『年上の彼女』と同じ時期に書いたお話です。
ここでは、年下の子との恋愛というよりも、ちょっと手出しをするのは憚られる相手がいたとして、積極的な女の子のアプローチに譲二さんはどう対処するだろう? という興味で書き始めました。
吉恋のヒロインはそんなに積極的というわけではないですからね。女の子の方から抱きついてくるようだったら、どうするの? って。
この話はまだラストが確定してない…と言うか、途中で止まってます。
だけど、upするうちに続きの話も書けるようになるといいな…という希望的観測でupしていきます。
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譲二ルート以外のどれかのルートの譲二さん。
本編のヒロインは大学を卒業して就職、クロフネを出ている。
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初めてのデート~その5
〈譲二〉
汐里ちゃんはとても疲れていたのだろう、帰りの電車では立ちながらウトウトしている。
席を見つけて椅子に座らせた。
俺の肩にもたれて熟睡している。
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寝ぼけ眼の汐里ちゃんを起こして電車を降りると、クロフネに連れ帰った。
夜風で目が覚めたのか店に着く頃には、完全に目を覚ましていた。
譲二「お疲れ様。さあ、シャワーを浴びてもう寝なさい」
汐里「また、お父さんみたい…」
譲二「うん。お父さんみたいでいいよ…。でも、少しだけこうさせて…」
汐里ちゃんを抱きしめる。
汐里「マスター…。私のこと好き?」
譲二「ああ、大好きだよ」
汐里「私も大好き」
譲二「それはよかった…」
そっと額に口づける。
譲二「さあ、シャワーを浴びておいで…」
汐里ちゃんは少し不満そうだったが、シャワーを浴びに行った。
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自分の部屋で本を読んでいるとノックの音がした。
汐里「マスター、お先に」
譲二「ああ、もうでたの? おやすみ」
汐里「おやすみなさい…」
しかし、汐里ちゃんは戸を開けたまま、もじもじしている。
汐里「一緒に来てはくれないの?」
彼女の甘えるような瞳に見つめられて、俺はため息をついた。
譲二「今夜だけだよ」
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ベッドに横になった彼女に布団をかける。
汐里「お休みのキスは?」
譲二「今日はもう何度もしただろ?」
そう言いながらも、彼女の唇に軽いキスをした。
汐里ちゃんが俺の手を握る。
俺もその手を握り返した。
汐里「今日はありがとう。とても楽しかった」
譲二「俺も楽しかったよ…。さあ、お休み…。寝付くまでここにいてあげるから…」
汐里「うん…。おやすみなさい」
譲二「おやすみ」
汐里ちゃんは疲れていたのだろう、コトンというように眠りに落ちた。
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彼女を寝かしつけた後、俺も軽くシャワーを浴びて自分のベッドに横たわった。
長い1日で疲れていたにもかかわらず、なかなか寝付けない。
(今日は本当に楽しかったな…。それに…汐里ちゃん、とても可愛かった)
隣の部屋で安らかな寝息を立てているであろう汐里ちゃんを思い浮かべる。
(汐里ちゃんが欲しい。彼女を抱きたい…)
切実に思った。
…しかし、彼女に俺も他の男と同じと思われるのだけは我慢が出来なかった。
大きなため息が漏れる。
たぶん、単なる俺の虚栄心にしか過ぎないんだろうけど…、今さら簡単に彼女を抱くわけにはいかない…。
その6へつづく