日常へ

「船上の日の出」






2月20日(水)晴れ 5時30分起床 太平洋上
縦揺れに微妙な横揺れが加わった船の揺れは、鈍行列車のガタンゴトンという揺れとも違い「揺りかご」に入っているようですごく心地よいです。これにズンズンズンと腹に響くような重低音のリズミカルなディーゼルエンジンのBGMが加わると、あっという間に寝てしまいます。
最高の睡眠薬です。
お蔭で、気持ちのいい寝起きになりました。
ベッドの整理をしてトイレを済ませ給湯室でコーヒーを淹れ、展望デッキに上がりました。
窓際の席に腰を下ろし熱いコーヒーを飲みながら、朝日が昇るのを待ちました。
たった1杯のコーヒーなんですが、何かすごいリッチな気分になれました。

「夜明け前」






6時15分 空がうっすらと明るくなってきました。
6時19分 ニビ色の空の一角がオレンジ色に光ってきました。
あわててデッキに飛び出しました。
6時25分 予定の時間を過ぎましたが朝日はまだ顔を出しません。
水平線にある雲が邪魔をしているみたいです。
6時35分 さらに待っていると少しずつ少しずつ空が明るさが増して行き、そして雲間
からオレンジ色の朝日が射してきました。
この旅何度目かの「日の出」です。
てっいうか、人生こんなに「日の出」を見たのは初めてでーーーす。
やっぱ、気持ちがいいです。
何か日の出を見ていると、エネルギーを授かりパワーが体中にみなぎる感じがします。
デッキは凍えるほど寒かったんですが、しばらく「日の出」のショータイムに見とれていました。
部屋に戻り、昨日買った「五目焼きそば」を給湯室のレンジで温め、展望室のソファで朝食です。
朝食の後、フェリーに乗る機会はそうたびたび無いものと思われましたので、船内をじっくり散策してみました。

「トイレ」

「レストラン」

「ゲームコーナー」



「携帯電話充電設備」

「コインロッカー」

「シアター」

「エントランスと売店」

「カジュアルルーム310号室」

「デラックスルーム」
展望室に戻り窓から洋上を眺めていると、大洗から苫小牧に行く時には気付かなかったんですが、結構な数の船が航行しています。
すれ違う船もたくさんあります。

「船1」

「船2」
半島の先端らしきところが近づいてきました。
たぶん「牡鹿半島」だと思います。

「牡鹿半島(たぶん?)」






「牡鹿半島」を見てふと頭をよぎったのは、2年前の「東日本大震災」です。
2011年3月11日、2年近く前のあの日あの時「大津波」がこの海を渡り、岩手、宮城、福島、茨城の海岸に襲い掛かったのです。
その時、この海はどうだったのだろうか。
いろいろな思いが頭の中を駆け巡ります。
私は、あの時つくばのビルの7Fで壁にふっとばされていました。
今は、真冬にもかかわらず、全く何事もなかったかのように穏やかな海面が拡がっています。
船窓から海を見ながら、しばらくそんなことを考えていました。
フェリーの展望室の中で、何とも言えないまったりとした時間がゆっくりと流れて行きました。

「日立港方面」






昼食を食べてから暖かくなったデッキに出ると、見たことのある光景が目に飛び込んできました。高鈴山から真弓山、そして久慈川にいたる山脈がはっきり見えてきました。
いつも見ている風景の反対の風景です。
久慈川の南側の台地が我家の方向です。
こうして海から見るのは、初めてです。
ちょっこっと感激です。

「東海原発」



そして「東海原発」の建物も見えてきました。
どんどん陸地が近づいてきます。

「マリンタワーと大洗港」



船が舵を大きくきったようでぐるっと右に廻りこみました。
岸壁とマリンタワーが見えてきました。
「大洗港」に接岸のアナウンスがありました。
無事、接岸です。
ほんの少し遅れて、14時13分 大洗フェリーターミナル到着

「大洗港フェリー接岸」



4度目のボーディングブリッジを渡り下船、フェリーターミナルに到着しました。

「大洗港フェリーターミナル」



大洗駅に徒歩で向かいます。
20分ほどで到着。
ちょうど14時42分発の水戸行きがありました。

「大洗駅1(ガルパン)」


急いで切符(310円)を買って乗り込みました。

「大洗駅2」


水戸駅 14時56分 到着
水郡線郡山行き 15時14分に接続していました。

「上菅谷駅」






上菅谷駅 15時35分着です。
駅前には、奥様が軽自動車で迎えに来ていました。
9泊10日(船中2泊)の旅でした。
人生で一番長い旅でした。
時間にとらわれない事って、すごい贅沢です。
もちろん、お金があればさらに贅沢ですが。
でも、私にとっては人生最大の贅沢な旅でした。
もうこんな旅はたぶん出来ないかもしれませんので記録しておきたくて、長々と書いてしまいました。
最初は「定年」を迎えるにあたり、おぼろげに「何かしたいな、どこかに行きたいな」と考えていました。
そのとき何気なく頭に浮かんだのが、以前見た「流氷」でした。
なんとなく真冬の網走、ウトロに行こうと考えました。
そしてネットで調べるうちに、羅臼の旅の宿「とおまわり」さんに辿り着きました。
あとは、「おもしろそうだなぁ行ければいいかなぁ、羅臼まではちょっと無理かなぁ」っていう感じで、旅をスタートさせてしまいました。
ですから、大体の方角だけ決めて、細かいことはすべて旅先で決めました。
船、鉄道の切符も宿も旅に出る前に予約せず、すべて旅に出てから決めました。
もちろんデータは持っていきましたが、予約は一切せずに旅先で決めようと考えていました。
良く、旅先で「どちらから」とか「どちらまで」とか聞かれますが、「どちらから」は答えられますが、「どちらまで」は答えに窮します。
まぁ、私の旅は「行き当たりばったり」でそれ加えて適当ですから。
あらかじめ決めてしまうと、せっかく日常から非日常の世界に行くのに、日常の延長になってしまうような気がしますので。
今回は、たまたまラッキーなことに素敵な出会いや天候に恵まれ、非日常の出来事をたくさん感じられ、感動、感激、思い出がたくさん残る良い旅になりました。
(いつもいつもこんな旅にはなりませんが。)
私の旅の定義「日常から非日常」であります。
まぁ、悟りを開いた人は「瞑想」しただけで「非日常」の世界に行けるようですが、私みたいな俗人は、場所を移動して環境を変化させて五感を刺激しないと「非日常」を感じられないようです。
どうやら、男がたまにふらふらとどこかに出かけたくなるのは、こういった本能のせいなのかもしれません。
またいつか、非日常探しの旅に………。
待ってろよ、羅臼岳。

「羅臼岳」
とりあえず、「北海道旅行記(完)」。
読んでくれた人、ありがとうございました。(ちょっと、長かったですね。すみません。)






(バナーをポッチンとクリックして、応援お願いします。)

完全にかぶっています。
白い知床最高です。
サシルイの大鷲をもう一度見たいです。
羅臼から山越えで半島の横断をしたいです。
羅臼岳からの国後、なんともいえないです。
退職後の楽しみです。
ところで、斜里駅と稚内駅新しくなったんですね。
知らなかった。
羅臼は悪天候ですと1~2日閉じ込められてしまいます。でも、もう一度見たいですね、「流氷と鷲」を。
あの時は小さなカメラしかなくて悔しくて帰ってきたら直ぐに一眼レフ買いました。
それから「知床」行っていませんので機会を見てリベンジに行きます。
読んで頂きありがとうございました。