3/2に横浜を出て22日の朝8時頃にボンベイ港に着く。印度といえば広い国、男の人は頭にターバンを巻き白いタプタプの衣服をまとい、裸足で砂の上を歩いている風景を裕子は想像していた。そろそろお出かけしようかと裕子は化粧品をパタパタとつけていた頃船の船長のアナウンスが聞こえた。
「ボンベイの港が見えて来ました。埋立地に高層ビルが林立しているのがポンペイの港です」
裕子は急いで窓に近づき目の前の風景にカルチャーショックを受けていた。
支度を済ませた裕子はたまたま階段の途中で聡美に会った。今日も一緒にいられる聡美が裕子は大好きだった。
「聡美さん、印度のこと、色々教えて!!」
「ポンペイは印度の西の玄関口で経済活動で政治の首都はニューデリーよ」
船に初めに乗った裕子と違って聡美は何でもよく知っている。
「印度は都会なのね〜失礼しました」
聡美は何故か早足になっていた。慌てて裕子も早足になる。
「でも公園では女性が裸の赤ちゃんを抱いて物乞いをしているのに仰天した人がいるそうよ」
「え〜」
「だけどよく聞いてみると赤ちゃんは1日いくらで借りるらしいの」
「すごい話で日本では考えられ」
裕子の会話の途中で少し先を歩いていた聡美が少し大きな声を上げた。
「あー、ごめんなさい」
と立ち止まり振り向いた。
「聡美さん、どうしたの?」
「今日は久しぶりに主人に会うの」
「あっ」
「ごめんなさい、急いでるから」
小走りで去って行く聡美。がくんと元気がなくなってしまった裕子だった。
印度は寂しいところ