『年上の彼女』と同じ時期に書いたお話です。
ここでは、年下の子との恋愛というよりも、ちょっと手出しをするのは憚られる相手がいたとして、積極的な女の子のアプローチに譲二さんはどう対処するだろう? という興味で書き始めました。
吉恋のヒロインはそんなに積極的というわけではないですからね。女の子の方から抱きついてくるようだったら、どうするの? って。
この話はまだラストが確定してない…と言うか、途中で止まってます。
だけど、upするうちに続きの話も書けるようになるといいな…という希望的観測でupしていきます。
☆☆☆☆☆
譲二ルート以外のどれかのルートの譲二さん。
本編のヒロインは大学を卒業して就職、クロフネを出ている。
☆☆☆☆☆
マスターが好き~その7
〈汐里〉
フランクフルトを順調に焼いていたが、軍手から外れた腕の部分が鉄板にあたってしまった。
思わず声を上げた私に、マスターが心配して見にきてくれた。
譲二「どうしたの?」
汐里「鉄板にあたって…やけどしちゃった…」
私が照れ笑いすると、マスターは厳しい顔で言った。
譲二「直ぐに冷やさないと」
そして、ジュースを冷やしている桶に私の手を入れさせる。
譲二「冷たいけど、我慢してね」
汐里「ううん…冷たくて気持ちいい」
譲二「気を付けないとダメだよ!痕が残ったらどうするの?嫁入り前の娘なのに」
汐里「痕が残ったら、マスターがお嫁に貰ってくれる?」
譲二「また、そんなこと言って」
マスターはちょっと困ったように笑った。
譲二「俺みたいなオジサンなんかより、もっと若いカレがすぐできるよ」
私はマスターのことが大好きなのに…。
マスターは私のことを本気には相手してもらえないんだろうか?
夏祭りが終わったら、デートしようって言ってくれたから、ちょっと期待してたのに。
しょんぼりした私を慰めるようにそっと頭をなでてくれる。
譲二「汐里ちゃんが頑張ってくれてるからいつも助かってるよ…。
今日だって俺一人じゃとても出店なんてできなかった。
だから、汐里ちゃんは自分を大切にしないとね。さっきはキツく言ってごめんね」
汐里「ううん、私こそ心配かけてごめんなさい」
譲二「さあ、冷たいけど出来るだけ冷やして…。汐里ちゃんはジュースの方を担当してね。
フランクフルトは俺がやるから…」
マスターは優しく笑った。
ああ、やっぱりマスターのことが大好き。
マスターにも、私のことをもっと好きになってもらいたい。
その8へつづく