Yhaaa!17
星の王子さまより
「じゃ、さよなら」と、王子さまはいいました。
「さよなら」と、キツネがいいました。「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目にはみえないんだよ」
「かんじんなことは、目に見えない」と、王子さまは、忘れないようにくりかえしました。
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」
「ぼくが、ぼくのバラの花を、とてもたいせつに思ってるのは・・・・・」と、王子さまは、忘れないようにいいました。
「人間っていうものは、このたいせつなことを忘れてるんだよ。だけど、あんたは、このことを忘れちゃいけない。めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなけりゃならないんだよ、バラの花との約束をね・・・・・」と、キツネはいいました。
「ぼくは、あのバラの花との約束をまもらなけりゃいけない・・・・・」と、王子さまは、忘れないようにくりかえしました。
サン・テグジュペリ : 作 : 「星の王子さま(オリジナル版)」 : 岩波書店