京都の闇に魅せられて(新館)

大歩危編・カワミサキと一つ目入道の伝承 @ 京都妖怪探訪(896)

 


 どうも、こんにちは。
 今年の5月25日、妖怪こなきじじいなど数多くの妖怪伝説が遺る地でもある、徳島の秘境・大歩危(おおぼけ)で開催されました、『四国妖怪フェスティバル』へと行き、そこで行われた「ジオガイドと巡る妖怪ツアー」という、大歩危の妖怪伝承地を巡るミニツアーに参加してきました。
 シリーズ第892回から何回かに渡って、そのレポート記事を書いてきましたが、今回はその第5回でラスト、大歩危で最も有名な妖怪・こなきじじいの伝承地を訪れ・・・る予定でしたが、その前にカワミサキと一つ目入道という、ふたつの妖怪の伝承地についての記事を書くことに変更しました。
 そこで今回は、大歩危の自然環境が、大きな水の脅威が生み出してあろう2人(?)の妖怪伝承の話でもします。

 


 シリーズ前回の赤子淵からしばらくの間、歩き続けます。


 


 ひたすら藤川谷の県道を歩き続けますが、ようやく川沿いに「カワミサキ」という妖怪の像が見えてきます。



 何とも不気味な姿をした妖怪・カワミサキですが。
 この妖怪は、川で溺れて死んだ人の怨霊であり、人に取り憑く妖怪ですが、仏前に供えたご飯を食べるとカワミサキに逢わずにすむ、と伝えられています。
 昔は子供が川で遊んでいて、体調を崩して気分が悪くなると「カワミサキに逢うた」と言われたそうですから、おそらくは第892回記事のエンコのように、昔は多かったであろう子供の水難事故への注意を促すために、このような妖怪も考え出されたものと思われます。

 


 さらにしばらく歩き、「拝床谷」という所に。


 


 そこには、クモトリ淵のひとつ目入道の像とその伝承を記した看板が。



 昔、ジロウ(治郎? 次郎?)さんという人が、山中の山小屋に泊まり込んで仕事をしていた時のこと。
 仕事で疲れて山小屋の中で眠りかけていたところ、どこからともなく一匹の蜘蛛が現れ、ジロウさんの足に糸を巻き付けては外に出るのを繰り返していた。
 ジロウさんは邪魔くさく思って、蜘蛛が足に巻き付けた糸を小屋の柱に巻き付けて、再び眠りにつく。
 その日の晩、雨が降って。
 突然轟音が響き渡り、柱に巻き付けた蜘蛛の糸が、小屋ごと谷底の淵に引きずり込んでしまう。
 その淵の水は大きな渦を巻いていて、その中から巨大な一つ目の妖怪、ひとつ目入道が現れ、ジロウさんに襲いかかった。
 ジロウさんは必死で泳いで這い上がって逃げ、物陰に隠れた。
 その頃ジロウさんの家では、何日経っても帰らないジロウさんを心配して、家族や親族の人たちが探したところ、粉々に壊された山小屋の中で倒れているジロウさんが見つかった。
 家族はジロウさんを家に連れて帰り、何日か看病したが、結局ジロウさんは帰らぬ人となってしまった。


 ここまでが、クモトリ淵の一つ目入道の話です。



 なお、案内板には「大正14年8月2日 享年47年」と具体的な日時と享年とが記されています・・・。
 つまり、この恐ろしい出来事は大正時代に本当にあったこととして伝えられているのです。しかもこの話をしたジロウさんの親族が、今でも高知県の土佐山田に住んでおられるというのですから、かなりリアリティが感じられる話です。

 


 シリーズ第892回記事の山じじの話は、昭和のはじめ頃でした。
 この一つ目入道の話は大正時代。
 つまり近代以降も、100年ほど前までもこういう話がリアリティをもって伝えられるような、そういう土地柄だということでしょうね。
 なお、『京都妖怪探訪』シリーズを続けている者としては、是非とも自分の足で、「クモトリ淵」と呼ばれるその現場を訪れ、その目で見て、写真を撮り、そしてこのように写真付きブログ記事に書き残したいところです。
 お話を聴いたところ、ここよりさらに山奥の、徳島県と高知県との県境に近いような、決して安全とは言えないような場所にまで踏み入らなければならなあさそうですから・・・難しそうですね。
 今からでもトレッキングの訓練を積んで、それなりの装備を整えてでも、いつかは訪れたい場所ではありますが・・・。


 なお、「蜘蛛の糸に足を絡め取られて、川や淵、滝壺などに引きずり込まれる」といった類いの伝承や昔話などは、他でもあったような記憶があります。
 その時は、木こりが自分の足に巻き付いた蜘蛛の糸を、その辺の切り株に結びつけたところ、その切り株が滝壺に引きずり込まれて、木こりは恐ろしい思いをしながらも助かった。
 そんな昔話を、子供の頃に『日本のお化け話』という本で読んだことを思い出してしまいました。


 さて、ここまで藤川谷の妖怪伝承地巡りをしていて思ったのは。
 エンコ、川赤子、カワミサキ、そしてひとつ目入道など、水に関連する妖怪の伝承が多いようですね。
 やはり、昔から現代に至るまで、水は我々の生活とは切っても切り離せないほど重要なもの。しかしその一方で、水難は我々人間にとって、生命や生活を脅かしうる重大な脅威でもある。
 さらにここ大歩危には、暴れ川である吉野川やその支流藤川谷川という、もの凄い水の脅威を我々人間に思い知らせるような自然環境がある。
 だからこそ、こういう水に関する恐ろしいの妖怪の伝承が幾つも生み出されてきたのでしょうね。


 


 ・・・っと。
 ここまで書いて、ふと「あっ、しまった」と思いました。
 シリーズ前回でも予告しましたが、今回でこなきじじいの像までのレポート記事を書いて、「大歩危編」を終えるつもりだったのですが。
 またまた記事が長くなってしまって、こなきじじいの話は、また次回に回すことになってしまいました。
 うーん、またもやここで筆者の計画性の無さが出てしまいました。
 当初の予定では、もっと早く「大歩危編」を終わらせて、今年(令和6年、2024年)の『霊場魔所の蓮と紫陽花』シリーズの記事も書きたかったのですが。


 


 さらに、今年は何年かぶりに、祇園祭の前祭(さきまつり)の山鉾巡行と、さらに長刀鉾のお稚児さんによる「しめ縄きり」も見て、撮影することも出来ましたので、その記事も早く書きたいのですが。


 


 しかしせっかく始めた「大歩危編」、このまま中途半端で終わらせたくない。
 せめて「こなきじじい」伝承地までは書きたいと思いますので、次回あともう1回「大歩危編」を続けます。

 


 それでは今回はここまで。
 続きはまた次回。

 


※ところで2024年の目標で、「(本シリーズでの)新規スポットの記事を最低でも20以上、出来れば30以上書く」としましたが、今回で8カ所目。
 目標まであと12本(12カ所)です。

 

 

*「道の駅大歩危」へのアクセス及び周辺地図かこちら

 

 

*「道の駅大歩危」のHP
https://yamashiro-info.jp/

 

 

*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/

 

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