その日の昼休み、放送部のユジンとチュンサンは放送担当を任されていた。
ユジンはその日の朝、チュンサンと一緒に遅刻してしまい、学校の塀を越えるという大冒険?をして、また2人だけの秘密が増えていた。そのことを考えると自然と顔が綻んでくるのだけれど、それにしても当番のチュンサンは遅すぎる。ユジンは責任感について文句のようなアナウンスを流したあと、アバのダンシングクイーンをかけた。
ダンシングクイーンはもちろん大好きなので、自然と身体が踊り出す。どうせひとりなんだから、とユジンは鬱憤を晴らすように、思い切り踊って、マイクをもって歌う真似までしていた。
一方チュンサンは、屋上で椅子の上に寝転びながら放送を聴いていた。ユジンの文句のような放送を聴いてニッコリと笑い、ゆっくりと起き出して放送室に向かった。
そっと扉を開けて中に入ろうとすると、ユジンが夢中になって踊っているのが見えた。
髪の毛がぴょんぴょんと跳ねてまるで生き物のように踊っている。一生懸命踊っている顔は桃色に上気していて、ものすごく真剣だけど楽しそうで、チュンサンは笑わずにはいられなかった。無防備で無邪気すぎて、愛らしいと思ってしまった。
そんなチュンサンの視線を感じて、ユジンは入り口にふと目をやった。するとチュンサンがイタズラっぽい笑顔でこちらを見てるではないか。慌ててしゃがんだが、心臓がバクバク言っていた。チュンサンにこんな恥ずかしい姿を見られたなんて。そして、それ以上に優しい顔で笑っている彼の顔を見たら、胸の奥が苦しくなるような、不思議な気分になってきた。
それなのに、やっと勇気を出して顔を出してみると、ガラスのむこうで、ユジンのスケッチブックをそれは楽しそうにめくっているチュンサンを見つけてしまった。勝手にわたしの絵を見るなんて。
ヤア!ヤア!と叫んでみるが知らん顔。困ってしまって何度目かのヤアを叫ぶと、チュンサンがこっそりオンにしたマイクから全校に流れてしまい、、、あとは放送事故だ!とサンヒョクとヨングクが走ってくる羽目になったのだ。
その日ユジンはいつまでも不貞腐れていた。