くなと言いたい。
(ちなみに、そのときの差し戻しの原因は、旧式すぎて教師も生徒も使わなくなったために倉庫の隅っこに追いやられて廃棄待ちとなっていたPCをカウントしなかったことです。「台帳上存在している以上、使用しているPCの数に含めろ」という指示が市役所から出て、差し戻しになりました。だったら学校に聞くな。)
【時間がない】
3.教職員に自己評価を行なわせ、それをまとめたものは、すでに述べたとおり、そもそも専用のウェブサイトを用意して、個々人が答えれば良いと思うのですが
現状、あまりに非合理的なシステムのため、アンケートの回答を検討する時間がとても少ないのです。
本校の場合
本校の担当者である私のところに、この調査のための諸々のデータが、今日届きました。
締め切りは、3/30です。
この忙しい時期に、たったの3週間チョイで
私から、対象職員に調査の説明と、アンケートへの協力を要請する
→それぞれが、アンケートに答える
→私が集計し、提出用のクソみたいなExcelファイルを作成する
→作成したファイルを市の担当者に送る
という一連の流れをやらなければなりません。
そうすると、必然的に、アンケートがお願いされてから、締め切りまでの時間は短くなるわけです。
本当は、A4で5ページにも及ぶ詳細な資料(皮肉ですよ)を読み込んだ上で、自己評価をしなければならないのですが
年度末のこのクソ忙しいときに、そんなことをやる人はいません。
特に3月は、卒業式や成績処理、異動に向けての引き継ぎ準備や新年度の始動準備……やるべきことが沢山です。
逆に、新米がそんなことをやっていたら、ベテランから
「そんなことやる暇あったら、ほかにやることがあるだろう!?」と叱られそうです。
というわけで、みんな、資料をろくに読まずにテキトーに回答します。
なので、私や、全国に沢山いる私と同じ仕事を任された先生が、手間と時間をかけてアンケートを集計しても
残念ながら、その結果にはたいした価値はありません。
調査自体を、否定するつもりはありません。
しかし、こんなやり方では、多忙化の原因でしかないですし、得られるデータにも信憑性がありません。
別に楽したいだけではないのです。
こんなことをやる暇があったら、明日の授業のために、教科書を読むなりプリントを作るなりしたほうが
我々と社会のためだと思うのです。
なので、声を大にして言いたい。
・備品については、役場に聞け。
・教師の自己評価については、専用のアンケートサイトを作成し、各々そこに回答させろ。集計は機械にやらせろ。
・アンケートの回答期間を長くとれ。
・時期が悪すぎる。教師が比較的暇な8月にしろ。
もちろん、この記事を文科の担当者が読んでいるとは思えないので
1人でも多くの市民の方に状況に疑問を持っていただき、場合によっては声を上げて欲しいなと思います。