特別捜査密着24時の『妄想飛行~冗談は脳内だけにしろ~』で野村さんが言っていたこと
>>「9つも歳が違うと同じ学校に通うなんてことないしさ、妄想が膨らむよね」
>>「もう少し年齢が近かったら、こんなこともあったかな~っていう俺のロマンじゃーん」
みたいに譲二さんも妄想してたかな…と思ったらこんなお話が浮かびました。
なお、妄想の中の『マスター』は先代マスターです。
☆☆☆☆☆
妄想飛行~譲二の場合 その6
【☆妄想中☆】
俺は茶倉譲二、高校二年生。
俺の下宿先のクロフネに婚約者の明里がやってきた。
明里「貴志とは喧嘩しちゃった…。この一週間、口を聞いていない」
譲二「だからって、俺に八つ当たりすることはないだろ」
明里「八つ当たりじゃないわよ。今日は紅一さんに頼まれて来たんだ」
譲二「兄貴に?」
明里「譲二を連れ戻して来て欲しいって」
譲二「俺は…帰るつもりはないから」
明里「紅一さん、とっても心配してたわよ。今はいいけど、大学はどうするんだって」
譲二「勉強して…、ちゃんと実力で入れるところにいくよ…」
明里「甘いなぁ…。高校の授業料はあなたの貯金でなんとかなっても、大学の授業料は桁違いの金額よ」
譲二「そんなこと…、分かってるさ…」
明里「今だって…、滝沢さんが時々お金を持って来てるんでしょ?」
譲二「どうして、それを?」
明里「滝沢さんのことだから、勝手に持って来てるわけじゃないと思うわよ」
譲二「どういうことだ」
明里「多分、あなたのお祖父さまあたりが、あなたの様子を探らせるのもかねて、お金を持って来させてるんだと思うわ」
俺も薄々そうではないかとは思っていたが、明里に指摘されると少し腹が立った。
譲二「だったらどうだって言うんだよ?」
明里「紅一さんが言ってたわ。『そんな子供みたいなことはもうやめろ。今の高校はもうそのまま通っても構わないが、家から通え』って」
譲二「家には帰らない…」
明里は小さくため息をついた。
明里「多分そういうだろうと思ってた…。譲二って、誰にでも調子をあわせるようでいて、芯の所は強情だもんね」
譲二「さすが俺の婚約者だね…。よくわかってらっしゃる」
皮肉っぽく付け加えた。
そこへマスターがコーヒーを運んできてくれた。
俺たちの険悪な空気をなんとか和らげようとしてくれてるんだろう。
マスター「よかったら明里ちゃんもコーヒを飲んで行って。このサンドイッチもおごりだよ」
明里「マスター、ありがとうございます」
譲二「マスター、気を使わせて済みません」
俺は明里を睨みつけた。
妄想飛行~譲二の場合 その7へつづく