見はるかす山々の頂
梢には風も動かす
鳥も鳴かす
まてしはし
やかて汝も休はん
(ゲーテ『旅人の夜の歌』)
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シルバー剪定チームの皆々の経済状態は、決して良いとは言えない。ある70代前半の元解体業-分かりやすくいえばぶっ壊し屋-の男性A氏、現在の主たる仕事はシルバー剪定だが、日銭が入る仕事を最優先にしている。日銭仕事は1日の手取が大体1万8千円程だとか。シルバーは1万2千円程。
その彼は、60代前半の相棒B氏とペアを組んで、解体の仕事をやることが多いのだが、その相棒は働くことが大嫌いで、これまでまともな仕事に就いたことがない。普段は家でゴロゴロぶらぶら、決まった収入がないのにお酒大好きで、A氏にお金を借りるなどして居酒屋へ通う日々らしい。
解体仕事は人手が足りないと作業が進まない。B氏はその日が猛暑だったり、気分が乗らなかったりすると無断欠勤をすることがしばしばなので、仕事のある日は、A氏がB宅まで迎えに行くのだとか。B氏は両親と同居してるのでなんとか生活できているが、この先はどうなることやら…。A氏によると、B氏のお母さんは「自分が先に死ぬわけにはいかない」と寂しそうに語っていたとか。
ゲーテの「しはし汝もやすまん」-に接し、ふと思い起こした話でした。
<写真>剪定中に、あのETに似た枝を見かけたので撮影。 以上。