特別捜査密着24時の『妄想飛行~冗談は脳内だけにしろ~』で野村さんが言っていたこと
>>「9つも歳が違うと同じ学校に通うなんてことないしさ、妄想が膨らむよね」
>>「もう少し年齢が近かったら、こんなこともあったかな~っていう俺のロマンじゃーん」
みたいに譲二さんも妄想してたかな…と思ったらこんなお話が浮かびました。
なお、妄想の中の『マスター』は先代マスターです。
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【☆妄想中☆】
俺は茶倉譲二、高校二年生。
最近、俺の下宿先のクロフネという喫茶店の二階に、幼なじみの一つ年下の女の子が住むようになった。
新聞部の部長から言い渡された俺たち担当の記事。
部長「頑張ってる部を応援しようってことで、毎回2つづつ部を紹介してるんだけど。
今回は空手部と陸上部…。ジョージ、お前どっちも知り合いがいたよな?」
譲二「はい。空手はハルで陸上はタケ。どっちも一つ下の幼なじみです」
部長「なら、大丈夫だな。お前ら二人にまかせた」
譲二「わかりました」
百花「はい」
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二人でまず空手部が練習している武道場に向かう。
百花「ハルくんて強いみたいだね」
譲二「ああ。中学時代から全国大会にでてるから、高校でも期待されてるみたいだよ」
百花「ほんとに? すごい。ハルくんは頭もいいし、家の手伝いもしてるのに頑張ってるんだね。
幼なじみがそんなになってるなんて、なんだか嬉しい」
素直に喜んでいる百花ちゃんだが、俺はなんだか面白くない。
譲二「…」
部員がたくさんいて、ハルがどこにいるかはよくわからない。
同じクラスの空手部の部長に取材の挨拶をした。
部長「あ、ハル! 新聞部がお前の取材に来てるぞ!」
ハルが俺たちを見つけて駆け寄って来た。
春樹「佐々木! もしかして新聞部に入ったの?」
百花「うん。ジョージくんに誘われて」
春樹「そっか。佐々木に取材されるなんて、ちょっと緊張しちゃうな」
百花「えーっ。そんな、いつも通りに話してくれればいいのに。」
譲二「ハル…。俺のこと忘れてないか?」
春樹「ハハッ。ジョージさん、気のせいですよ。気のせい」
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百花「次は陸上部だから運動場だね」
譲二「百花ちゃん疲れてない? インタビューのメモを一人で書いてもらってごめんね」
百花「大丈夫ですよ。質問とかは全部譲二くんが考えて聞いてくれたし」
譲二「でも、合間で百花ちゃんが挟んだ質問が的確だったから、いい記事になると思うよ」
百花「私の質問が役にたったんだったらよかった」
ちょっと頬を染めて上目遣いでみる百花ちゃんの瞳はキラキラ輝いている。
俺は幸せな気持ちに満たされてにっこり微笑み返した。
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幸せな気持ちで食器を拭いていると、タケが声をかけた。
剛史「マスター。腹減った。なんか喰わせてくれ」
竜蔵「ジョージ。俺も、特製ランチがいいな」
剛史「俺はハニートーストがいい」
譲二「リュウもタケも…。それメニューにない料理だから…」
百花ちゃんはテーブルを拭きながら笑っている。
百花「でも、どっちも美味しそうですよね」
剛史「実際に美味しい」
理人「マスター、観念してどっちもメニューに載せたら?
どーせ裏メニューで知ってる人は知ってるんだから…」
春樹「メニューに載ったら注文する人も増えるだろうしね」
譲二「いや、店で出すとなるとそれなりに量を確保しないといけなくなるしね。
ハニートーストはともかく、特製ランチは仕込みに手間がかかるからな…」
百花「マスター一人で忙しかったら、私が少しでも手伝いますよ」
キラキラした瞳で百花ちゃんが微笑んでくれる。
あー。この笑顔がいいんだよなー。
譲二「今だって色々手伝ってもらって申し訳ないし…。
百花ちゃんは勉強だってあるんだから…」
百花「でも…マスターにはいつもお世話になってますし」
百花ちゃんと見つめ合う格好になった。
その時…。
チャイムの音がして、ドアが乱暴に開いた。
一護「百花!」
譲二「やあ、一護。いらっしゃい」
一護「今日は俺んちの店を手伝うって約束だったろ!
いつになったら来るんだよ!」
百花「ごめんなさい。
直ぐ出るつもりだったんだけど、クロフネが忙しそうだったから…」
理人「そうだよ。今日は珍しく忙しそうだった」
春樹「りっちゃん、フォローになってないよ…」
一護「とにかく、約束は約束だ。さっさと来い!」
百花「まって、いっちゃん…。
マスターごめんなさい。行ってきますね」
エプロンを外した百花ちゃんはいそいそと出かけて行った。
一護「全く…。なんで俺が迎えに来なきゃなんねぇんだよ…」
百花「ごめんね…」
二人が去った後を俺たちは呆然と眺めた。
春樹「…なんか…つむじ風みたいだったね」
理人「あーあ、またいっちゃんに百花ちゃん取られちゃった」
竜蔵「俺も今度百花に店の手伝い頼もうかな…」
理人「リュウ兄は無理だと思うよ」
竜蔵「なんでだ?」
百花ちゃん…。あの笑顔はなんだったんだ…。
妄想飛行~譲二の場合 その5へつづく