京都の闇に魅せられて(新館)

葛城トオルと恐ろしい・・・というよりエロいひな祭り!? @ 京都妖怪探訪(689)





(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)


 どうも、こんにちは。
 今年(2020年、令和2年)の3月3日、ひな祭りの日。
 京都の妖怪絵師・伝道師である葛城トオル氏主催の、京都・東山の霊場魔所をめぐるツアーのレポート記事、第7回目です。
 今回は、‘世継(よつぎじぞう)地蔵’上徳寺と市比賣神社(いちひめじんじゃ)を巡りながら、葛城氏よりひな祭りに関することなどいろいろとお話を聴きました。


 まずはシリーズ前回の続きで、京都・富小路通り沿いに建つ‘世継地蔵’上徳寺へ。









 子宝、安産祈願の御利益があるとされ、信仰されています。






 境内には、歯の健康を祈願する「はがため地蔵」とか。






 「延命地蔵」とか。






 「身代わり地蔵」とか。






 七福神とか。





 浄土宗の寺院なのに、随分と現世利益追求の姿勢が目立つな、と思いました。
 いえね。私の実家は先祖代々、真宗大谷派の門徒(信徒)であり、さらに母の実家が浄土宗なので、「浄土宗の教えは本来、現世利益を追求するものではない」ということがわかっていますので・・・。
 でもまあ、よく言えば宗教的には寛容で柔軟な、悪く言えばずぼらで無節操な姿勢こそが、良くも悪くも日本的だなあ、とも思います(笑)。


 ところで境内の一角に、ちょうどこのような大黒様の像が。





 ところでちょうどここへ来る前に。
 葛城氏から

「大黒様の絵や像は、大きな2個の米俵の上に乗った姿で描かれる場合が多いですが、何でかわかりますか? 大黒様の米俵は、何を象徴しているかご存知ですか?」

と問われたことがありました。
 私がわからずにいると

「実はあれ、男性の睾丸(こうがん)を象徴しているのですよ」

と、葛城氏。
 「ええっ!?」っと驚きましたが、考えてみればその通りかも、とも思いました。
 昔から、性器を豊穣や子孫繁栄などをもたらすものとして崇拝する、性器崇拝とか生殖器崇拝というものもあったということは知っているつもりでしたが・・・以前からよく見ていた大黒天の米俵もその象徴だったとは・・・。


 ここでひな祭りの起源について少しお話が。
 ひな祭りの起源あるいは原形は、自分の災厄や罪穢れなどを人形(ひとがた)に移して川に流す「流しびな」だったとよく知られています。











【動画】2013年・下鴨神社のひな祭り(1)

 



 上記写真と動画は、シリーズ第263回のもですが、だいたいこんな感じでしょうか?
 ひな祭りで飾られるひな人形、お内裏様とかおひな様とは誰か。
 「内裏」とは、天皇の私的領域。つまり、天皇の居る宮中を意味する言葉です。
 つまり、おひな様、お内裏様、三人官女、五人囃子とかいったひな人形は、宮中の、皇室の結婚式を表しているものだったのです。
 現在よく知られている一般的(?)なひな祭りは、元々は「流しびな」だったのが、平安時代に貴族の子女の間で紙の人形を使った「ひなあそび」と呼ばれるままごと遊びとも結びついたもののようです。
 やがて使い捨てでは無い人形が作られるようになると、ひな人形は川へ流すものから、飾るものへと変化していったそうですが。
 しかし考えてみれば凄い話ではないか、と思います。
 何しろ、我々日本人は、自分たちの災厄や罪穢れなど悪いものを、天皇夫妻(を模した人形)に移して流している、ということにもなるのですから・・・。
 ところで我々日本の庶民が、天皇家に災厄や罪穢れを移しているのだとしたら、天皇家の方々は一体何に、誰に災厄や罪穢れを移しているのだろうか?
 この疑問に対して、葛城氏はひとつの驚くべき説を唱えておられました。
 天皇家は、日本人なら誰でも知っている歴史・伝説上の有名人でもある人物に、ひな人形(流しひな)のような役割を与えていたのですが、その人物とは・・・。
 っと、この答えは、ここで言うよりも、読者各紙が葛城氏に直接尋ねられるか、あるいは葛城氏のイベントに参加されるなどして、聴かれた方がいいでしょう。


 上徳寺を出て、富小路通りをさらに南へ。






 二体に分かれた阿弥陀仏像の伝承や、長宗我部盛親(ちょうそかべ・もりちか)の墓が遺る浄土宗・蓮光寺の前を通って。






 富小路通りの途中、五条通りとほぼ平行する小さな通り沿い、河原町通りから少し入った場所に、住宅地の中にひっそりと隠れるように、市比賣(いちひめ)神社は建っています。










