庭木師は見た!~ガーディナー&フォトグラファー~

庭木師が剪定中に見たあれこれ。

庭木師は見た!~ゲーテの詩~

2023-07-31 08:28:53 | 日記

        

      

             見はるかす山々の頂

          梢には風も動かす

          鳥も鳴かす

          まてしはし

          やかて汝も休はん

                            (ゲーテ『旅人の夜の歌』)

 シルバー剪定チームの皆々の経済状態は、決して良いとは言えない。ある70代前半の元解体業-分かりやすくいえばぶっ壊し屋-の男性A氏、現在の主たる仕事はシルバー剪定だが、日銭が入る仕事を最優先にしている。日銭仕事は1日の手取が大体1万8千円程だとか。シルバーは1万2千円程。

 その彼は、60代前半の相棒B氏とペアを組んで、解体の仕事をやることが多いのだが、その相棒は働くことが大嫌いで、これまでまともな仕事に就いたことがない。普段は家でゴロゴロぶらぶら、決まった収入がないのにお酒大好きで、A氏にお金を借りるなどして居酒屋へ通う日々らしい。

 解体仕事は人手が足りないと作業が進まない。B氏はその日が猛暑だったり、気分が乗らなかったりすると無断欠勤をすることがしばしばなので、仕事のある日は、A氏がB宅まで迎えに行くのだとか。B氏は両親と同居してるのでなんとか生活できているが、この先はどうなることやら…。A氏によると、B氏のお母さんは「自分が先に死ぬわけにはいかない」と寂しそうに語っていたとか。

 ゲーテの「しはし汝もやすまん」-に接し、ふと思い起こした話でした。

 <写真>剪定中に、あのETに似た枝を見かけたので撮影。    以上。

 

 

 

 


庭木師は見た ~三好達治~

2023-07-09 15:52:06 | 日記

 

「ああ、その海辺の村の松風を聴き、暗い旅籠の湯にひたり、そこの窓に岬を眺めよう、その岬に陽の落ちないうちに-。そして私は心に打ち寄せる浪の音を聞いた。私は峠を下つた」

                                  (『測量船』三好達治)

 

 以前にも書いたかも知れませんが、庭木剪定はひとり、植木ばさみでチョキチョキやるわけで、その時間は瞑想タイムといえます。

 落ち葉も鳥に見えました。                           (了)

 


庭木師は見た! ~スズメバチ~

2023-07-06 00:57:50 | 日記

              

 

「乾杯の グラスのように 触れ合はす 君の肩先 われの片頬」

                             (『いびつな果実』松本典子)

                    ◆   

 

 スズメバチの巣はドッジボールのボールの大きさにまでなる。上の写真もスズメバチの巣だが、梅雨の時期はまだ小さく、とっくりの形をしている。

 似た花器を探して撮影。

 あるベテラン庭師は過去2回、スズメバチに刺されたという。最初は頬をやられ、腫れ上がって2日間片方の目が開かなかったとか。

                 

 


庭木師は見た! ~ツバメの巣は愛の巣~

2023-07-03 18:47:01 | 日記

 

「女性からインスパイアされる愛、言い替えてみると本当の愛ということが、いかに深い喜びであるかをダンテは痛切に知りました」

                   (『ダンテ神曲講座』<地獄編> 矢内原忠雄著)

 

                     ◆

 ある民家のツバメの巣。

 何かの仮面のように見えた。骸骨風の口の上部に2つの目玉が、ツバメの首の下当たりに。

 ツバメが巣作りをしているようで、剪定休憩中、つがいの親ツバメが交互に巣に戻って来ていた。

 そこの奥さんによると、車庫のシャッターを開けたまま外出した時、ひながやられていたという。そういえば、カラスがいつも近くの電信柱に止まって、車庫の方を見ていたとか。

 ベテラン庭師が言っていた。「車庫の窓を10~15㌢程開けておけば、ツバメは体を傾けて車庫内の巣に戻ってこれるが、カラスは入れない」と。

 

 

 


庭木師は見た! ~独身の女の家~

2023-07-02 15:36:27 | 日記

 ■雑誌『VERY』(2013年6月号)で、漫画家・西原理恵子と作家・桐野夏生の対談からの引用。

 

 西原:女が独りってことは砂漠を歩いてんだから、水筒持たずに歩くバカがどこにいる。

 桐野:男は水筒かい。

 西原:ユンケル。2本くらいは持っておきなさい。男の人ってさ、髪切った日に髪伸びた? 

    っていうじゃん。あんなやつらに私たちの浮気がばれるわけがないんだから。

 桐野:鈍いのよねえ。

                     

 

 ある50歳前後の独身女性宅に剪定に出向いた。敷地は40坪程。

 玄関先や車庫には雑誌の束や、空き瓶・缶類が積み上がっていた。ユンケルの空き瓶があったかどうかは覚えていないが、まるで粗大ゴミ置き場。家の障子は全体の3分の2程が破れ果て、庭にいるだけで室内の様子がわかるほどだった。

 住んでいるのは看護婦とのことで、マイカーで仕事に出かけ、帰宅したら玄関は通らず、車庫の裏手から家に入っているとか。

 ある夏の日の午後。裏庭のカエデを剪定していた仲間が、何気なく室内に目をやったら、女性がこちらに足を向けて寝ていたという。不在と聞いていたのに……。泊まり明けなのか。女性の体にはタオルケットが一枚かかっていたという。