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一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

一夜の甘い記憶

2000年10月26日 | 女のホンネ
 数年前に一夜を共にした男性と、偶然、あるパーティ会場で再会した。一夜を共にしたというのは、ベッドを共にしたという意味では、ない。ベッドを共にしたというのはホテルか自宅のベッドで共に過ごしたということだから、当然、セックスしたという意味だが、一夜を共にした、というのは、ある夜の時間を一緒に過ごした、という意味である。誤解されないよう、念のため。
 視線が合って、会釈したとたん、ポーッとなって顔が熱くなってしまった。2人で過ごした時のような親密な会話はなく、2人とも真面目な顔で、真面目な言葉を口にし、真面目な雰囲気で立ち話をした。
 それでいて、彼の視線はチラッと瞬間的に、意味ありげな光りを帯びたりする。
 私はグラスを持つ彼の手に、何となく眼をやってしまう。
「その書類のコピーを、FAXしてくれれば……」
 穏やかな口調で、彼が言う。
「また、見てもらえますか?」
 と、私。
「うん」
「じゃ、お願いします」
 私は一礼し、彼はうなずき、何となく2人は微笑して、おしまい。
 現在、私は仕事と無関係の、あるトラブルの渦中にあって、弁護士の彼に電話で相談したり、さまざまな書類をFAXして見てもらっている。好意でだから無料で。
 私の相談に、彼は理路整然とした話し方でアドバイスしてくれたり、教えてくれたりするのだが、ふと、一夜を共にした時のムードになる瞬間がある。
 電話を終えて、メモを取っていたペンを置くと、私はトラブルも忘れ、ホテルのスカイ・バーでの甘い記憶に浸ってしまう。パーティで知り合い、銀座のクラブで飲んだ後、シティホテルのスカイ・バーへ誘われた。
 カウンターで彼は、私に小説の話を延々とさせながら、私の髪や耳たぶを指で触れて眺めたり、悪戯したり。
「ンもう、あたしの話、全然、聞いてないのね」
 ふくれて怒ったものの、ふざけて抱き寄せられキスの真似をされたとたん、小説の話をしながらも、そんな行為を予感していたような気がして、心身の熱さを自覚した。
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