特別捜査密着24時の『妄想飛行~冗談は脳内だけにしろ~』で野村さんが言っていたこと
>>「9つも歳が違うと同じ学校に通うなんてことないしさ、妄想が膨らむよね」
>>「もう少し年齢が近かったら、こんなこともあったかな~っていう俺のロマンじゃーん」
みたいに譲二さんも妄想してたかな…と思ったらこんなお話が浮かびました。
なお、妄想の中の『マスター』は先代マスターです。
☆☆☆☆☆
妄想飛行~譲二の場合 その11
【☆妄想中☆】
あれから百花ちゃんは俺とまともに口を聞いてくれない。
朝食も夕食もマスターとは普通に会話してるのに、俺とは話してくれない。
こういう時一緒に暮らしているのはかえって不便だ。
見かねたハルが百花ちゃんに「明里さんには別に恋人がいるらしいよ」と言ってくれたらしいのだが…。
俺は思い切って百花ちゃんに申し開きをすることにした。
百花ちゃんの部屋のドアをノックする。
譲二「百花ちゃん…ちょっといい?」
なかなか返事がないので、ドキドキした。
軽い足音がして、ドアが開いた。
百花「譲二くん、何の用?」
譲二「百花ちゃんにちょっと聞いてもらいたいことがあって…」
百花ちゃんはちょっとため息をつくと「いいよ」と言った。
二人だけで、百花ちゃんの部屋で話をするのはちょっと気まずくて、近くの小さな公園に出かけた。
真ん中に巨大なタコの滑り台がある公園だ。
二人でベンチに並んで座る。
譲二「この間はびっくりさせたみたいでごめん…」
百花「明里さんのこと?」
譲二「ああ…」
百花「びっくりしたというより、何だか悲しかった…。譲二くんに隠し事をされてたのが…」
譲二「ごめん…。ほんとはちゃんと説明しなきゃって思ってたんだ…。俺の家のこと」
百花「家のこと?」
譲二「ああ…。色々と複雑な事情があるんだ」
百花「それって、譲二くんがクロフネに下宿してる理由と関係があるの?」
俺は百花ちゃんに実家の話をした。
俺の実家は茶堂院グループという大企業のオーナー一族だ。
明里の家の会社と事業提携をするようになって、俺と明里を結婚させてしまおうという話が持ち上がり、二人は親の決めた婚約者となった。
幼稚園の頃に「お前の婚約者だよ」と紹介されたが、明里には最初から婚約者とは認められてない。
そして、中学生の頃に明里は俺のダチを恋人にしてしまった。
譲二「だから明里は婚約者には違いないけど、恋人じゃないんだ…」
百花ちゃんはどう思っているんだろう?
恐る恐る百花ちゃんの顔を伺う。
百花「どうしていままで話してくれなかったの?」
おい譲二。この質問の答えは重要だぞ。
下手をすると百花ちゃんに永遠に嫌われちまう。
譲二「親の決めた婚約者にさえフラれる情けない男……好きな女の子にはそう思われたくなかったから…」
百花「え?」
譲二「俺、百花ちゃんには…カッコ悪いとこ見せたくなくて…。そのために傷つけてしまったのなら…ごめん」
百花「譲二くん…。今なんて言ったの?」
譲二「百花ちゃんを傷つけてごめん…」
百花「その前…」
譲二「百花ちゃんにはカッコ悪いとこ見せたくない…。好きな女の子だから」
百花「やっと言ってくれたね…」
百花ちゃんはちょっと潤んだ目で俺を見つめた。
譲二「俺は…百花ちゃんが好きだ」
百花ちゃんは目を伏せた。
百花「私も譲二くんのことが大好きだよ」
妄想飛行~譲二の場合 その12へつづく