 ここは良縁・子宝・安産など女性守護の神社として信仰されています。
 それは主なご祭神が女性神だからだそうで、神社HPには以下、5人の女神の名がありました。

・多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)
・市寸嶋比賣命(いちきしまひめのみこと)
・多岐都比賣命(たぎつひめのみこと)
・神大市比賣命(かみおおいちひめのみこと)
・下光比賣命(したてるひめのみこと)

 このうち「多紀理比賣命」「多紀理比賣命」「多紀理比賣命」は、あの素戔嗚尊から生まれた有名な「宗像三女神」です。
 「宗像三女神」とは航海や海上交通の守護神。
 同じく海上交通の守護神とされている住吉大社の神様も3人。
 何故か。
 それは宗像三女神も、住吉三神も、オリオン座のベルト部分に当たる3つの星を象徴しているからだ、と。
 古代では、船乗りはオリオン座ベルトの3つの星を目印にして航海をしたそうです。つまり、その3つの星は当時の航海者、海の民にとって守護神であったのです。
 なお古代エジプトでも、古代の日本人と同じく、オリオンの3つ星を目印とした航海が行われていたそうです。
 ギザの3大ピラミッドの並び方も、オリオンの3つ星を模したものだそうです。
 さらに面白いことに、古代日本と古代エジプト、同じオリオン3つ星を崇める社会で、同じような航海技術が使われていたらしい、という話も聴きました。
 以下、葛城氏がタブレット画像によって、ピラミッドの下に埋められていた古代エジプトの「太陽の船」(再現したもの)と、日本の弥生時代の土器に描かれていたという船の図とを比べてみると・・・確かに両者は似ています。








 しかも弥生土器に描かれていた船は、オールの数がおよそ60本。
 実在したとすれば、巨大な船です。
 こういう巨大船が描かれた弥生時代の土器が、他にもあるそうです。
 最近明らかになった出雲の巨大神殿といい、古代の日本社会は、従来思われていたよりもはるかに高度な技術の進んだ文明社会だったのかもしれません。


 お話を聴いた後、境内を参拝。






 勿論、この日は「ひな祭り(ひいなまつり)」が行われていました。









 他にも、「‘ニギハヤギ’の意味」とか、その背後にある「死者復活・再生の思想」など、いろいろと興味深いお話をたくさん聴けました。
 ただ紙幅の都合もあって、ここにはその全てを書き切ることはできません。
 いや、むしろ七回に渡る記事に書いたことは、ツアー全体で聴いたお話のほんの一部でしかありません。
 全てを聴きたい方、ご興味のある方は、いずれ葛城氏の主催するイベントに参加されて、直接ご本人から聴かれてみてはいかがでしょうか。


 ただ最後にもうひとつ。
 ひな祭りの菱餅(ひしもち)について、こんな話が。


葛城氏:
「あとね、ひな飾りにある菱餅って、何のことかわかります?」

小路:
「菱餅? 菱餅といえば、小学校のひな祭りの日に出た給食のデザートで、三色菱形ゼリーを食べていた記憶が・・・そんな程度の知識しかないですねえ」
参加者一同:
「・・・」

葛城氏:
「あのね、実は菱餅の菱形っていうのはね・・・女性器のことなんですよ」

小路:
「えっ!?」
参加者一同:
「あー、なるほど」

葛城氏:
「日本舞踊の先生が、姿勢が悪いと‘お菱(ひし)が歪む’とか言って手厳しく注意することがありますね。菱形というのはそういうのを表しているんですよ。要するに、ちゃんと(肉体的にも)女性として成長していることを祝うという意味もあるという話ですね」

小路:
「なるほど。先ほどの大黒さんの俵がアレを象徴しているという話といい、こんな話を聴いたら、またあらゆるものが卑猥に見えたりして(笑)」

葛城氏:
「あはは。たのんますよ。帰りに菱餅を買い占めたりしないで下さいね(笑)」

小路:
「・・・」


 今回のツアーでは、いろいろと面白い、興味深いお話をたくさん聴くことが出来、非常に楽しく有意義な時間を過ごすことが出来ました。
 しかし、大黒様の俵がキ●タマだったとか、菱餅が女性器だったとか、一番印象に残っているのは、こういう下ネタみたいな話だったりします、実は。
 ところで、このひな祭りツアー企画のタイトルは「【3/3】世にも恐ろしい雛祭ウォーク(^^;;」だったのが、少なくとも私の中では「【3/3】世にもエロい雛祭ウォーク(^^;;」になってしまったような気も(苦笑)。






 今回はここまで。
 また次回に。





*市比賣神社のHP
https://www.ichihime.net/




*葛城トオル氏のTwitter
https://twitter.com/yokaido




*『京都妖怪探訪』まとめページ
https://kyotoyokai.jp/




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