横断歩道がないけれども、時々人が渡っていたりする。
まぁ、最近は車通りも増えたし、時々よりも見なくなった。
そんなある日、歩道上に犬を連れた女性がいた。
犬は道路に向かって座り、スタンバっている。道を渡る準備、に、見えた。でも、車が好きで見ているのかもしれないしと横を通る。
「もう、ここは渡れなないの! 帰るわよ」
女性は犬を説得していた。
もう、渡れない?
え? かつては渡っていた?
でも、横断歩道があったわけでもないし、車通りも多いし?
この女性ではなく、別の人が散歩に連れて行った際、道路を渡ったのかもしれないと勝手に想像した。
その結果、犬は、ここで渡って家に帰るもの、と思っていたりして?
通り過ぎて十歩以上歩いて振り返ると、女性は犬を抱きかかえて歩道を歩いていった。横断歩道がある方向に……。
大型犬じゃないからできるんだよね……抱えていくのって。
犬は覚えているから、寄り道でおいしいもの食べる、酒を飲むとかできないっていうけど、それかもね。
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