特別捜査密着24時の『妄想飛行~冗談は脳内だけにしろ~』で野村さんが言っていたこと
>>「9つも歳が違うと同じ学校に通うなんてことないしさ、妄想が膨らむよね」
>>「もう少し年齢が近かったら、こんなこともあったかな~っていう俺のロマンじゃーん」
みたいに譲二さんも妄想してたかな…と思ったらこんなお話が浮かびました。
なお、妄想の中の『マスター』は先代マスターです。
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妄想飛行~譲二の場合 その2よりつづき
【☆妄想中☆】
俺は茶倉譲二、高校二年生。
最近、俺の下宿先のクロフネという喫茶店の二階に幼なじみの一つ年下の女の子が住むようになった。
住んでいる所と学校が一緒だと、何かと行き帰りも一緒になる。
毎朝一緒にクロフネをでて、下駄箱のところで別れ、放課後は下駄箱で待ち伏せては一緒に帰ってくる。
今朝も二人で土手の道を並んで歩いている。
譲二「百花ちゃん、部活は何に入るかもう決めた?」
百花「ううん。いろいろと誘われて入るけど…。そういえば、譲二くんは部活に入ってないの?」
譲二「入ってないわけじゃないけどね…」
百花「でも、いつも私と帰っているよね…。もしかして私のために部を休んでるの?」
譲二「いや…、俺の部はそんなに忙しくないから…。
あのさ、もしまだ部活が決まってないなら…その…俺の部に見学に来ないか?」
百花「譲二くんの部? それは何部なの?」
軽く深呼吸した。
譲二「俺は新聞部に入ってるんだ。けど、今二年生は俺だけでね。
今年は一年生も入部してこなかったから、今の三年生が引退しちゃうと俺だけになってしまうんだ…」
そっと百花ちゃんの顔を覗き見る。
そんな廃部寸前の部には入れませんって言われるかな?
百花「それって、大変なことじゃない?」
譲二「え?」
百花「学校新聞を作るには色々することがあるんでしょう?」
譲二「うん、まあ」
百花「それなのに、一人で全部するなんて無理だよ。
新聞を作るなんて、私にできるかどうか分からないけど出来るだけ頑張ってみるね」
譲二「それって…新聞部に入ってくれるってこと?」
百花「譲二くんは入ってほしいんでしょ?」
譲二「え? ああ、もちろん。やった!」
百花「もっと早くに言ってくれればよかったのに…」
譲二「いや…。ほら、他に入りたい部とかあるかもって思ってさ」
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放課後、百花ちゃんを新聞部の部室に連れて行く。
3年生は男一人、女三人の四人。
部長に百花ちゃんを紹介すると小声で囁かれた。
部長「おい、譲二。結構可愛い子じゃないか。どっから見つけて来たんだ?」
譲二「俺の幼なじみで最近転校してきたんです。」
部長「で? お前の恋人なわけ?」
俺は慌てた。
譲二「何をいうんですか? いきなり。
恋人なんかじゃないですよ」
部長「なら、俺がモーションかけてもOK?」
譲二「ダメです!」
部長「即答だね」
部長はニヤリと笑った。
部長「俺たちはあと数ヶ月の命だから、二人で頑張れよ」
今の部長とのやり取りを百花ちゃんに聞かれていないか、そっと伺ってみる。
よかった。女子の先輩たちに囲まれて、色々聞かれている。
新人教育は次期部長である俺の仕事、ということで百花ちゃんと二人一組で取材に動くことになった。
あまりにも物事がうまく進みすぎて怖いくらいだ。
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妄想にふけっていると、いつものごとく、タケに声をかけられる。
剛史「マスター、今週のマンデーは?」
譲二「え? そこの棚にあるはずだよ。よく探してみて」
百花「マスター、さっき帰られたお客さんのテーブル。片付いてなかったのでここに置きますね。
布巾を出してくだされば拭いてきますよ」
譲二「あ、ありがとう。テーブルは俺が拭くよ」
春樹「この頃ジョージさん、何だかぼんやりしてるよね」
一護「この陽気で眠気でも増してるんじゃね?」
竜蔵「それはタケだろう」
剛史「俺は年中眠い…ああ、あった」
理人「そういやマスター、この間も幸せそうな顔で居眠りしてた」
百花「やっぱり陽気のせいなのかな?
そう言えばもうすぐマスターの誕生日だったよね」
春樹「ジョージさんを元気づけるために何かする?」
竜蔵「おお、それいいな」
理人「しーっ、リュウ兄声がでかいよ」
譲二「ん? 何がいいの?」
一護「何でもねーよ」
理人「マスターには関係ないことだよ。しばらくこっちに来ないでね」
譲二「えーっ! 俺だけ仲間はずれ?」
あーあ、時々こういうことがあるんだよね…。
まぁ、俺は大人だからあいつらと一緒に騒いじゃだめなんだけど…。でも、寂しい…。
まあ、いい…。
仕事しよう、仕事。
妄想飛行~譲二の場合 その4へつづく