最近のユジンはすごく変だった。チュンサンとそっくりなイミニョンさんを見てから、塞ぎこんだり、ため息をついたり、ぼんやりしてばかりだ、とサンヒョクは思った。
少し前までは婚約指輪を💍嬉しそうに眺めたり、別れ際に笑顔で手を振ってくれたのに、今は目を逸らしたり、浮かない顔で階段を上がっていく。
どうやらユジンがマルシアンの理事と言っていたキムは理事ではなくて、次長のようだ。先日デートでキムに偶然会ったとき、部下から「次長」と呼ばれていた。でもユジンはそのことを言わない。なぜ理事だとうそをついたのか、サンヒョクには分からなかった。
しかも、チェリンが意味深な顔をして、僕のスタジオに寄って思わせぶりな話をしていった。ユジンが誰と働いているか、などユジンの仕事について色々質問をして行った。
僕の知らないところで、何かが起きている。
その答えはユジンとデートで行ったフレンチレストランで分かった。チェリンとミニョンに偶然会ったのだ。ユジンが一緒に働いている理事とはイミニョンだった。ユジンが黙っていたことで、サンヒョクは怒りに震えて無言で食事をした。ユジンはずっと困ったようなすまなそうな顔をしていた。チェリンとミニョンは何も知らない様子で、イチャイチャしながら食事をしていた。
外に出ると、サンヒョクはユジンに詰めよった。どうして黙っていたのかと。ユジンは困った顔ではっきり答えず、仕事を辞めると言った。
「ごめんなさい。サンヒョク。多分、チュンサンにそっくりの彼を見ていたくて、あなたに言ったら、仕事を辞めなくてはいけなくなるから言えなかったの。彼がチュンサンではないって分かっていても、、、」
ユジンは涙ぐみながら話した。サンヒョクの心はえぐられるような痛みを感じた。いつまでユジンの心の揺れに自分も振り回されるのだろう、、、。ユジンのそばにいられるだけで良いと思ってきたが、心が切り裂かれるようにつらい。しかし、ここで仕事を辞めろと言ったら、ユジンは大切な生きがいを失う。そしてサンヒョクはユジンを失うかもしれない。
迷ったすえ「仕事を続けろよ」とあえて言った。ユジンと僕は10年以上の絆がある。そして婚約者なんだから。プライドと意地があった。僕たちは何も恐れることはないのだ。イミニョンがチュンサンではないと確かめられれば、僕のところに戻ってくる、サンヒョクは不安な心を押し込めて、ユジンを送りだすことにした。大丈夫、大丈夫と祈るように。
一方チェリンは、ユジンが高校時代から、自分に憧れて、洋服や好きな音楽などなんでも真似ばかりすること、好きな人まで盗られそうになったなど語ってミニョンを信用させようとした。そして、婚約者のサンヒョクにミニョンと仕事をしていることも黙っていたのは、また自分の恋人であるミニョンを盗ろうとしてるのではないかと、涙ながらに訴えた。
ミニョンはユジンの印象とあまりにも違うので、不思議に思ったが、チェリンの言うことも一理あるような気がした。
そういえば、先日ドラゴンバレーに視察を共にしたときに、ユジンが自分の写真をこっそりと撮ったようなのが気になった。やっぱり自分を誘惑しようとしているのだろうか、、、。そうかと思うと、結婚した後に住みたい家について話を振ったとき、にっこりと笑って
「どんな家かは重要じゃないと思います。愛する人の心がお互いの家だと思います」
とさらりと話した。ミニョンはそれを聞いて心が温かくなった。まさに、同じことを考えていたからだ。もっともまだ心の家に住みたいと思う人に出会っていないけれど。
ユジンはサンヒョクが仕事を続けさせてくれて、本当に感謝していた。サンヒョクは本当に心が広くて優しい。
その一方で、自分の中に芽生えたミニョンへの想いも確かで、罪悪感が込み上げてきた。
4人の心はそれぞれの方向に向かって走り出していた。