『年上の彼女』と同じ時期に書いたお話です。
ここでは、年下の子との恋愛というよりも、ちょっと手出しをするのは憚られる相手がいたとして、積極的な女の子のアプローチに譲二さんはどう対処するだろう? という興味で書き始めました。
吉恋のヒロインはそんなに積極的というわけではないですからね。女の子の方から抱きついてくるようだったら、どうするの? って。
この話はまだラストが確定してない…と言うか、途中で止まってます。
だけど、upするうちに続きの話も書けるようになるといいな…という希望的観測でupしていきます。
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譲二ルート以外のどれかのルートの譲二さん。
本編のヒロインは大学を卒業して就職、クロフネを出ている。
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初めてのデート~その4
〈譲二〉
汐里「きれい…」
眼下には宝石をちりばめたような夜景が広がっている。
俺は汐里ちゃんの腰にそっと手をまわした。
譲二「来てよかったね…」
汐里ちゃんが上目遣いに俺を見上げる。
汐里「マスター、キスして…」
来ると思ってた。
俺は覚悟を決めて唇にそっとキスをした。
汐里「それだけ?」
譲二「うん…。不満?」
汐里「ううん…。うれしい…」
汐里ちゃんが俺を抱きしめる。
ゴンドラが大きく揺れた。
譲二「こらこら…。急に抱きつくと危ないよ…」
汐里「…だって、うれしいから…」
俺はもう一つ覚悟を決めた。
譲二「汐里ちゃん……俺と付き合ってくれる?」
汐里ちゃんはそっと目を伏せた。
汐里「もう、付き合ってると思ってた…」
譲二「うん。でも、まだ俺の気持ちを伝えてなかったから…。
今まで、いつも俺のことが好きだって言ってくれてたよね?」
汐里「だって本当に大好きなんだもん」
譲二「ありがとう。ただ、汐里ちゃんは俺をお父さんの代わりみたいに思ってくれてるのかもって思ってた…」
汐里ちゃんは少し頬を膨らませた。
汐里「マスターはマスター、お父さんじゃないよ」
譲二「そうだね。でも、俺はそう思うことで、汐里ちゃんへの気持ちの歯止めにしてた…。
とても卑怯なんだけど…。
いつか、汐里ちゃんが他の若い男を連れて来ても、俺はお父さん代わりなんだと思っておけば、自分が傷つかずにすむ…」
汐里「他の男の人なんて好きにならないよ。こんなに好きになった人なんて、マスター以外今までいないもん」
譲二「ありがとう。でもね、汐里ちゃんはまだ若いから分からないかもしれないけど、人の気持ちって時とともに変わって行くもんなんだよ…」
汐里「私は変わらないもん」
涙を浮かべて抗議する汐里ちゃんの唇にもう一度キスをした。
譲二「俺は臆病者だから、自分の気持ちから逃げてた…」
汐里「それって…」
譲二「ああ。俺は汐里ちゃんのことが好きだ。他の若い男になんて渡したくない。俺の…恋人になって欲しい」
汐里ちゃんは一瞬驚いたように瞳を見開いて俺を見つめた。
汐里「うれしい」
俺はそっと彼女を抱きしめた。
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譲二さん、告白しちゃったよ…。作者としては本当はまだしないつもりだったのに…。
観覧車効果かな?
その5へつづく